Inscryptionでわかる、3方向からのRTA的攻略アプローチ 正攻法編

ローグライクゲーム

不穏なゲームからの招待状

出典: Inscryption ゲーム画面より

 時代は、空前絶後のカードゲームブームが到来しています。

 新しいデジタルカードゲームを提案したMonster Slayersに、デッキビルディングというジャンルを再確立させたSlay the Spire、そしてそれらに続く多くのフォロワーゲームが各プラットフォームで販売されています。2022年1月に基本プレイ無料でリリースされた遊戯王マスターデュエルは、当時高くて手が出せなかったカードで簡単にデッキ構築が出来ると大きな話題となっています。老いも若きもたった1枚のカードで一喜一憂している今こそ、時代はカードゲームなのです。異論は認めます

 今回取り上げるInscryptionは、2021年10月に発売されたカードゲームを装ったサイコロジカルホラーです。PVや公式HPから漂う怪しげな雰囲気とネタバレ厳禁な風潮で、未だにどのようなゲームか分からない方も多いかと思います。安心してください、この記事ではストーリー以外は全てスポイルします

発売されてから数ヶ月、世界記録は1時間6分台まで縮まったRTAの必須テクニックを、ゲーム進行に合わせて全3回に分けて紹介していきます。

Part 1攻略は、ルールに則った正攻法で

 今回はゲームの導入からゲームマスターであるレシーに勝利するまで、所謂Part 1について解説していきます。主に3つの戦略を意識してプレイしていきますが、RTAではない通常プレイでも有効な攻略法なので参考にしてみてください。

トーテムの胴体パーツを選別する

 Inscryptionをプレイした全員が一番最初にぶつかる壁が、カードが一枚も展開出来ずに負けてしまうリソース不足による手札事故ではないでしょうか。筆者も含めて多くのプレイヤーが、カードを展開する間も無く数の暴力に打ちのめされた、とてもとても苦い経験を味わわされたかと思います。この問題を解決する方法の一つに、トーテムによるカードへの印付与があります。繰り返しプレイしていく中で、トーテムによって血のコスト支払いが楽になったケースがありませんでしたか?

RTAコミュニティはゲームの観察と検証を繰り返した結果、トーテムの胴体パーツを狙って生み出す方法を発見しました

 トーテムの頭(部族)と胴体(印)は、それまでの盤面に展開されたカードと発動した印から参照されます。例えば、スズメ/Sparrowが展開された場合は頭のパーツとして鳥類/Avianが、そのまま攻撃に参加すれば飛行/Airborneが胴体のパーツとして抽選に加わります。また、3周目の一番最初に進入するトーテムマスでのパーツは、必ず胴体のみで構成されます。以上を踏まえて次の項目を守れば、必要な印を備えた胴体パーツを得る事が出来ます。

  • 2周目までは余計なカードを展開せず、全てのバトルに敗北する
  • 2周目のバトル1回目で、全てのアイテムを使用する
  • 適切なタイミングで必要な印を持つカードを展開し、印を発動させる

 カードを展開するために特定のアイテムを利用するので、アイテムマスでの入手確率を上げるために所持可能なアイテム枠3個分全てを空けておきます。また、トーテムの頭はリス/Squirrelを使用するのでキャビンから事前に入手しておきます。最後に、胴体パーツとして有効な印を次の2つから選びます。

価値ある捧げものチャート

黒ヤギ/Black Goat
×1
1/1

価値ある捧げもの/Worthy Sacrifice
この印を持つカードを捧げると、血が1個ではなく3個手に入る。

出典: Inscryption Wikiより

 キーカードは黒ヤギ/Black Goat黒ヤギの瓶/Black Goat in a Bottleを使用して入手します。印を発動させるために、印持ちでないカードを展開するコストとして黒ヤギ/Black Goatを捧げる必要があります。

