限界RTA紀行_第1話_『E.T.(ATARI2600)』~ATARI2600のゲームをRTAしてみよう編~

2DACT

(画像:ATARI2800(日本版ATARI2600)のソフト群(撮影:筆者))

欧米におけるROMカートリッジ式ビデオゲーム市場の夜明けは、それが過ぎ去った今になって振り返ると、華々しくも物寂しいものでした。


1977年にATARI社が発売した「ATARI2600」。このハードを取り巻く市場の成長は、その発売当初こそ緩やかなものでしたが、1980年、『パックマン』をはじめとするキラータイトルの登場によって火が付き急加速。多くのユーザが、ミサイルをレーザー光線で撃ち落とす快感に酔いしれ、爆弾を皿で受け止めた回数を競い合い、熱狂しました。この当時、ATARI社は栄華を極めました。

しかし盛者必衰。当時のビデオゲーム業界は、明日どちらへ傾くともしれない、不安定かつ手探りの黎明期でした。それでも天井知らず(少なくとも当時はそう見えたでしょう)に増幅し続ける市場規模と、飛ぶように売れるROMカートリッジの山、山、山。その光景はもしかすると、プレイヤー以上に売り手を陶酔させたのかもしれません。

結果として市場は混沌に陥ります。ATARI社は、無謀な販売戦略を展開したことで大量の在庫と損失とを計上。さらには有象無象のサードパーティ群による粗製乱造のゲームソフトが氾濫したこともあり、1983年から1985年にかけて、ビデオゲームという媒体それ自体に不信を抱いたユーザの大多数が、コントローラを置き、ハードウェアを押し入れの奥底にしまい込みました。これこそ、現代に『アタリショック』と語り継がれる、欧米ゲーム市場が迎えた一時の終焉です。

しかしその後は、多くのみなさんがご存じの通り。

NES(ファミコン)の登場によって急速に息を吹き返し、世界的な広まりをみせたゲーム市場は大躍進を遂げることになります。近年においては、スポーツとして楽しまれるビデオゲーム『esports』が誕生。そしてなにより、ゲームクリアの最速タイムを競う『Speedrun』、『RTA』といった、みなさんが愛してやまない文化が生れたのでしたね。

 

◆◇◆◇◆

 

『アタリショック』――。いつのまにか随分と長いものになってしまった、”ビデオゲーム”という一筋の歴史を眺めたとき。この事件はそこに落とされた一点の黒い染みのようにみなされ、暗く振り返られることがあります。そしてその際、枕詞の如く引き合いに出される、1本のビデオゲームが存在するのです。

 

 

 

 

 

(画像:ATARI2600版E.T. ROMカートリッジ(撮影:筆者))

ATARI2600 

『E.T.The Extra-Terrestrial』

 

――RTA界におけるこの作品の”今”を、お伝えします。

 

はじめに

日本人走者が少ないビデオゲームのRTAをご紹介する当シリーズ。

記念すべき第1話は、ATARI2600版『E.T.』です。

 

本作は、同名の映画を原作とする2Dアクションアドベンチャーゲームです。

ATARI社が展開した販売戦略の混迷から無謀なロット数が生産され、同社の業績を傾かせたうえに、大量発生したデッドストックが砂漠へ埋められたという逸話が広く知られています。

そのことから、本作はいわゆる『アタリショック』の引き金のひとつと語られがちです。多くの場合、それに付随する形で『世界最低のゲームである』と揶揄され、アタリショックと併せてゲームファンの間で語り草となっている作品です。

 

…………本作の名誉のため、もう少しだけ本筋から逸脱した話をさせていただきましょう。というのも、これらの逸話には、事実であるとされているものと、そうではないものとがあります。

まず、大量に売れ残りが発生し、砂漠へ埋没処分されたという話は、驚くべきことに事実であるようです(参考:2014年に発見が報じられた際のニュースページ)。

しかし一方で、本作が『世界最低のゲーム』であるという点は、否定せざるをえません。

ひとつの判断材料として、『The Angry Videogame Nerd』シリーズで知られる映像クリエイターのジェームズ・ロルフ氏は、本作を「最悪のゲームとは言えない」と評しています(参考:youtubeのレビューページ)。

目的の示されないゲームスタート、一度落ちれば何度も繰り返し落下してしまう穴、歩くだけで減少していく体力……。決して親切なゲーム内容ではありません。

しかし意味不明といわれる本作の基本的なルールは、じつは説明書にひととおり記載されていますので、それを見ればいいのです。

メインテーマの流れるタイトル画面の存在は、当時ATARI2600ビデオゲームの中では極めて意欲的でしたし、ATARIファンのみなさんは本作を、同種のマップ探索系アドベンチャーたちの中において、際立って低質なものではなかったと振り返ります。

つまり本作は、その法則さえ理解できれば、非常に魅力的で、かなり”遊べる”ゲームなのです。これは、今なおRTAに挑む方々が存在することからも分かりますね。

 

とはいえ、今になって説明書付きの本作を入手しろというのは優しくないでしょう。本稿は、皆さんが今からATARI2600版『E.T.』のRTAを走るための、手掛かりになることを目指したものです。

ただし、記事としての読みやすさを優先していますので、ゲーム内容に関する詳細なデータを並べるような書き方はせず、RTAをする上で重要度の低い道具やキャラクター等に関する説明を省略しています。

心配はいりません。現在の基準からすれば、非常にシンプルなゲームです。ご一読いただければきっと、あとは手探りで分かるはずです!

