はじめに
今回は『スーパードンキーコング No Major Skips』の世界記録について紹介します。
世界記録：40分40秒
プレイヤー：IWannaBeYourJacky氏
記録動画：youtu.be/dvQevHM1GNE
スーパードンキーコングとは
『スーパードンキーコング』とは1994年に発売されたスーパーファミコン用のアクションゲームです。本作のRTAについては、過去に4本の記事で紹介してきましたが、その内容はいずれも大きなバグ技に焦点を当てたものでした：
【スーパードンキーコング】ボスを逆順に倒す『RBO』の歴史と革新
【スーパードンキーコング】「RTA8分切り」の壁を壊した『ステージ離脱バグ』
【スーパードンキーコング】待望のSwitch Online版！RTA技『飛鳥文化アタック』は可能？
一方で、本作のRTAにはバグ技の制限されたカテゴリも複数存在します。今回紹介する『No Major Skips』はその代表であり、最近でも上位の記録が盛んに更新され続けています。本記事では、バグ有りのカテゴリとは一線を画する、その硬派な魅力に迫ります。
No Major Skips（NMS）とは
No Major Skips (NMS)とは、「Major Skips」を禁止したうえでラスボスである『キングクルール』の撃破を目指すカテゴリです。「Major Skips」に該当するのは、大きく分けると主要なバグ技の使用、ワープの使用、ショートカットの使用の3つです。英語で言うと「No Major Skips = No Major Glitches + Warpless + No Shortcuts」とも表現できるでしょう。
主要なバグ技としては、以前紹介した『飛鳥文化アタック』や『ステージ離脱バグ』を含む、ステージの大半をカットしてしまう強力なものが該当します。『ファンファーレカット』のような小技の使用は制限されません。
ワープ・ショートカットに関するルールとしては、『マインカートコースター』『ふぶきの谷』といったステージに用意されているワープバレルやショートカット用タル大砲の利用、ボーナスに入ることなどが禁止されています。他のカテゴリではスキップされがちなステージをフルで楽しめることは、NMSの大きな魅力の1つと言えます。
（画像は Snow Barrel Blast Map – DKC Atlas より）
ここからは、世界記録保持者であるIWannaBeYourJacky氏に聞いた、NMSの中でも特にクールだと思うテクニックを2つ、動画付きで紹介します。
1つ目は、3-4『ノーティのいせき2』における『Fathlo’s Extendo』です。Extendo（Extended Roll、ディレイローリング）とは、敵を巻き込む際に特殊な操作をすることで通常よりもローリングを伸ばす基本テクニックですが、特に動画のポイントではダメージを受けないようローリングを出すことが難しいので、最初に実用化したプレイヤーの名前で呼ばれています。ちなみに「ローリング中はノーティの石臼をスルーできる」という仕様自体は、2-5『ノーティのいせき』でも多用されます。
2つ目は、6-5『さいごのステップ』後半のクラッシャ地帯です。足場の少なさから屈指の高難易度ステージとして有名ですが、RTAにおいても、バグ技なしでクリアするには極めて精密なアクションが求められます。一定時間後に落下するステップの上で待機する時間を最小限にとどめ、タルを空中からギリギリでクラッシャに命中させなければリセットがほぼ確定するという状況は、画面越しに見ていても緊張感が伝わってくるほどです。
（本節の動画は Donkey Kong Country No Major Skips – 40:40 (WR) より引用しました。）
現在の世界記録
本カテゴリにおける世界記録は、本稿執筆時点で、IWannaBeYourJacky氏による40分40秒となっています。実はこのNMS、長らくメインカテゴリ扱いではありませんでしたが、2019年5月に海外コミュニティ内で投票が行われた結果、『Reverse Boss Order』とともに昇格を果たし、それ以降上位争いが活発になったという経緯があります。
メインカテゴリ昇格当時の世界記録は41分23秒でしたが、その後すぐにSilentWolf氏が初の40分台となる40分57秒というタイムを達成すると、V0oid氏、IWannaBeYourJacky氏もそれに続き、3人が同タイムで1位に並ぶという時代を迎えました。
2020年にはEazinn氏が40分55秒という記録によってその均衡を破り、競争は40分40秒台の世界に突入していきます。現在の世界記録では、6面の『いかりのボスネッキー』のミスで惜しくも40分40秒切りが逃されています。既に異次元の領域に達している本カテゴリの記録争いですが、年末には3-3『ジンガーのもり』で4.5秒の大きな短縮が発見されました。2021年、NMSの記録がどこまで更新されるのか非常に楽しみです。
（画像は Donkey Kong Country – speedrun.com より）
『AGDQ 2021』にてNMSのレースが行われます
本記事で紹介した『スーパードンキーコング No Major Skips』のレースが、『AGDQ 2021』にて、以下の通り披露される予定です。
日時：2021年1月4日（月）3:03～3:53（日本時間）
解説：SilentWolf、V0oid
過去の同イベントでは本作から『All Stages』、『101%』、『Reverse Boss Order』が披露されてきましたが、バグ技の使用が制限されたカテゴリの採用は今回が初めてです。また、Japanese Restreamのチャンネルでは、筆者が日本語で解説を行う予定です。深夜帯ではありますが、スピード感溢れる熱いレースに是非ご注目下さい（本番のアーカイブはこちら）。
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