【世界記録紹介】スーパードンキーコング2 Any%

2Dアクションゲーム

はじめに

今回は『スーパードンキーコング2 Any%』の世界記録について紹介します。

世界記録:38分14秒

プレイヤー:SBDWolf

記録動画:twitch.tv/videos/848563207

スーパードンキーコング2とは

スーパードンキーコング2』とは1995年に発売されたスーパーファミコン用のアクションゲームです。本作のRTAには4つのメインカテゴリが存在しますが、そのうち『102%』『Warpless』については、当サイトで過去に世界記録紹介記事を公開しています。

【世界記録紹介】スーパードンキーコング2 102%

【世界記録紹介】スーパードンキーコング2 Warpless

今回紹介するのは、王道とも言える人気カテゴリ『Any%』の世界記録です。

Any%RTAについて

Any%のRTAは、ラスボスである『キャプテンクルール』を最速で撃破することを目的とします。禁止されている技などは特に無いので、ありとあらゆるテクニックを駆使してゴールを目指すのですが、特に大きなタイム短縮となるのが『無の取得』等を利用したステージ離脱です。

本作では、各ステージの最後に設置されている『ゴールターゲット』を踏むことでステージクリアとなります。一方、RTAにおいては、正規のゴールまで行かずに途中でステージを離脱し、クリア判定を得ないまま次のステージに進む技が使用されます。

以下の動画は、1-5『ラトリーとうじょう』におけるステージ離脱の使用例です。虫の『ビートル』を使って無を取得し、それを特定の位置で左に投げることによって、ワープバレルが呼び寄せられるとともに、その移動先が「次のステージ」へと書き換えられています。

このようなステージ離脱は、上で紹介した1-5を含む9つのステージで主に使用されます。そのうち最新の発見は、以下の記事でも過去に紹介した、6-3『クラッシュ エレベーター』でのステージ離脱です。

【スーパードンキーコング2】ルート研究者に聞く「RTAを変えた発見ランキング」BEST3

一方、人力では困難なためにRTAでは使われていない、TAS専用とも言えるステージ離脱も3つ知られています。これらは発見当初から、多くのプレイヤーがRTAでの採用を試みては断念してきたものでしたが、2020年、ついにその内の1つ『かぜのもり』のステージ離脱を、RTAで実用する1人のプレイヤーが登場しました。

『かぜのもり』離脱の人力化

5-3『かぜのもり』のステージ離脱を人力化し、それを自ら用いてAny%の世界記録を更新したプレイヤーの名は、SBDWolf氏です。ここからは、筆者が同氏にインタビューした内容に基づいて、偉業達成の裏側と今後の展望について紹介します。

まずは、今回の記録達成の鍵となった『かぜのもり』ステージ離脱を、以下のクリップでご覧ください。なお、1分のうち45秒間は「無の取得に利用するビートルを、ボーナスバレルの位置まで運ぶ」という作業が占めています。

同氏がこのルートの着想に至ったのは、2020年3月のことでした。TAS動画を見ながらいくつかのステージ離脱を自分で試してみたところ、『かぜのもり』の離脱が最も実用化に近いことを直感した同氏は、多くの動作をより遅く安定したものに置き換えました。その結果、普通にステージをクリアするよりは遅いものの、人力でのステージ離脱に何とか成功しました(より遅い方法による最初の成功例は2018年に存在します)。同氏がその動画を他のプレイヤーに共有すると、ビートルの運び方がすぐに改良され、 約5秒のタイム短縮になる現在のルートが開発されました。

5秒というタイムは、ワールド5のボス『おばけボスゾッキー』における乱数のブレでほぼ吸収されてしまう程度のものです。では、この決して大きくないアドバンテージを得るために、記録狙い中にこの技に挑むプレイヤーがどれだけいるのかというと、現状はSBDWolf氏ただ1人です。

その理由は至ってシンプルで、このルートのあまりの難しさが、5秒というリターンに全く見合っていないからです。最も難しいのは、ビートルを運ぶ最中に何度も行われる、足場のエッジぎりぎりからのディディーのジャンプです。ディディーの動き方が悪いと、ジャンプの際にスピードが失われてしまう現象が起こりうるため、極めてシビアな操作が要求され続けるのです。

同氏によると、新たなステージ離脱の成功率は推定20%程度で、新ルートを取り入れて以来『かぜのもり』に阻まれたランは数え切れないとのことです。その成功率の低さからも、改めて難易度の高さが伺えます。

現在の世界記録

本カテゴリにおける世界記録は、本稿執筆時点で、SBDWolf氏による38分14秒となっています。

特筆すべきは、同氏が1年未満という短期間のうちに世界記録を更新するほどのトッププレイヤーに上り詰めたことでしょう。長い歴史を持つ本作のAny%RTAですが、過去の世界記録保持者リストには、やはり経験豊富なベテランプレイヤーの名が並びます。しかし同氏は、2020年の2月に本作のRTAに着手すると、その翌月には柔軟な発想で『かぜのもり』人力離脱を実用化し、同年12月に本記録を達成しています。

Donkey Kong Country 2 – Any% Speedrun World Record History

上の動画で紹介されているように、Any%の世界記録の更新の歴史は、ステージ離脱発見の歴史と言い換えても過言ではありません。新記録が誕生しては新たなステージ離脱が発見され、トッププレイヤー達はそれを携えて更なる高みを目指すというサイクルが、過去に繰り返されてきたことです。

38分切りという次なる壁が近づいてきている本作のRTAですが、今知られているテクニックだけでその壁が破られることは、技術的には可能だが近い将来には起こらないだろう、と同氏は語っています。37分台を現実的にするのは、今回紹介したようなTAS専用テクニックの人力化か、はたまた『Arctic Zip』発見のときのようなブレイクスルーなのか、今後も目が離せません。

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