【マリオ64】2019年まとめ ~もうマリオ64RTAはお遊びじゃない!?~

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まえがき

読者の皆さんは「○○(ゲーム名)のRTAが進化したぞ!」と聞いたらどんな内容を思い浮かべるだろうか。

「新たなバグ技が見つかった」「ルートが大幅変更(改良)された」――このような”ゲーム面”に関する内容を思い浮かべるのではないかと、私は思う。

しかし、マリオ64RTAでは、”ゲーム面”だけにとどまらず”ツール面”や”賞金面”も進化していて、お遊びとは言えない領域にまで足を踏み入れ始めているのだ。

ここまで読んでピンとこなかったあなたに向けて、本記事では、4つの側面から『2019年の1年間でマリオ64RTAがどれだけ変わったか』を語ることにしよう。

【世界記録面】次の壁が見えてきた!

以下がメインカテゴリにおける2019年1月1日と現在の世界記録の比較である。(speedrun.comより)

カテゴリ1月1日時点現在(12月30日)
0枚RTA06:41.7606:36.96-4.80秒
1枚RTA07:21.4707:14.23-7.24秒
16枚RTA15:08.8715:04.27-4.60秒
70枚RTA47:3447:08-26秒
120枚RTA1:39:191:38:51-28秒

2019年も全メインカテゴリの世界記録が伸びたが、マリオ64RTAを知らない方からすると「数秒 or 数十秒しか縮んでないじゃん」と感じたかもしれない。

しかし、『RTA人口が世界で一番多いゲーム』で『2000年代から10年以上やり尽くされている』こともあり、2019年初めでも世界記録は極限まで煮詰まっていたわけだ。

そんな状況でもいまだに秒単位で世界記録が伸びているのは本当にヤバいことで、「どこまで伸びれば気が済むのか」というのが私の率直な感想である。

各カテゴリごとに詳細を語りたいところではあるが、オタク語りすると文量がとんでもないことになってしまうので、今回は総評のみ話すことにする。

1枚・120枚を除くカテゴリに言えることは『次の壁が見えてきた』ということだ。

具体的には、0枚なら6分30秒切り、16枚なら15分切り、70枚なら47分切りが壁となっていて、現上位プレイヤーの実力的にいつ壁を破ってもおかしくない状況になっている。

このうち、現在熱いのは16枚RTAと70枚RTAだろうか。

16枚RTAは、日本の皆さんならご存じのアッキー氏(世界2位)とDowsky氏(世界1位)の両名があと5秒で壁を破れるところまで来ている。

また、他の上位プレイヤーも壁を破れるポテンシャルを十分に秘めているので、非常に面白い状況となっている。

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出典: Super Mario 64 #16_Star – speedrun.com

続いて70枚RTA。

こちらは現在、Dwhatever氏(世界1位)が47分切りに王手をかけている状態だ。

同氏は2019年8月末までは世界5位だったが、9月7日に出した47分34秒を皮切りに、47分20秒 → 47分11秒とタイムを縮め、9月24日には現世界記録の47分08秒を手にした。

この47分08秒という記録は、最後のクッパ戦で投げミスしたために人類初の47分切りを逃してしまったというくやしい記録となっている。

しかし、今まで誰も示せなかった『人類が47分の壁を破れること』を見せてくれた熱い走りだったので、次こそは47分の壁を破ってくれると多くの視聴者が信じていることだろう。

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出典: Super Mario 64 #70_Star – speedrun.com

どちらも今非常に熱いカテゴリなので、壁を破る瞬間を見たい方は、ぜひ彼らの配信を監視するかの如く視聴してみてほしい。

【ゲーム面】最適ルートを見つけるために内部解析までやるケースも

2019年の中で最もRTAルートが進化したのは『ちびでかアイランド ノコノコレーススター』だ。このスターでは、以下のようにノコノコとのレースで勝利するとスターがもらえるのだが……。

(1) ノコノコとレース開始

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(2) マリオが先にゴールし、ノコノコのゴールを待つ

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(3) ノコノコがゴールに到着、スターをもらえる

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(画像は全て私の手持ちの動画から)

なんと、ノコノコがゴールするまでのタイムが一定でなく、また、マリオが早くゴールすればノコノコも早くゴールしてくれるわけでもないのだ。これは長らく『乱数説』が有力だったが、真実は誰も分かっていなかった。

こういった背景があり、「じゃあどうすれば早くなるの?」の結論を知りたかった私と調査メンバーは、2019年9月に内部解析を実施。それを基に調査を進めた結果、その全貌が明らかになったのである。

この話に関しては別途記事を書く予定なのでここでは割愛するが、この調査のおかげで、現在の120枚RTAでは『安定して早くノコノコがゴールするルート』が使われるようになった。

Research THI koopa race for RTA (suggest RTA strats)

また、『炎の海のクッパ 赤コインスター』や『みずびたシティー エレベータースター』のルートが改良されたり、Frame Walkingというテクニックを使ったルートが実用化されるなど、研究が始まって10年以上経った2019年現在も進化があった。

この他、『ワンスターRTA』と呼ばれる少し特殊な競技においても進化があり、そのひとつ『闇の世界のクッパ 赤コインスター』の記事を昨日アップしたので、興味のある方は読んでみてほしい。

【マリオ64】闇の世界のクッパのワンスターがケツで更新された件
2019年10月末。マリオ64のワンスターRTAにて、闇の世界のクッパ 赤コインスターの世界記録がMikko氏によって更新されたのだが、そこでは、BLJ(ケツワープ)が使われていたのである。 本記事にて、この更新の背景を語る。

【ツール面】各スターの自己ベストの分析が簡単にできるように!