恐らく最も大きな障壁になると思われる、本作のプレイ環境構築についても解説しますので、ぜひみなさん自身でプレイして、世界記録を目指してみてくださいね。

 

※本稿中に登場する情報は2020年2月時点のものです。

 

入手と起動編

まずは、ある意味で最も大きな問題から解消してしまいましょう。

これから、みなさんがご自宅のリビングルームで、本作を楽しくプレイできるようになるまでをバックアップします。

 

※既に本作をプレイする環境が整っているという方は、本項目を読み飛ばしてしまっても構いません。

※なお、Speedrun.comではエミュレータでのプレイも認められていますが、私はそちらの方面には詳しくないため、解説は割愛させていただきます。

 

さて、本作をプレイするにあたって、大きな障壁となる要素が2つあります。

ひとつめが、ATARI2600ハードとE.T.ソフトの入手。

ふたつめが、ゲーム映像の画面への出力。

この二大障壁が、本作のRTAをせんと立ち上がったみなさんの前に立ち塞がるのです。

 

本作は1982年発売の作品であり、ハードとソフトの入手が比較的難しい作品です。さらに、ATARI2600の映像出力はRF端子方式で、この出力方式は現在普及しているモニタに対応したものではありません。よって直接は繋げられず、一工夫をする必要があります。

 

とはいえ、はっきりと申し上げてこれらは、みなさんの情熱をくじけさせてしまうほど高い壁ではありません。どちらもクリアする方法はあります。

確かに少し大変ですが、自宅のモニタに、青と黄色のドットで可愛らしく描かれたE.T.の顔が映し出される瞬間の興奮は、筆舌に尽くしがたいものがありますよ。

 

ですので、ちょっとだけ、思い切ってみましょう!

 

本体とソフトを手に入れて、遊べるようにしよう!

Point!
・ハードはAV出力改造済みのものをネットオークションで落札するのがお勧め

・ソフトはそこまで高価ではない

・コントローラはメガドライブ用がお勧め

まずは、ハードのバリエーションを知りましょう。

ATARI2600向けのROMカートリッジを起動できるハードウェアの中で主要なものを、2種類ご紹介します。

実際にはこれ以外にも種類がありますが、比較的手に入れ易く、かつ押さえておくべきは以下の2機種です。

 

ATARI2600

画像引用:Wikipedia「ATARI2600」

▲1977年にATARI社から発売され、欧米を席巻したゲームハードです。販売台数は実に米国で2354万台、全世界で3000万台と言われ、それゆえに発売から40年余が経過した今でも、比較的多くの完動品が流通しています。リージョンロックは存在せず、ATARI2800版のソフトも動作します。画像は”difficulty スイッチ”の付いていない前期型。

 

ATARI2800(日本版ATARI2600)

(画像:ATARI2800本体(撮影:筆者))

▲1983年、エポック社から日本向けに発売されたATARI2600のローカライズ版ハードウェアです。付属していたパドル・ジョイスティック一体型コントローラの操作切り替えボタンが付いている点、RF出力のチャンネル切り替えができない点を除き、性能は欧米版と同等のようです。リージョンロックは存在せず、ATARI2600版のソフトも動作します。販売本数は日本国内で約36万台(と言われていますが、個人的に、この数字には国内向けに発売されたATARI2600の販売台数も含まれており、ATARI2800単独のものではないのではないかと思います……)

今からプレイするのであれば、以上2機種のどちらかを、中古ゲームショップやネットオークションなどで入手することになるでしょう。

さて、ここでもうひとつ、みなさんが選択しなければならないことがあります。それは、本作をテレビ(もしくはPCのキャプチャーボード)へつなぐ際の映像出力方式を、RF接続にするか、AV接続にするかです。

前述の通りATARI2600は、本来であればRF出力にしか対応していません。ところが近年、ネットオークションなどでコンポジット出力(黄・赤・白の3色端子)に対応するよう改造された本体が出回っているのです。これを購入することで、スーパーファミコンやプレイステーションなどといった近年の一般的なゲームハードと同じように、テレビやPCへと接続することができます。

結論を先に申し上げますと、もしもみなさんがオリジナルの出力方式にこだわらないのであれば、こちらの入手を強くお勧めします。(購入は自己責任でお願いします)

 

画像:ヤフーオークション落札結果「ATARI2600 AV」

▲改造品は、そのほとんどが欧米版のATARI2600を素体としています。

気になるお値段は、参考までに、直近のヤフーオークションの落札額が上図の通り。ソフト付きのものが、おおよそ11,000~20,000円の価格帯で落札されているようですね。

一方、RF接続でプレイする場合は、中継の為に、ビデオデッキか、あるいはコナミが発売したゲームセレクタ(絶版)の購入が必須となります。ただ、いずれも値段や置き場所などといったコストを考慮すると、導入はあまり現実的とは言えません。(どうしても見たいVHS作品があるならば、話は別でしょうが……)

(画像:KONAMI GAMESELECTOR(撮影:筆者))

▲KONAMI GAMESELECTOR。映像と電源をセットでスイッチングできるスグレモノのゲームセレクタです。コンポジット端子とRF端子の両入力に対応しており、RF端子の映像をコンポジット出力映像に変換できる貴重な逸品です。絶版となって久しい現在ではプレミア価格が付けられています(Amazonページ

