2019/12/14追記: EZScape氏のボーナス内容にミスがあったので修正しました。
まえがき
2019年12月8日。EZScape氏からマリオ64の120枚RTAに関するひとつのビッグアナウンスがあった。(注意2は今後変更があるかもしれない)
期間: 2019年12月15日(日) ~ 1人目の1時間38分台が出たら終了
注意1: NINTENDO64の記録のみ有効(ルールは現行のspeedrun.comルール)
注意2: マイク有、もしくは手元カメラ有で配信で出した記録のみ有効
注意3: 12月15日以前の記録は無関係。対象期間内で出した記録のみ有効
賞金:
・対象期間内で、1番速い記録を持っていた人には5,000ドル
・対象期間内で、2番目に速い記録を持っていた人には2,000ドル
・対象期間内で、3~5番目に速い記録を持っていた人には1,000ドル
・総額10,000ドル(約108万円)
最近、行方をくらましていた120枚RTA上位プレイヤー達が久しぶりに練習・通し配信をしていたので、「何かあるな」と睨んでいたのだが、これに向けたウォーミングアップだったらしい。
5番目まで賞金があるなんて太っ腹なことだし、マリオ64RTAが「お金を払ってでもすごい記録を見たい!」と思えるレベルに達していることが個人的にうれしかった。
現在話題の中心となっているのが上記の賞金の話だが、実は、RTA ABCというカテゴリにも賞金が懸けられていてこちらも密かに注目を集めている。今回は、上記の賞金にまつわる話と、RTA ABCの賞金に関する話をする。
4,000ドル(約43万円)の賞金が消失!?
120枚RTAは人類初の1時間40分切りが達成された後、cheese氏が2018年2月に達成した1時間39分19秒を最後に世界記録の更新が1年程止まっていた。
この沈黙を破ったのが、2019年5月にRedditに投稿されたFBomb2F氏のスレッドで、「2019年終了時点の世界記録保持者に4,000ドルの賞金を出します!」というもの。
これをきっかけに数名の上位プレイヤーが本格的に世界記録に挑み、2019年8月には、cheese氏が1時間39分の壁を破って”1時間38分51秒”という世界記録を手に入れた。
1時間40分切りが4名しかいない中での1時間38分台だったこともあったのか、本記録が出て以降は世界記録狙い配信が減り、そして気づけば2019年11月に。
誰もが「このままcheese氏が賞金を手に入れるだろう」と思っていた――しかしそんな時にFBomb2F氏が賞金のスレッドを消すというハプニングが発生したのだ。
スレッドを消した理由はcheese氏にのみ語られたようで、曰く、FBomb2F氏が失業したか何かで支払えなくなったという理由らしい。こんなハプニングがあったので、2019年終了間際に4,000ドルの賞金が消失してしまったのである。
新たな賞金はリマッピング問題も考慮されている模様
この事態を受けて、EZScape氏が本記事冒頭で紹介した賞金を提示。12月15日より新たな戦いが始まるのだが、ここで問題となるのがリマッピング問題だ。
リマッピング問題というのは、『コントローラの入出力のリマッピングをRTAで許可するかどうか』というもので、議論&投票によりルール改正にまで発展した問題である。詳しくは、数日前に私が投稿した『2019年、スーパーマリオ64のRTAコミュニティで最も盛り上がったリマッピング問題とは?』を参照してほしい。
現世界記録の1時間38分51秒は改正後のルールに反しているが、改正前に出した記録であるため、受理したままにすることに決まった。なので、このままだと、ルール改正後に世界記録を狙うプレイヤーが不利になってしまうのは明らかである。よって現在は、現ルールに反した記録に何かしらの対策を講じないといけないという問題が残っている。
こんな背景があるので、『世界記録を更新したプレイヤーに賞金』としてしまうと不都合が生じるのだ。これに左右されないのが、今回の『12月15日から開始で、初めて1時間38分台を出したプレイヤーに賞金』という仕組みである。
この仕組みであれば、現行記録を全て無視できるので、皆が同じスタートラインから勝負できるようになる。加えて、現ルールに反した上位記録(3つ)が全て更新される可能性があるので、マリオ64のモデレータとしても、願ったり叶ったりなのではないだろうか。
RTA ABCにも100ドル(約1万円)の賞金がある!
マリオ64のRTAと聞くと、メインカテゴリ(0, 1, 16, 70, 120枚)が真っ先に思い浮かぶと思うが、実はサブカテゴリも結構な数存在する。その中のひとつに現在賞金が懸けられているRTA ABC(通称RTABC)というカテゴリがある。
これは『Real-Time A Button Challenge』の略で、可能な限りAボタンを使わずにRTAをするというかなり変わったカテゴリとなっている。人によっては、例えば、pannenkoek2012氏のABCのTAS動画(以下のような動画)を見たことがあるかもしれない。これのRTA版だと思えば良い。
RTABCにおいても、やはりpannenkoek2012氏が片足を突っ込んでいて、2019年11月末に同氏から「2020年1月終了時点の世界記録保持者に100ドルの賞金を出します!」というアナウンスがあった。「120枚RTAは厳しいけど……」と考える一部のプレイヤーの間で、今密かに話題となっている。
出典: SM64 RTABC(Discordサーバ)
現行の世界記録(70枚)はbad_boot氏で、Aボタン35回、タイムは4時間45分08秒。この記録を超えるには、Aボタン35回で4時間45分08秒より速いタイムを出すか、Aボタン34回以下で完走する必要がある。
現在、チャレンジャーがほぼゼロに近い状態なので、興味の湧いた方はチャレンジしてみてはいかがだろうか。ちなみに、このRTAは『SM64 RTABC』(Discordサーバ)にて議論されていて、ルート等の情報もここに集約されているので、イチからルートを組む必要はないようだ。
また、RTAではなくTASの話になるが、pannenkoek2012氏は2019年12月に『The ABC Trials + TAS Competition with $1000 Prize』という動画をアップしている。
対象は『The ABC Trials』という、この企画のために作ったABC専用の改造マリオ64。2021年1月20日終了時点で、一番Aボタンの使用回数が少ないTASを作ったプレイヤーに$1,000が送られるらしい。
ABCは情報のほとんどが英語ということもあり、RTAもTASもチャレンジする日本人プレイヤーがいないのが現状だ。しかし、ABC関連のDiscordサーバに入り、頑張って解読すれば色々知識を得ることは可能なので、ぜひチャレンジしてみてほしい。
関連Discordサーバ: 『The ABC Trials』『SM64 TASing and ABC』
むすび
記事冒頭で話した賞金の開始日は12月15日(日)で、日本時間だと月曜日になるかもしれない。おそらくこの日は、多くの上位プレイヤーが120枚RTAを配信すると思われる。(主にTwitch)
こんな機会は滅多にないので、この日は、マリオ64RTAを見るために時間を空けておくのをオススメしたい。「どこを見ればマリオ64RTA配信をチェックできるんだ!」という方は、Super Mario 64 – Twitchをブックマークしよう!
また、上位プレイヤーを知っているのであれば、誰が一番はじめに1時間38分台を出すのか予想するのも面白いかもしれない。
スーパーマリオ64のRTAをやっています。
暇な時にマリオ64RTAの解説系動画をYouTubeに投稿しています → https://www.youtube.com/channel/UCDOLszv_4qtFycO6lIM5h2g
マリオ64RTAの情報サイトはこちら → https://www.sm64rta.info/
Simply氏が私のことを紹介してくれました → https://youtu.be/9p8E-XfNSk0 ※英語の動画です
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