 上手くいけばリス/Squirrelで支払える血のコストが3個になるので、ユラユゥリ/Urayuliを除いた全てのカードが1ターン目から展開出来る様になります。記録狙いであるなら、今の所この印以外に選択肢はありません。

不死チャート

ゴキブリ/Cockroach
×4
1/1

不死/Unkillable
この印を持つカードが死ぬと、コピーが1枚手札に生み出される。

出典: Inscryption Wikiより

 キーカードはゴキブリ/Cockroach、2周目のカード獲得マスで右側のカードから入手可能です。しかし展開するためのコストが骨なので、アイテムマスで貯骨箱/Hoggy Bankを入手する必要があります。また印を発動させるために、ゴキブリ/Cockroachを展開した後に破壊されるかカードのコストとして捧げなければなりません。

 上手くいけばリス/Squirrelを捧げても手札に戻ってくる様になるので、メインデッキからドローしやすくなります。価値ある捧げものチャートよりも安定したプレイングが可能になるので、走者の好みが分かれる部分かと思われます。

フィニッシャーを用意する

 リソース問題が解決した次は、たった1枚で勝負が決まる強力なフィニッシャー……、攻撃力5以上のカードを用意します。RTAなので1ターンキルを狙うのは当然なのですが、相手はコスト無しでカードを展開出来るので、単純にターン数が増えればプレイヤー側が不利になります。どうせこちらには場に出せば勝利出来るカードがあるのです、わざわざ相手にターンを回す必要なんてありません。

奇妙な石を用いた印付与

出典: Inscryption ゲーム画面より

 攻撃力5を達成する一番手っ取り早い方法が、奇妙な石/Mysterious Stonesを用いて攻撃力3のカードに二叉攻撃/Bifurcated Strikeを付与する方法です。この戦略は、初期デッキに最初から組み込まれているオオカミ/Wolfのおかげで手間が少なく、必要な印持ちのカードも比較的多いので実現しやすいのも利点です。また、ボス戦の第二段階移行でこちらのカードの対面に壁カードが置かれる場合でも、二叉攻撃なら問題なくダメージを与える事が可能です。

たき火を用いた攻撃力強化

出典: Inscryption ゲーム画面より

 たき火/Campfireによる強化は攻撃力と体力の2パターンがあるため確実性はありませんが、イベント時間も短くデッキサイズも変わらないため積極的に狙っていけるマスです。グリズリー/Grizzlyホオジロザメ/Great Whiteが候補になり、これらはコストで選ぶカードマスで血のコスト3を選べば高確率で入手出来ます。レアカードなので取得率は下がりますが、マンティスゴッド/Mantis Godを同様に強化すれば、持ち前の三叉攻撃/Trifurcated Strikeにより攻撃力5以上を容易に達成可能です。

デッキ構築について

出典: Inscryption ゲーム画面より

 カードゲームでは定番のドロー系やデッキサーチ系カードですが、Inscryption全体を通しても片手で数える程しかないのでこれらに期待する事は出来ません。また当然ながら運も絡むため、思う様にフィニッシャーも作れません。限りあるフィニッシャーを初手で引く確率を少しでも上げるために、デッキサイズは可能な限り抑えて進めていきます。

 また、他のデッキビルディング系ゲームと比べてカードの総数は少ない上に、展開したカードを用いたコンボも無いのでそこまで難しいプレイングはありません。実際に前述した様なキーカードに加えて、レシー戦で月/The Moonを一撃で破壊するために必要なタッチ・オブ・デス/Touch of Death持ちのカードを道中で回収するぐらいで、RTAとしては覚える量も少ない方でしょう。

 意識するべきは、デッキ強化とプレイ時間はトレードオフであるという点です。必要以上にデッキを強化しても記録は狙えず、時間を気にしすぎると貧弱なデッキでボス戦に挑むことになります。どこまで時間をかけて強化するかの見極めがこのRTAで肝要になるため、繰り返しプレイして自分なりのパターンを探し出す必要があります。

カードゲームは楽しい、ここまでは……

 Part 1ではカードