【マリオ64】闇の世界のクッパのワンスターがケツで更新された件

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まえがき

2019年10月末。

マリオ64のワンスターRTAにて、闇の世界のクッパ(以下BitDW)の赤コインスターの世界記録がMikko氏によって更新された。そこでは、なんと、みんな大好きBLJ(ケツワープ)が使われていたのである。

今回はワンスターRTAを少し説明した後に、今回更新された世界記録の背景を語る。

ワンスターRTAとは?

ワンスターRTAとは、ステージに入ってからあるひとつのスターを回収するまでのタイムを競う競技で、マリオRTA界の裏ボスの立ち位置にいる競技である。

『ルールに反しない限りどんな手段を使っても良い』というのがミソで、リセットしまくることで120枚RTA等の通しでは到底不可能なテクニックを成功させるため、その動きのすごさに誰もが驚いてしまう競技だ。

2019年で一番話題となったのは、人間では不可能と言われていたカーペットレスというテクニックを決めたXiah氏のワンスターである。

Super Mario 64 – The Big House In The Sky "Carpetless" 50"71 [UWR]

レインボークルーズの天空のお屋敷スターは、本来、カーペットを使って回収しに行くスターだ。しかし、ボムのバグ技を使うことでカーペット無しでスターを回収することもでき、上記動画ではそれを成功させている。(前記録と比べて1分程度速い)

このようなワンスター記録が各120スター+αごとに存在していて、その多くが、TASでしかできないと言われたテクニック等を人力で決めている。真のマリオ64プレイヤーにのみ許された競技なのである。

ちなみに、ワンスター記録は『Usamune Hello Work – Current Records』で見ることができる。

BitDWの赤コインスターは月島サイクルが限界?

BitDWには、ステージ途中に左右に動く卵焼きの足場がある。この足場はステージに入ってからの固定周期で動いていて、赤コインスターではどの周期に乗れるかでタイムが大きく変わる。

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卵焼きの足場(赤枠)は左右に動く仕様となっている © 2019 circumark994

主な周期は以下の3つ。各周期には、その周期を初めて成功させた・RTAで採用したプレイヤー名が付けられていて、海外でも同じ名称で呼ばれている。

  • 月島サイクル(Tsukishima cycle): 一番速い周期
  • しあサイクル(Xiah cycle): 月島サイクル + 0.5周期程度
  • シゲルサイクル(Shigeru cycle): 月島サイクル + 1周期

Mikko氏が記録を更新するまでは、月島サイクルを使ったDwhatever氏の43秒57というのが世界記録だった。

しかし、『人間の限界は月島サイクルなのか』は調べられていなかったため、つい最近まで『Dwhatever氏の記録が限界に近いのか』は分からない状態だったのである。

こういった背景があり、2019年10月20日ごろ、限界を知りたがっていたLyfey氏(ワンスタープレイヤー)から依頼を受けた私は、TAS(Tool-Assisted Speedrun)を用いて人間ができる限界を調査した。

結果が以下の参考動画だ。

dwreds 4303 4796

一番の改善ポイントは、赤コイン1枚目の後、反転ジャンプ+ダイブ復帰にした点(人間では反転ジャンプのみ)。

これによってコンマ数秒だけ更新することができ、他のタイム短縮を含めて卵焼きの足場まで速くたどり着くことができたのだが、それでも『月島サイクル-0.5周期』に間に合うことはなかった。

この段階で「人間では月島サイクルが限界」と片付けても良かったのだが、本当に無理なのか気になった私は、この後70枚TAS(BLJ未使用)の入力を拝借し、『月島サイクル – 0.5周期』にチャレンジ。

結果、70枚TASの入力であれば、ぎりぎり間に合わせられると分かったのだが、人間には不可能なレベルの最適化だったので、「やっぱり人間では月島サイクルが限界だろう」という結論になったのである。

最後はやっぱりケツ

この調査から1週間弱経った10月28日。この調査結果を見たのかは分からないが、Mikko氏が赤コインスターのワンスターを更新。

43秒30というタイムで、これは月島サイクルでも達成可能なタイムだったので、「最適化しただけなのかな?」と思って動画を見てみると。

SM64 Bowser in the Dark World 8 Red Coins in 43'30 TWR

動画17秒あたりから見れば分かるのだが、最初の回転リフトでBLJ(ケツ)を使うことで『月島サイクル – 0.5周期』を実現していたのだ。

この動画が埋め込まれたMikko氏のツイートは、約510リツイートと約2,700いいねがついていて、このツイートを見た方の多くは「すげえ」とか「やっぱり最後はケツか」なんて感想を口にしたのではないだろうか。

このBLJの使い方は120枚TAS等では常連の使い方で、普段マリオ64を見ない方でも知っているかもしれない。

人間では2010年頃に、PBLJ(ポーズを使ったケツ)で同じようなことをしていたが、PBLJでは速くならないので使い物にならなかった。Mikko氏の更新があるまで誰もが忘れていたぐらいである。

もう更新余地はない?

実は今回のMikko氏の記録は、前半パートや卵焼きの足場以降が詰められていないため、更新余地が十分にあると分かっている。

もし完璧に通せたとしたら……、気になったので調べてみたのが以下の動画だ。

blj reds 3943grab

この参考動画では、Mikko氏と比べて前半パートを詰めているため、最初の回転リフトの段階で1つ上の足場でBLJできている。これによって『月島サイクル – 1周期』を達成していて、ゲーム内タイムは39秒43となった。

よって、もし『月島サイクル – 0.5周期』で完璧に通せたならば、39秒43 + 約2秒 = 41秒5x前後のタイムが出ると予想できる。ゆえに、BitDWの得意な新たなチャレンジャーが現れれば、また世界記録が更新されるかもしれない。

むすび

Mikko氏はこの後、BLJを使ってBitDWのコース(赤コイン無し)のワンスターも更新した。こちらも更新余地があるので、将来誰かがもっとエグいBLJをして更新する可能性があるだろう。

SM64 Bowser in the Dark World in 25'45 UWR

BitDWに限らず、クッパステージのワンスターはケツが使われるようになってきている。

そのため、クッパステージのワンスター全てでケツが当たり前になる時代がそのうち来るのかもしれない。今後が楽しみである。

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