『時のオカリナ』のRTAを見る前に読む記事

3Dアクションゲーム

はじめに

『ゼルダの伝説 時のオカリナ(以下時オカ)』のRTAと聞いて、ものすごいバグ技を想像する方は多いでしょう。
当サイトでも、任意コード実行SRMという技が紹介されていました。

時オカのRTAで使われている技は、セットアップと呼ばれる所定の動作を覚え、少し練習すれば、簡単に出来るようになるものがほとんどです。
しかし、実際のRTAでは、あまりにも素早くセットアップが行われるので、何をやっているのか分からない!そもそも見たことのない動きをしている!という声を耳にすることがあります。

そこで今回は、よくセットアップに使われている動作や、走者にとっては当たり前すぎて解説されづらいテクニックを紹介しようと思います。
これを読めば、時オカRTAを見るのが格段に楽しくなるはず!

セットアップとは?

まずは、例としてこちらの動画を見てください。
ゲルドの谷にある滝の裏から、異空間へ落下するセットアップです。

2つのセットアップが紹介されていますが、やっていることはどちらも同じです。
足場の手前端に立って、横っとびからサイドロールをし、バック走で崖をつかむことで、すり抜けています。

このように動きを固定化させることで、簡単にバグ技を使うことができます。
そのための手順を「セットアップ」と呼んでいます。

ポーズバッファ

セットアップで動きは固定化できますが、タイミングは固定できていません。
そんなときに有効なのが、ポーズバッファです。

ポーズ画面を閉じた後タイミングよく開き直すと、ゲームを1フレームずつ進めることができます。
これによって、猶予1フレームの技でも簡単に成功させることができるようになります。

また、このゲームには先行入力という仕様があります。
ポーズ画面を閉じてからゲームが動き出すまでの間に、なにかしらのボタンを押しておくと、動き始めた一番最初のフレームで、ゲームに反映させることができます。

ポーズバッファの参考動画

フレーム

時オカは、1秒間に20フレーム(20fps)で構成されています。
最近の家庭用ゲームは、60fpsで構成されていることが多いので、3分の1のフレーム数しかありません。
時オカの猶予1フレームは、最近のゲームでいうと猶予3フレームです。簡単!

目安として、ストップウォッチで0.96秒~1.00秒までの間で目押しができる人は、時オカで1フレームを目押しすることができます。

Z注目

Zを押している間、注目対象をカメラが追い続け、リンクも敵を中心に移動するようになります。
対象がいない場合は、カメラがリンクの真後ろに周り、Zを押している間はカメラアングルが変わらなくなります。

正式名称はZ注目ですが、Z注や注目と呼ぶことが多いです。
バーチャルコンソール・ゲームキューブ版の場合は、Lボタンで注目をするので、L注目とも呼ばれます。

このゲームには、壁に向かって注目をすると、リンクが壁の真正面を向いて注目をするという仕様があります。
これを利用し、セットアップの始動となる角度を用意することが多いです。
「壁の角度を取る」という言い方をしたりします。

アタック

アタックは、Aボタンを押すと出すことができ、移動の基本となっています。
説明書には回転アタック、画面上にはアタックと表記されていますが、走者からはロールと呼ばれることもあります。

セットアップで使用されるアタックは、大きく分けて3種類あります。

ニュートラルロール

注目した状態で、スティックを倒さずにAボタンを押すと、正面に少し進むアタックを出すことができます。
剣を手に持っていると、ジャンプ斬りが出てしまうので、納刀した状態で使用しましょう。

このアタックは、壁に激突してものけぞることがないので、壁際・角への位置調整によく使われます。
各種スライドへの起点にも使われます。

ニュートラルアタック・ドライロールと呼ばれることもあります。

サイドロール

入力は、ニュートラルロールと同じです。
横っとび・バック宙の後に、Aボタンのみを押すと斜め方向へのアタックが出ます。

位置調整のほか、斜めへの移動という特性を生かして、角度調整に使われることが多いです。
アタックを出した後に注目を外すことで、リンクが向いている方向を変えることができます。

横っとびから出した場合は約40.5°、バック宙からは約80.2°の角度へのアタックを出すことができます。
この2つのサイドロールを区別するため、バック宙からのアタックを特にダウンロールと呼ぶこともあります。

また、注目した状態で、スティックを微妙に倒した状態(ESSポジション)でAボタンを押すことでもサイドロールを出すことができます。
その場から動かずに出すのが難しいので、あまり使われませんが、左方向へのダウンロールは、この方法で出すことができるので、覚えておくといいかもしれません。

最大距離のアタック

位置調整やシビアなジャンプを求められるときに使用します。
スティックを倒した状態でアタックを出せばいいのですが、その場から動かずに出すのは難しいです。
ですが、盾を使えば、簡単に距離が長いアタックを出すことができます。

注目をせずに盾をかまえると、スティックを倒してもその場から動かず、Aボタンを押してもアタックが出なくなります。
この状態で、スティックを上に倒し、Aボタンを連打しつつ注目をすると、最大距離のアタックが出ます。
転がっている間に注目を外すことで、アタックが終わると共に盾を構えるので、余計な移動をする心配もありません。