まとめると、RF端子から出力することに特別のこだわりや事情が無い限り、AV出力改造済みの本体を仕入れることをお勧めします。経年に任された未改造の本体は出力系統が故障していることも多いので、むしろ改造品のほうが安心かもしれません(購入は自己責任でお願いします)ちなみに筆者はRF出力のATARI2800本体とコナミ ゲームセレクタで出力していますが、映像出力を成功させるまでに、故障したATARI2800本体を2台掴まされました……。

続いて、ソフトの入手ですが、以外にもこちらはそう難しくありません。というのも、ATARI2600用のROMカートリッジは、よほどの数が存在するのか、それとも日本に熱心なコレクターが少ないのか、とにかく比較的安い価格で出回っているのです。

 

画像:ヤフーオークション落札結果「ATARI E.T.」

▲ヤフーオークションにおける本作の相場は、2020年2月現在、箱・説明書ナシのROMカートリッジ単体なら2000円前後。ランチを3日も我慢すれば購入できますね。

なお、本作はもともと欧米(ATARI2600向け)で発売された作品ですが、日本版(ATARI2800向け)のROMカートリッジも存在します。しかしながら、特にこだわりが無い限り、この差は気にする必要がありません。

なぜかというと、ATARI2600にはいわゆるリージョンロックが存在せず、異なる国のソフトでも問題なく起動することができるためです。

もうすこし正確な表現をすると、じつは、本作の日本版と欧米版の違いは箱と説明書だけなのです。日本版の箱に入っているROMカートリッジをみてみると、なんとATARI2600のものがそのまま使用されていることがわかります。

(画像:ATARI2800版E.T.(撮影:筆者))

▲日本版のROMカートリッジ・箱・説明書。カートリッジのラベルに「ATARI2600」の表記があり、本国のものがそのまま転用されているのが確認できます。つまり本作は、箱か説明書が付属しない場合、そもそも日本版か欧米版かを判別する方法が存在しないということです。

 

コントローラはどれを使うべき?

本作をRTAする場合、恐らく最も気を遣うべきはコントローラです。通常のプレイをしたいだけであれば、ATARI純正のジョイスティックで70年代の雰囲気に浸るのもいいでしょう。しかし、ハッキリと申し上げまして、これはRTAに向いているものではありません。別のものを使うべきです。

 

画像引用:Wikipedia「ATARI2600」

▲ATARI2600純正のジョイスティック。コックピットのそれを彷彿とさせるレバーは世代を超越して未来を感じさせてくれるものの、入力が安定せず、繊細かつ的確な操作をするのは極めて困難です。

じつは、ATARI2600および2800は、メガドライブおよびそれと同規格の端子を有するコントローラを挿して操作することができます(JOYSTICKで操作するソフトの場合。パドル対応ソフトなど、例外も多くあります)。Speedrun.comのレギュレーションには、現状、コントローラに関する規定は特にないようですので大いに活用しましょう。

選択肢は膨大にあるため、みなさんそれぞれの手に合うものを使えば良いでしょうが、参考までに私が使用しているコントローラは、『HORI MEGA COMMANDER』です。こちらは連射機能付きのコントローラです。レギュレーションに連射機能使用に関する記述はありませんが、私は連射OFFの状態でプレイしています。

(画像:HORI MEGA COMMANDER(撮影:筆者)Amazonページ))

▲周辺機器開発メーカーとしておなじみのHORI製メガドライブ用コントローラ。”スーファミ”用コントローラ然としたフォルムが、筆者の手によく馴染みます。

 

RTAレギュレーション説明編

さて、いよいよ本題です。ここまでにみなさんは、ハードとソフトを入手し、ゲームを画面に映し出すまでの手順を知りましたね。ここからは、本作のRTAにどういったカテゴリがあるのか、そして、本作はどのようにしてクリアすればいいのかといった情報をお伝えします。

プレイ環境が整い、クリアの方法を知ることができれば、みなさんもいよいよRTAのスタートラインに立つことができますよ!

それではさっそく、本作のSpeedrun.comページを見てみましょう。

(画像:Speedrun.com「E.T. The Extra-Terrestrial」)

走者は本稿執筆時点で、全レギュレーションの総勢が12名。このうち日本人走者は1名す。

 

さて、このページに現在登録されているレギュレーションは、以下の3つです。

本稿ではこれらのうち、『any% No RNG Manipulation – Easy』を例にとってご紹介します。しかしながら、基本的にすべてのレギュレーションにおいて、やることはそう変わりません。それぞれのレギュレーションの違いは、難易度と乱数調整の有無のみ。必要なアプローチに若干の差異があるだけで、根本的な概念と手順は同一なのです。

つまり、本稿を読了したみなさんは、本稿の内容を応用するだけで、現状存在している、本作のあらゆるレギュレーションに挑むことができるというわけですね。

張り切って、習得していきましょう!

