【世界記録紹介】Jump King Any%

2Dアクションゲーム

はじめに

今回は『Jump King Any%』の世界記録について紹介します。

世界記録:4分15秒816

プレイヤー:ひっちぃ

記録動画:twitch.tv/videos/803976216

Jump Kingとは

Jump King』とは、2019年にSteamで発売された2Dプラットフォームゲームであり、主人公の男がジャンプのみで各コースの頂上にいる「ぴっちぴちのギャル」に会いに行くことを目指すという内容のいわゆる『登山ゲー』です。2020年には『Twitch Steamer Battle』をはじめとするイベントでスポットライトが当たったほか、12月17日にSwitchとPS4にて日本語版がリリースされたことで、本作への注目度が高まりつつあります。

そんな本作の特徴は何と言っても、その難易度の高さにあります。セーブポイントが無い代わりに常時オートセーブが行われる仕様となっているうえ、1ミスで信じられないほど下の地点まで戻されてしまうステージ構造となっているため、落下するたびに登りなおす必要があります。また、シンプルな操作で誰でもカジュアルにプレイできることも魅力の1つといえるでしょう。左右移動とジャンプだけで操作が完結している本作では、その難しさがジャンプ力の調整のみに詰まっており、ジャンプボタンをどれだけ長く押すかがほぼ全てを決めると言っても過言ではありません。

本作には、全部で3つのコースが存在します。1面にあたる通常コースに加えて、2面にあたる『New Babe+』、3面にあたる『Ghost of the Babe』という2種類の無料DLCコースが用意されています。より詳細な情報を知りたい方は、レツ氏による以下の記事をご覧ください:

これからJump Kingを始める方の為の基礎知識

Any%RTAについて

本作におけるAny%RTAでは、1面(通常コース)のクリアタイムが競われます。6月に開催された『Jump King Race Tournament』では、本作を開発したNexile社の賞金付きで、Any%の大規模なレースも行われました。

Any%のRTAを語る上で重要なのが、全9エリアのうち6番目のエリアである『Stormwall Pass』、通称『雪山』です。このエリアでは常に左右どちらかの方向に強い風が吹いており、その周期はおよそ13秒(各方向6.5秒)となっています。この風のサイクルはゲーム開始からの経過時間によって決まるため、どの周期を狙うかによって、最終的に出せるタイムも大きく変わってきます。

現在、人力で狙える最速のサイクルと考えられているのが「2分29秒」という雪山到達タイムです。そして、このタイムを狙う上で欠かせないのが、『小窓』と呼ばれるショートカットです。以下の動画の地点から、下の足場を経由せずに直接狭い隙間に着地するには、特定の高さのジャンプをぴったり出す必要があります。

本作は60FPSのゲームであり、ジャンプボタンを入力する長さ(1〜36フレーム)に応じて、ジャンプの高さに36段階の変化をつけることができます。これはつまり、『小窓』ショートカットがジャンプ入力の長さに1/60秒の誤差しか許されない高難易度技であることを意味します。また、「2分29秒」の雪山到達タイムを出すためには、ショートカットさえ決めればよいというものではなく、道中での高精度な基礎動作も求められます。

次に、雪山エリアの内部について紹介します。雪山エリア内部では、風に乗って足場を1つずつ登ることを想定されていますが、風の切り替わるタイミングに合わせて弱い逆風の中を強引に進むことで、いくつかのサイクルをカットすることができます。このエリアを最速で進むルートは既に確立されており、RTAにおいてもTASと同じルートを実行することが可能です。以下の動画は、そのようなショートカットの一例です。

最後に、雪山を抜けたあとの3つのエリアについてです。雪山までのタイムは実質的にルート選択によって決まるという性質上、プレイヤーの純粋な実力がクリアタイムに反映されるのは、この最後の1分間のみです。中盤までのリセットポイントをようやく抜けた後の、1ミスが許されない緊張感の中で行われる洗練されたジャンプアクションには、本作のRTAの魅力が凝縮されていると言えるでしょう。らー油まん氏による以下の記事には、プレイヤー視点からの詳しい情報がまとめられています:

JumpKing1面RTAのチャートについて

(本節の画像および動画は Jump King stage1 clear time 4:15.816 より引用しました。)

現在の世界記録

本カテゴリにおける世界記録は、本稿執筆時点で、ひっちぃ氏による4分15秒816となっています。発売後すぐに5分切りというタイムが達成された本作ですが、2020年1月にCookieCrisp氏が4分30秒切りを達成してからは記録が停滞しはじめ、そこから4分20秒切りが達成されるまで7ヶ月もの期間がかかっています。

しかし、日本人走者が急激に増えたこの半年間でリーダーボード上位の記録は大きく変動し、コンマ以下の世界記録争いが熾烈を極めました。現行の世界記録に目立ったロスが1つもなく、人力での限界が近づきつつある本作のRTAですが、今後さらにプレイヤーの操作精度が進化していくのか、はたまた技術面で大きなブレイクスルーが起こるのか、これからも目が離せません。

(画像は Jump King – speedrun.com より)

『RTA in Japan 2020』にてAll MapsのRTAが披露されます

本記事で紹介したAny%(1面)の内容に加えて、2面と3面を続けて登り切ることを目指す『Jump King All Maps』のRTAが、『RTA in Japan 2020』にて、以下の通り披露される予定です。

日時:2020年12月31日(木)15:32~16:07

走者:らー油まん

解説:レツ

本作のRTAの日本での発展に今年大きく貢献してきた両氏による、鮮やかなプレイと情報量の詰まった解説に、是非ともご期待ください。

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