まえがき
NINTENDO64のゲーム『スーパーマリオ64(以下マリオ64)』には、おまけ要素の中に『3段ジャンプ』を『4段ジャンプ』へアップグレードできる要素がある。
海外だと『Yoshi Jump』『Special Triple Jump』などと呼ばれるこの特殊なジャンプ。
普段のマリオ64RTAではお目にかかることがない代物だが、しかし、達人向けの競技『ワンスターRTA』ではときどき使われるのだ。
本記事では、4段ジャンプを紹介した後、このジャンプを使ったかっこいいワンスタールートをひとつ紹介しよう。
4段ジャンプとは?
マリオ64では、ゲーム内に全120枚のスターが存在し、全て集めるとお城の上にヨッシーが出現する。
このヨッシーに話しかけると、3段ジャンプがキラキラ光る特殊なジャンプに変わるのだ。これが『4段ジャンプ』である。(3段ジャンプ着地後にも小さく跳ね上がることから4段ジャンプと呼ばれている)
このジャンプはスター枚数を気にしないワンスターRTAでは使用が許可されているため、ときどき使われるのだが……、具体的な使用例を話す前にこの競技を軽く紹介しよう。
ワンスターRTAとは、「ゲーム内で可能ならどんな手段を用いてもいいから、あるひとつのスターを最速で回収せよ!」という競技である。
昨年は『レインボークルーズ 天空のお屋敷スター』や『闇の世界のクッパ 赤コインスター』のワンスターが人外すぎたために話題になったので、SNS上でこの競技の存在を知った方もいるかもしれない。
一度この競技の話を書いたことがあるので、もう少し詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてほしい。
どうしてワンスターRTAだと4段ジャンプを使うの?
ワンスターRTAには全126個(各スター+各クッパステージ単体)の記録が存在し、ワンスターRTAの記録集によると、このうち10個の記録で4段ジャンプが使われている。
なぜ4段ジャンプが使われているのか――その理由は3段ジャンプと比較した時の4段ジャンプのメリット・デメリットにある。
- メリット1: 3段ジャンプ目の高さを低くすることができる
- メリット2: 3段ジャンプよりも飛距離を伸ばせる
- デメリット: 3段ジャンプ目で壁キックが使えない
10個の記録では、『デメリットの影響が無い』且つ『メリットが活かせる』から4段ジャンプが使われているのである。
……とは言ってもイメージが湧かないと思うので、各メリットごとに代表的な記録を1つずつ紹介しよう。
ジャンプが低くできることを活かしている記録
代表例は『闇にとける洞窟 ドッシーの地底湖スター』の記録だ。
この記録では、ビックリブロック(以下[!]箱)で3段ジャンプ目を出して、天井の判定がないことを利用して壁を抜けるテクニックを使用している。(『箱3段』と呼ばれるRTAでお馴染みのテクニックである)
実はこの壁はそこまで高さを稼がなくても抜けれてしまうので、記録では4段ジャンプを使って高さを低くすることでタイム短縮しているのである。
ジャンプの飛距離を活かしている記録
代表例は『ちびでかアイランド デカじまのてっぺんへスター』の記録だ。
この記録では、4段ジャンプで斜面を登り、勢いのまま壁抜けをしている。
壁抜けポイントが少し高い位置にあるので、3段ジャンプではこのポイントまで届かないのだが、4段ジャンプを使えばご覧通り。届くのである。
こんな感じで、『飛距離を伸ばせる』というメリットが活かせる場合、4段ジャンプを採用する。
ちなみに、このスターのルートは過去に数多くの議論があったが、今紹介した『4段ジャンプを使った方法』を私が発見し、2018年11月に終焉を迎えた。
当時どのように考察し発見したかは、またの機会に話そうと思っている。
4段ジャンプを使ったかっこいいワンスターを紹介!
4段ジャンプを使う理由が分かったところで、このジャンプを使ったかっこいいワンスターをひとつ紹介しよう。
悩みに悩んだ末、私が取り上げるのは『闇にとける洞窟 ゴロ岩スター』だ。現在の世界記録は14.38秒。
※以下の動画は現在の世界記録ではないが、同じルートを使用している。
かっこいいポイントは『ドアを開けた後~スター取得』のパートにある。
ドアを開けた後、Cボタン上入力のテクニックで速度を溜めて……。
その勢いのまま4段ジャンプを出す!
これは先で話した『メリット2: 3段ジャンプよりも飛距離を伸ばせる』を活かしていて、4段ジャンプのキラキラ光るエフェクトも相まってかっこいい!
現行ルートを確認して終わるのも物悲しいので、軽くこのワンスターのルートの歴史を語ろう。
マリオ64初期(2000年代)から2014年頃まで、このスターは普通のアプローチで進むだけの最適化勝負のスターで有名だった。
上位プレイヤー達によって詰められた結果、得られたのが以下の14.94秒。
2011年頃には、奥の壁まで行かない『幅跳び3回壁キックルート』がTAS界で発案されたが、人間だとタイムが速くならないことが分かっていた。
そのため、上記の14.94秒が出てからは、「15秒を切ったしもうおしまいだろう」という雰囲気になっていたのだが――。
2015年2月になり、『Cボタン上入力のテクニックを使うルート』がこれまたTAS界で発案され、その案と4段ジャンプを組み合わせた結果、14.5秒を切れるほどのルート(現世界記録のルート)が誕生してしまったのである。
ちなみに、最新のTASでは、2019年8月に発案されたルート(以下の動画)によって、途中の壁を1回壁キックするだけでスターが取れるようになってしまった。
このルートは人間でも試されたが、速度が足りずに成功させること自体ができないため、使われていないのが現状だ。
むすび
紹介できなかったが『スノーマンズランド 池越えスター』のワンスターもかっこいいので、見たことのない方は一度見てみてほしい。
冒頭でも話したが、『4段ジャンプ』はあくまでマリオ64のおまけ要素のひとつである。
そんなものまでフル活用して楽しんでしまうのがマリオ64プレイヤーなので、彼らのマリオ64愛は十分伝わったことだろう。
今後もこういったマリオ64RTAの小ネタを『雑話』という形式で紹介しようと思うので、興味があればぜひ継続して読んでほしい。
(引用のないスクリーンショットは私の手持ちの動画から)
スーパーマリオ64のRTAをやっています。
暇な時にマリオ64RTAの解説系動画をYouTubeに投稿しています → https://www.youtube.com/channel/UCDOLszv_4qtFycO6lIM5h2g
マリオ64RTAの情報サイトはこちら → https://www.sm64rta.info/
Simply氏が私のことを紹介してくれました → https://youtu.be/9p8E-XfNSk0 ※英語の動画です
コメント
ゴロ岩スターでのドアを開けた後c上を押すと加速とありますが具体的にどのようにするでしょうか
またどのような原理なのでしょうか?
調べても出てこなかったので教えていただくか様々なテクニックがまとめられたサイトを教えていただきたいです
コメント有難うございます。
C上トリックを詳しく紹介しているサイト等は私は見かけたことがありません。(よく探せばあるかもしれませんが)
簡単には説明できない代物なので、別の記事で紹介できればいいなあと思っております。
返信ありがとうございます
記事になるまで待たせていただきます
4段ジャンプの名称の元って幕末志士?
由来がどこからなのかは分かりません。
このジャンプの公式名称は無いのですが、大昔から『4段ジャンプ』と言われ続けていてそれで浸透しているという認識です。