 

共通ルール
・ROM改造行為は禁止

・計測開始:タイトルメニューからゲームを開始した瞬間

・計測終了:3つのパーツを収集し、宇宙船が現れた瞬間

 

『any% No RNG Manipulation – Easy』

Point!
・意図的な乱数調整は禁止

・”ゲーム1”(最高難易度)でプレイする

RNG(Random Number Generator)”とは、いわゆる”運ゲー”や”乱数要素”を表すスラングのようです。

No RNG Manipulation”ですので、”意図的な乱数の操作をしない”という意味になりますね。

Easy”は、”ゲーム1~ゲーム3”の3段階が存在する難易度設定のひとつを表しています。つまりはイージーモードで乱数操作をせず、可能な限り素早くクリアするというレギュレーションなのですが……みなさんに注意してほしいのが、この難易度設定です。

 

ここで言う”Easy”とは、本作において最も難易度の高い”ゲーム1”を指しています。とにかくそういうものだと思ってください。

ゲーム1”はすべての敵キャラが登場し、それらへの対策が求められる、最も戦略性の高いモードです。乱数操作が禁じられているため運要素が強く、個人的に、繰り返しプレイする楽しさが強いモードだと思います。

このレギュレーションの走者は8名と最も多く、唯一の日本人走者が存在するレギュレーションでもあります。世界記録は59秒290です。

本稿では後述にて、このレギュレーションに注目し、詳細を記述します。

 

『any% No RNG Manipulation – Medium』

Point!
・意図的な乱数調整は禁止

・”ゲーム2”(中間難易度)でプレイする

意図的な乱数調整をせず、難易度”ゲーム2”で素早いクリアを目指すレギュレーションです。

この難易度は出現する敵キャラが制限されており、宇宙船のパーツを奪う”科学者”が出現しなくなっています。

この『any% No RNG Manipulation – Medium』と『any% No RNG Manipulation – Easy』の両レギュレーションは、もともと存在した『any% No RNG Manipulation』というレギュレーションが、難易度ごとに区分けされたことで生まれました。その際に”Easy”と”Medium”の難易度表記が付与されたようですね。

世界記録は1分13秒430で、走者は本稿執筆時点で1名です。

 

『any%』

Point!
・意図的な乱数調整が許されている

可能な限り素早いクリアを目指すレギュレーションです。ROM改造などのチート行為を除いたすべての操作が許可されており、意図的な乱数の固定も許されています。

乱数は、電源起動後、タイトル画面が表示されてからゲームを開始するまでに経過したフレーム数により調節できるようです。

本作は乱数の良し悪しがタイムに直結しますので、好ましい乱数を引けるようにすることで、理論値に近いタイムでクリアすることが可能です。

世界記録は53秒850で、走者は本稿執筆時点で5名です。

 

any% No RNG Manipulation – Easyを走ってみよう!

それでは実際に、本作のRTAを走ってみましょう!

本作について、クリアまでの手順を簡単に解説しながら、素早くクリアする方法について掘り下げていきます。

 

クリア条件を知ろう

本作の大まかな流れは以下の通りです。

ゲームスタート

3つの【惑星間電話部品】を集める

【宇宙船を呼ぶゾーン】を起動する

タイマーがゼロになるまでやり過ごす

【宇宙船発着ゾーン】で宇宙船に乗る(クリア)

 

このように、本作のRTAはたった5つのステップで完結します。

必要な情報に触れながら、ひとつひとつのステップに関して見ていきましょう。

 

 

ゲームスタート……の前に下準備

(スクリーンショット:ATARI2600版E.T. タイトル画面(撮影:筆者))

Point!
・画面上部の数字が”1”になっているか

・本体のコントローラモードが”JOYSTICK”になっているか

・以上が確認出来たらRESETを入力

・スキルスイッチは左右ともAに合わせる

本体の電源を投入すると、インパクト抜群のタイトル画面が表示されます。

この画面で、ハードウェアに取り付けられているSELECTスイッチを押すと画面上部の”ゲーム”(難易度)が変更され、RESETスイッチを押すとゲームがスタートします。この辺り、現在のゲームと全く違う観念で設計されているのが面白いですね。

さて、ゲームを開始する前に初期設定を確認しましょう。まず、ゲームが1になっているのを確認してください。画面上部に表示された数字がそれです。初期状態が1なので問題はないはずですが、SELECTを間違って押すなどして、気づかず変更されてしまっている可能性があります。

次に、本体のコントローラモードが”JOYSTICK”になっていることを確認しましょう。”PADDLE”モードだと、操作が正常に受け付けられません。

最後に、本体の”A / B”スイッチを左右とも”A”に設定しましょう。

これはスキルスイッチといい、ゲームの難易度を細かくカスタマイズするためのスイッチです。左のスイッチを”A”にすると、ゲームの最終目的である宇宙船の着陸に関する条件が厳しくなり、右のスイッチを”A”にすると、敵の動きが早くなります。

 

※スキルスイッチについて補足※
実をいうと、ゲーム内容が変更されてしまう”A/B”のスイッチをどちらに合わせるべきかという情報は、本稿執筆現在、Speedrun.com当該ページ中のどこにも記載されていません。そこでモデレータに確認を取ったところ、「Aにすべし」との回答を頂いています。

日本で発売されたATARI2800の場合、初回電源投入直後はスイッチの初期状態が”A”になり、その後、電源を切ってから十分な放電時間をおかずに再度電源投入をすると、”B”になるようです。なので、リセットを繰り返すことになるRTAの場合、最初に起動したとき以外は毎回手動で”A”に合わせることになるでしょう。

なお、ATARI2600の初期版にはスキルスイッチそのものがついていないようです。

以上が確認出来たら、RESETスイッチを押してゲームをスタートさせましょう。

同時に、RTAの計測も開始です!