マリオ64RTAでは、プレイヤーの間で有名な『Ultimateシート』と呼ばれる巨大なシートがあり、2019年1月頃、そのシートのバージョン2が正式に稼働を始めた。(作者は私)

リンク: Usamune Hello Work – Ultimate Star Spreadsheet

以下のスクリーンショットが本シートの一部で、

  • “行”: 『各スターのタイム』といった個別区間タイム
  • “列”: 各プレイヤーが自己ベストをメモできるスペース

となっている。

ultimate_sheet

現在のシートの参加プレイヤー数は101名。シート肥大化を防ぐためにプレイヤーの棚卸を行なったことがあるので、2019年からの参加希望者は130名を優に超えていると思う。

バージョン2になって新たに自己ベストを簡単に分析できるようになった。

この意味を『ファイアバブルランド 赤コインスター』を例に説明しよう。

シートの一番左の列には各ルートごとに『人間のベスト記録』と『理想タイム』が載っていて、このスターの人間ベスト記録は”14.00秒”、理想タイムは”13.90秒”であることが分かる。(赤枠)

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つまり、このふたつには0.10秒の差があるわけだ。では、どこで差が付いているのか――調べてみると、最初~1枚目の赤コインを回収するまでの間で差が出ているようだった。

LLL_reds_drogiesr LLL_reds_ideal
出典(1枚目): LLL Reds 14.00x – YouTube
出典(2枚目): LLL 8-Coin Puzzle with 15 Pieces 13.90 x – YouTube
青枠のタイムを比較すると、ちょうど0.10秒差付いていることが分かる

このように、各ルートごとに『人間のベスト記録』『理想タイム』のふたつがあるので、それらタイムと自己ベストを比較することで、「自分の動きのどこが悪いのか」など、簡単に分析することができるのだ。

ただ、今回紹介したUltimateシートはお助けツールのひとつに過ぎず、この他にも『Usamune ROM』などのツールが日々改良され、より簡単に自己分析できるようになってきている。

こんな感じで、ツール面においても2018年頃から進化し続けているのが、マリオ64RTAなのである。

【賞金面】総額100万円以上の賞金が誕生!

2018年7月。マリオ64RTAプレイヤーを中心に『Global Speedrun Association(通称”GSA”)』というSpeedrun団体が結成された。

この団体は現在、マリオ64などの複数タイトルにてRTAのリーグ(トーナメント)を定期的に開催しており、参加したプレイヤー達は賞金を目指して日々勝負を繰り広げている。

この取組みがきっかけになったのか、今のマリオ64RTA界では賞金にまつわる事柄が数多くあり、2019年で最も話題になったのが『$10,000 END OF THE YEAR CONTEST 120 ★ STAR』だ。

これは現在も絶賛開催中の賞金企画で、120枚RTAにおいて、対象期間中に1番速い記録を出したプレイヤーに5,000ドル(約54万円)をあげてしまおうという、太っ腹な企画である。

また、1位のみならず2位~5位にも賞金があり、総額はなんと10,000ドル(約108万円)!

詳しくは『【マリオ64】120枚RTAの1時間39分切りに総額10,000ドル(約108万円)の賞金が賭けられている件 _ RTAGamers』で語ったので、こちらを参照してほしい。

また、最近ホットなのは、『ESA Break the Record』というビッグな120枚RTAの企画だろうか。

2020年1月31日~2月2日の3日間で行なわれる企画で、最低総額が5,000ドル(条件次第で増額有)となっている。詳細は別の記事で紹介するつもりなので、楽しみにしておいてほしい。

今回は2つの賞金を紹介したが、この他にもいくつか賞金が存在し、プレイヤーや視聴者を盛り上げるひとつの要因となっている。

こういった賞金関連の事柄は、「お金を払ってでも世界記録やすごい記録が見たい!」という思いが形になって表れ始めたとも考えられるのではないだろうか。

むすび

2019年のマリオ64RTAはゲーム面の進化だけにとどまらず、競技としての側面でも大きく進化を遂げた。とても面白い1年だったと思う。

2020年はどんな年になるのか……。私が倒れない限りは『RTAGamers』でマリオ64の話題や考察などを紹介しようと思うので、ぜひこのサイトをブックマークしておいてほしい。

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