このやり方を使うと、スティックを斜め上に倒していても正面にアタックを出せます。
それを利用して、ショートカットをする場面もあります。

方向転換

先ほど紹介した、サイドロールもリンクの向いている方向を変えることができますが、横っとびなどの動作を挟まなければいけません。
ですが、壁や崖の近くなどでは、その場から動かずに方向転換をすることを求められることがあります。
そんな時に使えるテクニックを紹介します。

シールドターン

先ほど説明した、注目をせずに盾を構えると、その場から動かないということを利用すると、簡単にその場で方向転換ができます。

Rを押して盾を構え、スティックを向きたい方向へ倒します。
その後、一瞬だけRを離して押し直すと、リンクの位置は変わらないまま向いている方向を変えることができます。

主に真横や真後ろを向くために使用されます。
斜めは、コントローラーによってスティックの溝の角度が異なるので、めったに使われません。

ESSターン

ESSポジションと呼ばれるスティックを微妙に倒す操作を利用して、方向転換を行います。
シールドターンと同じように90°の方向転換にも使いますが、ESSターンの真骨頂は、微妙な角度調整ができるという点です。

このテクニックを使うときによく“ESSターンを2フレーム”という書き方がされています。
ESSポジションにスティックを倒したとき、1フレーム毎にリンクが回転する角度が決まっているので、その角度だけリンクを動かそうということです。

ずいぶん難しそうに聞こえますが、意外とやってみると簡単です。
注目をしていない状態でしばらくすると、カメラがリンクの後ろに回り込もうとするので、注目しなおしたり。盾突き(剣を振る)などして、カメラの動きを止めましょう。

剣振り

立ち位置の微調整のために、剣を振る動作を利用することがあります。
剣を振るたびに微妙に前へ進むことを利用するほか、壁を切りつけた際のノックバックを利用することもあります。
剣を振るだけの場合と、振った後に盾を構える場合で、微妙に立ち位置が変わるので、シビアなセットアップだと細かい操作に気を配る必要があります。

剣振りを使ったセットアップ例

素早く抜刀・納刀

剣を振らずに抜刀したり、Aボタンが”しまう”になる前に剣をしまう方法があります。

まず抜刀は、Bボタンを押した後にすぐRを押すと、剣を振る前に盾を構えることができます。
普通にBボタンを押して剣を抜くと、少し後ろに下がってしまうので、崖端で剣を抜きたいときなどに有効です。

同じ要領で、Bボタンを押した後、剣を振るまでにAボタンを押すと、抜刀ジャンプ斬りを出すことができます。

納刀は、注目した状態で、フックショットなどの手に持つアイテムを出して、すぐに盾を構えると刀をしまうことができます。
バック走をしながらでもできるので、次に使うアイテムを手にもっておきたいときにも使えます。

ここまで説明したテクニックを覚えれば、大体のセットアップはできるようになると思います。

ここからは、少しテクニックを紹介したいと思います。

盾突き

注目せずにRを押し、Bを押すと盾突きがでます。
Rを押しながら、Cにセットしたデクの棒やハンマーを使うことでも出すことができます。
何の変哲もない攻撃の1つですが、とんでもない効果を秘めています。

それは、直前に出した剣やデクの棒などの攻撃を継承するという効果です。
攻撃力はもちろんのこと、デクの棒のツボを壊せない仕様や、ハンマーの錆びたスイッチを押せる効果なども引き継ぎます。

主に、動作に時間がかかるけど威力の高いジャンプ斬りを継承して、短い動作で高威力の盾突きを連発することが多いです。
継承していない状態だと、どんな武器を使っても攻撃力は1です。

残像剣

盾突きを出した後、特定のフレームで、何かを調べる・話しかける・物を持ち上げるということをすると、剣の判定が出続けた状態になります。
このとき、剣の動きに合わせて白いエフェクトが出続けるようになります。
これが残像のように見えるので、残像剣と呼ばれています。
英語では、Infinite Sword Glitchと呼ばれており、この略称であるISGと呼ばれることも多いです。

残像剣が発動しているときの攻撃力は、盾突きと同じく直前の攻撃力を引き継ぎます。

発動中は、段差から降りることができなくなります。
この仕様を利用して、ボムホバーなど宙に浮く技を実現可能にしています。

シールドドロップ

爆弾や石など、両手で物を持ち上げた状態で盾を構えると、手に持ったものをそのまま足元に落とすことができます。
これをシールドドロップといいます。盾置きと呼ばれることもあります。

爆弾の場合、頭上に掲げきる前に盾置きをすると、少し右にズレた場所に落とすことができます。
このことを特に即置きと呼ぶ人もいます。

おわりに

基礎中の基礎だけを紹介するつもりで書き始めましたが、意外と分量が多くなってしまいました。
それだけ、時のオカリナというゲームは、奥深いんだなと感じました。

今回紹介したテクニックの中には、3DS版やムジュラの仮面でも使えるものもあるので、ぜひ試してみてください。

ちなみに、この記事を書くにあたって説明書を確認したところ、建物の中でC↑を押すと、上からみたカメラに切り替わるということを知りました。

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