 

クリアまでの手順その1……3つの【惑星間電話部品】を集める

Point!
・マップは6面体構造

・ゲームの目的は、3つの部品を集め、宇宙船を呼び、それに乗ること

・部品は穴の中にある

・穴への落ち方と復帰方法を把握する

・敵キャラに注意する

・【ゾーン】を活用する

 

マップは6面体構造

(スクリーンショット:ATARI2600版E.T. スタート地点(撮影:筆者))

未開惑星の研究調査に熱心なみなさん(E.T.)は、仲間たちとともに、発展の遅れている辺境の星へと降り立ちました。

――なんて奇妙な惑星でしょう。みなさんは早々に混乱しました。そこに住まう奇妙な生き物達?は、突然やってくるとみなさんの仲間たちを追い散らしてしまったのです。

気が付けば、みなさんはひとり。頼りの仲間は、光子宇宙船に飛び乗り、宇宙の遠方へと帰ってしまったあと……。

とにかくこの星は、みなさんが生きるには適していません。なんといっても、動き回るだけで、エネルギーがみるみるうちに減ってしまうのです。一刻も早く【惑星間電話部品】を3つ集めて、宇宙船を呼びださなければなりません。

◆◇◆◇◆

以上が本作のあらましで、ゲームを開始したみなさんは、鬱蒼とした【森】の中へと放り出されることになります。まずは、この奇妙な惑星をつぶさに観察してみましょう。

森の周りには何故かたくさんの井戸が掘られた【平原】が広がり、【平原】の向こうには、奇妙な生き物達が【ワシントンD.C.】と呼ぶ……小さな街が、存在するようです。

その街を越えると、見覚えのある【平原】が見え、さらに進むと……ああ、なんということでしょう!最初の【森】に戻ってきてしまいました!

 

ATARI2600版E.T. 全体マップ

(スクリーンショット:ATARI2600版E.T. マップ展開図(作成:筆者))

どうやらみなさんが降り立った惑星は、サイコロのような6面体の形をしているようです。まずは、この全体マップの形を覚えましょう。

【平原】から上に進めば【森】、下に進めば【ワシントンD.C.】という位置関係を把握できれば、迷うことは少なくなるはずです。井戸(穴)がたくさん開いている【平原】は、どこがどこだか紛らわしいですね。すぐに覚える必要はありませんので、プレイを繰り返すうちに把握できるようにしましょう。

 

惑星間電話部品のパーツを3つ集めよう

(スクリーンショット:ATARI2600版E.T. 惑星間電話部品(撮影:筆者))

▲【惑星間電話部品】の発見シーン。部品は3種類あり、それぞれ形が違います。

平原にたくさん掘られた井戸の中には、いろいろなものが存在するようです。充満したカビ臭い空気だったり、取るに足らないゴミだったり、儚げに首をもたげる一輪の花であったり……。そして、もしかするとそれらは、みなさんが求める【惑星間電話部品】のひとつかもしれません。

◆◇◆◇◆

ゲームを開始すると、20基ある井戸の中から、ランダムな3基の内部に【惑星間電話部品】が設置されます。これらを全て集めることが、本作の大きな目的のひとつであり、皆さんがゲームを開始した直後にするべきことです。

ですので、ゲームが開始されたらなにはともあれ平原へと移動し、井戸へと順番に身を投じてみましょう。

上図のようにオレンジ色の部品があれば、それは当たりの井戸です。部品を取得したら、ボタンを押すことで浮遊して井戸の外へと退出し、次の井戸へと向かいましょう。

 

ただこの、井戸から出ようとしたとき。みなさんはひとつの問題にぶち当たるはずです。

 

井戸を知ろう

(スクリーンショット:ATARI2600版E.T. 井戸(撮影:筆者))

▲井戸から脱出しようとするE.T.。退出する方向によっては、再び落ちてしまいます。

スキーを覚えるにあたって最初に転び方を覚えるのと同じように、みなさんが本作の操作を覚えるにあたって、一番に知るべきことがあります。それが、井戸への正しい落ち方と、井戸から正しく脱出する方法です。

本作をプレイしたことのある方が、本作への低評価点としてよく挙げる事柄のひとつに「穴(井戸)に落ちたが最後、出ることができずに何度も落下し、エネルギーを減らしてしまう」というものがあります。確かにこの点は、本作の操作過程において最も不親切な部分でしょう。

 

みなさんの分身であるE.T.が井戸に接触すると、画面がその井戸の内部に切り替わり落下します。井戸の内部へ移動した際、方向キーに触れずボタンを入力すれば空中にとどまれるのですが、そのまま何もせずにいると、E.T.は無残にも地面へ打ち付けられ、画面下部に表示されたエネルギー(0になるとゲームオーバー)が減ってしまいます。

大きな問題は、井戸から出ようとしたときに発生します。ボタンを入力して空中浮遊し、元のマップへと舞い戻ると、大抵はその瞬間に、再び同じ井戸に落ちてしまうのです。これは、井戸から脱出し飛行モードが解除されるとともに、井戸の落下判定に接触してしまうために起こる本作の仕様です。

井戸から脱出した際、必ず左右もしくは下へとまっすぐ移動するようにしましょう。下に移動すると、まず連続落下はしません。本作の説明書にも記されている、正式な脱出方法です。

井戸から脱出した際に再び落下してしまうのは、飛行モードが解除された際に、E.T.が1ピクセル下にずれてしまう処理が原因です。飛行モードは、井戸オブジェクトとE.T.の重なりが無くなると解除されます。しかしこの際、井戸に対して上方向に移動していた場合、1ピクセル下にずれることで再び井戸と重なってしまい、落下してしまうというわけです。

 

井戸の対策さえ把握すれば、みなさんはとりあえず、マップを自由に動き回れるようになるはずです。これで、晴れて部品を集ることができるわけですが……そこはシンプルながら骨太な本作です。一筋縄ではいきません。

みなさんの前に、立ちふさがる存在があります。

 

敵キャラクターを知ろう

さて、文明の未熟さゆえに異星との接触機会に恵まれなかったこの星の生物達からすると、みなさんは極めて物珍しい存在のようです。

したがって、みなさんは彼らの好奇心―つまり研究、あるいは収容の為に追い回されることとなり、結果的に【惑星間電話部品】の収集は、大いに難航するでしょう。

◆◇◆◇◆

そういった事情で本作には、E.T.を追い詰める敵キャラクターが2種類と、敵キャラクターには含まれないものの、場合によっては障害となるキャラクターが1種類登場します。それぞれのデータを見てみましょう。

科学者

(画像引用:ATARI2800版E.T. 説明書)

▲オレンジ色の衣服を身にまとった地球人。接触すると、取得した【惑星間電話部品】をひとつ奪われてしまいます。奪われた部品は、再びランダムな井戸の中に設置されます。
FBIエージェント

(画像引用:ATARI2800版E.T. 説明書)

▲灰色の衣服を身にまとった地球人。接触すると、拘束・連行され、マップ【ワシントンD.C.】まで強制的に移動させられてしまいます。
※エリオット※

(画像引用:ATARI2800版E.T. 説明書)

▲E.T.の地球におけるよき友人です。敵キャラではないので基本的には無害ですが、スキルスイッチがAに設定されている場合、【宇宙船を呼ぶゾーン】と【宇宙船発着ゾーン】の起動を阻害される場合があります。

世界記録を目指してRTAをするならば、部品を3つ集め終わり、【宇宙船を呼ぶゾーン】を起動するまでは、敵キャラクターと接触してはいけません。もしも接触したら、リセットをするべきです。

出会ってしまった場合は、井戸に不本意な落下をしないよう注意を払いつつ、ダッシュ移動(コントローラのボタンを押しながら移動)で避けましょう。

これらの敵キャラクターは、画面内にどちらかひとりずつしか現れませんが、マップを移動しても延々と追いかけてきます。ひとつのマップに必ずひとつ存在する【地球人を追い返すゾーン】を起動すれば撃退できますが、これは一時しのぎに過ぎず、RTAにおいては意味の薄い行為かもしれません。

 

なお、世界1位の記録動画を見てみると、無駄な移動をほぼしないことで、そもそも敵キャラの出現を許さずクリアしているようです。

 

【ゾーン】を活用しよう

(スクリーンショット:ATARI2600版E.T. ゾーン(撮影:筆者))

▲【次の地区に移るゾーン】の上に居るE.T.。【ゾーン】のアイコン(この場合は、下向きの矢印マーク)が画面上部に表示されています。

枯れた花に命を注いで蘇らせたり、自転車を浮かび上がらせたりと、映画の中のE.T.は様々な能力で、我々を大いにわくわくさせてくれました。それは、本作でも同様です。画面の向こうでE.T.になったみなさんは、変幻自在の超常現象を行使できるのです。ただし、使用できる場所と能力の種類が指定されてはいますが……。

◆◇◆◇◆

【ゾーン】とは、E.T.が特殊能力を使用できる地点のことです。【宇宙船を呼ぶゾーン】と、【宇宙船発着ゾーン】【地球人を追い返すゾーン】には、すでに本稿中で触れましたね。

(画像引用:ATARI2800版E.T. 説明書(図作成:筆者))

▲【森】における【ゾーン】の配置例。ゲームが開始されるたびにランダムな配置となります。

【ゾーン】はすべてのマップに複数個存在し、ひとつのマップを3×4の12等分した区画にランダムであてはめられます。さらに、それぞれのマップに必ずひとつずつ存在する【ゾーン】と、全マップ中にひとつだけしか存在しない【ゾーン】に大別されます。

以下に、これらのうちRTAをするにあたって知っておくべき【ゾーン】の効果を、かいつまんで記述します。

それぞれのマップにひとつずつ存在する【ゾーン】
【惑星探査部品を見つけるゾーン】

(画像引用:ATARI2800版E.T. 説明書)

▲マップ内に【惑星間電話部品】在中の井戸がある場合、その井戸が光ります。※【森】にはありません
【地球人を追い返すゾーン】

(画像引用:ATARI2800版E.T. 説明書)

▲マップ内に存在する、科学者もしくはFBIエージェントを、【ワシントンD.C.】の建物へと移動させます。
【次の地区に移るゾーン】

(画像引用:ATARI2800版E.T. 説明書)

▲【ゾーン】のアイコンが指し示す方向の、隣接したマップに移動します。移動後の座標は、移動前と同じになります。

 

全マップ中にひとつだけしか存在しない【ゾーン】
【宇宙船を呼ぶゾーン】

 

(画像引用:ATARI2800版E.T. 説明書)

【惑星間電話部品】が3つ揃っているときに起動すると、宇宙船到着のカウントダウンが始まります。画面内に科学者もしくはFBIエージェントがいると起動できません。また、スキルスイッチがAに設定されている場合、エリオットがいても起動できません。
【宇宙船発着ゾーン】

(画像引用:ATARI2800版E.T. 説明書)

【森】に存在します。宇宙船到着のカウントダウンが0になった瞬間このゾーン上に位置していると、宇宙船に乗り込み、ゲームクリアになります。画面内に科学者もしくはFBIエージェントがいると起動できません。また、スキルスイッチがAに設定されている場合、エリオットがいても起動できません。

部品を収集している最中は、【惑星探査部品を見つけるゾーン】が便利そうですね。エリア内に部品が存在するかどうかを、素早く判断することができます。また、敵から逃げ回っているときには、【地球人を追い返すゾーン】を活用できそうです。

 

ただし、【ゾーン】はマップにランダムで配置されるものなので、狙って探そうとすると、かえって時間を取られてしまいます。経路に有効活用できそうな【ゾーン】があれば覚えておき、必要があれば近付いて利用するような考え方が基本です。

後述しますが、特に【宇宙船を呼ぶゾーン】【宇宙船発着ゾーン】の位置は重要な情報です。部品収集中にこれらの【ゾーン】を見かけたら、必ず場所を覚えておきましょう。

 

※クリアには直接関係しないものの、これら以外にもいくつかの【ゾーン】があります。ぜひみなさん自身でプレイして、確かめてみましょう!

 

クリアまでの手順その2……【宇宙船を呼ぶゾーン】を起動する

(スクリーンショット:ATARI2600版E.T. 宇宙船呼び出しシーン(撮影:筆者))

▲3つの部品を全て集め、【宇宙船を呼ぶゾーン】を起動した直後。画面右上に円形のタイマーが表示されています。

みなさんは苦労の末に、【惑星間電話部品】を全て集めることに成功しました!これでようやく、仲間と通信を行い、救助を要請することができます。

さしあたってみなさんがすべきは、通信に適したポイントを発見することです。せっかく集めた大事な部品を、興味本位の科学者に奪われてしまわないよう注意しながら……。

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【惑星間電話部品】を3つ集めたら、次は【宇宙船を呼ぶゾーン】を起動する必要があります。

【宇宙船を呼ぶゾーン】の発動条件は2つ。部品を3つ収集していることと、画面内に敵キャラがいないことです。スキルスイッチ(左)が”A”に設定されている場合は、画面内にエリオットがいないことも条件に加わります。

【宇宙船を呼ぶゾーン】は、全マップ中からランダムな1か所に配置されます。位置を特定できたら、うまく敵キャラを誘導しつつ、起動を試みましょう。

起動に成功すると、画面上部に円形のタイマーが表示され、カウントダウンが始まります。

 

クリアまでの手順その3……【宇宙船発着ゾーン】で宇宙船に乗る

(スクリーンショット:ATARI2600版E.T. 宇宙船待機シーン(撮影:筆者))

▲カウントダウン終了までの時間を【宇宙船発着ゾーン】上で待機するE.T.。

仲間たちと無事に連絡を取ることができ、宇宙船を呼ぶことができました。

着陸予定時間が、刻一刻と近づいています。

さて、宇宙船の惑星接近には危険が伴います。予定の時刻をほんの少しでも過ぎれば、宇宙船は再び銀河の彼方へと発進してしまうことでしょう。次のチャンスを得るためには、もう一度危険を冒し、時間を費やして仲間と通信を取らなければなりません。

したがって、みなさんは早急に宇宙船の着陸地点――すなわち、みなさんが初めに放り出されたあの【森】へ向かう必要があります。

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カウントダウンは円形のタイマーが2周すると終わります。タイマーの回り方は少し変則的で、1週目はゆっくりとタイマーが回り、2周目は素早く回ります。感覚を把握しておきましょう。

カウントダウンが終了した時点で、E.T.がマップ【森】の【宇宙船発着ゾーン】に位置していれば、晴れてゲームクリアです。ただし妨害される場合もあり、画面内に敵キャラがいたり、スキルスイッチが”A”の場合に画面内にエリオットがいたりすると失敗してしまいます。失敗した場合は、部品が3つとも残っていれば、再び【宇宙船を呼ぶゾーン】を起動することで、カウントダウンの開始からやり直すことができます。

たとえ【宇宙船を呼ぶゾーン】を起動した後に、科学者に部品を奪われていても、宇宙船に乗ることができます。ただし、部品を奪われた上で宇宙船に乗ることができなかった場合、再び【宇宙船を呼ぶゾーン】を起動するためには、奪われた部品を再び探す必要があるので注意が必要です。

RTAの場合は、一度失敗したらリセットをすることになるでしょう。

 

現在の世界記録チャートを解説

Point!
・【次の地区に移るゾーン】を活用する

・落ちた穴にパーツが無ければリセット

・最短経路が実現できる配置を吟味する

・カウントダウンは穴の中で待機

ここまでに、本作のプレイが開始されてからクリアするまでの流れを、RTAをする上での事情について簡単な補足を挟みつつご紹介してきました。

それでは、本作のトッププレイヤーは、いかにして世界最速でE.T.を宇宙へといざなっているのでしょうか。

いよいよ本題の核心に迫ります。ATARI2600版E.T. RTAの”今”を覗いてみましょう。

世界記録の動画を見てみよう!

(動画:Carter44

▲Carter44氏による本稿執筆時点での世界記録動画。(記録の紹介を快くご承諾してくださりましたCarter44氏、どうもありがとうございます!)

『any% No RNG Manipulation – Easy』レギュレーションの、本稿執筆時点の世界記録は59秒290で、カナダのCarter44氏が2018年に樹立しました。(Carter44は、このほかに乱数固定ありany%レギュレーションでも世界記録を樹立しています)

 

さて、プレイを見てみると、この記録が極めて強い執念のもとに生み出されたものであることが分かります。恐らくは、彼はこの記録を生み出すにあたり、気の遠くなるほどの回数リセットを重ねました。そして、最良に近い乱数を引き当て、なんといっても最高に近いプレイングをしたのです。

 

以下に、私が分かる範囲で、彼のプレイ内容を解説します。すぐに真似をするのはハードルが高いかもしれませんが、世界記録への挑戦に少しでも興味のある方は、参考にしてみてくださいね。

 

世界最速のプレイ内容を手順ごとに解説

手順その1……最初の井戸に向かう

(画像:ATARI2600版E.T.世界記録動画(Carter44))

▲ゲームが始まったらすかさずこの位置に移動し、【次の地区に移るゾーン】を起動しています。

特筆すべきは、【次の地区に移るゾーン】を有効活用している点です。ゲームが開始されると、まず左下へとE.T.を動かし、そこに存在する、下方向への【次の地区に移るゾーン】を起動しています。【森】の下方向には【平原】があり、移動した先、同じ座標のすぐ近くには井戸があります。これにより、素早く井戸へと落下し、パーツの存在を確認できるというわけですね。

【ゾーン】の配置は本来であればランダムなのですが、電源を入り切りすると、ゲーム開始時の【森】の【ゾーン】配置のみ、決まったパターンで固定されます。RESETでやり直した場合は固定が解除されるので注意が必要です。

一旦別のマップへ出てから【森】入りなおすとランダムなマップに抽選し直されるため、特別な処理が設定されているようですね。乱数固定無しのレギュレーションですが、この技は許可されているようですので、みなさんも有効活用すべきでしょう。

 

手順その2……パーツ集め

さて、ここから運要素が大きくなります。

まずは、最初に落ちた穴にパーツが存在しなかった場合、ゲームをリセットして最初からやり直します。3つの部品を最速で集めるためには、当たりの井戸を3回連続で引くよりほかにありません。

世界記録を目指すのであれば、一度もハズレの井戸を引いてはいけません。世界記録のプレイでは3連続で当たりを引いています。

 

……流石に、みなさんに対していきなりそれをしろとは言いません。

もう少しカジュアルにプレイするのであれば、みなさんそれぞれに妥協点を考え、引いても良いハズレの井戸数を設定するとよいでしょう。【惑星探査部品を見つけるゾーン】を使用すれば、完走の難易度はさらに下がります。この方法でも1分10秒台前半くらいの記録は狙えるはずです。ステップアップのための足掛かりに、まずはこのラインを狙うのがいいのかもしれません。

 

手順その3……パーツ集め

(画像:ATARI2600版E.T.世界記録動画(Carter44))

▲【宇宙船を呼ぶゾーン】を起動した後。すぐ近くの井戸の底で、時間ギリギリまで待機します。

世界記録の動画では3連続で部品を引き当てたあと、3つ目の井戸のすぐそばに配置された【宇宙船を呼ぶゾーン】(もちろん、どこに配置されるかはランダムです!)を起動します。

するとすかさず、井戸の中へと待避します。こうすることで、敵の行動を抑止することができるということです。

そのまま、カウントダウンの終了する直前まで待機し、森の【宇宙船発着ゾーン】へ移動してゲームクリア。ほぼ理想的なタイムを実現しています。

なお、カウントダウン中の待機についてはこのほかに、【宇宙船発着ゾーン】上でボタンを連打する方法があります。ボタンの入力によってE.T.がアニメーションをしている間は敵の動きが止まり、かつカウントダウンは止まらないため、時間を稼げるというわけですね。カウントダウン終了のタイミングを計る必要がなく、【森】へ向かう際に井戸へ落ちてリセットの心配もないため、タイミングを取ることに自信がない場合、こちらの方法で練習をするのもいいかもしれません。

 

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世界記録の解説 まとめ 

以上が、本作のRTAです。一見すると、運の要素がかなり大きく見えますね。

本作は、確かに突き詰めると運要素に帰結してしまいます。

しかし、1回のプレイ時間が短く、やりなおしも一瞬で行えるので、繰り返しのプレイをするのはあまり苦にならないでしょう。また、張り巡らされた井戸を巧みにすり抜けるなど、プレイスキルが強く試される場面もままあり、単に運のみがモノを言うわけではない、実力主義的な側面もあると思います。

 

私はそんな本作のRTAが、様々な人のライフスタイルにマッチするものであると考えています。

1回のプレイ時間が短いので、ちょっとした空き時間にやることもできますし、繰り返しのプレイが苦にならないので、どっしりと腰を据えて遊び続けることもできます。実際に私も、ちょっとだけプレイするつもりで遊び始めたら、いつのまにか3時間も遊び続けていたことがあるほどです。

準備は少しだけ大変ですが、プレイの環境さえ整えてしまえばきっと、忙しい方でも、気軽にRTAすることができますよ。

 

おわりに

いかがでしたか?

ATARI2600版E.T.についてと、そのRTAについて、理解が深まりましたね。

時に『世界最低のゲーム』とまで評されてしまう本作が、決して内容の薄い作品ではないことを、本稿から感じ取って頂けていればうれしく思います。

 

さて、みなさんが本稿をここまで読み進めてくださった理由は、本作について、少なからずご興味があるためではないでしょうか。

長々と解説をしてきましたが、百聞は一プレイにしかず。体験に勝る認識はありません。ぜひとも、みなさんご自身で遊んでみてくださいね。

 

シンプルながら奥深いゲーム性。鮮明な緑の平原。静かな世界に響く電子音。

ATARI社が辿った栄枯盛衰の哀愁と……ビデオゲーム文化が花開いた時期の、むせかえるほどの熱狂とを、きっと確かに感じて頂けるはずです。

 

 

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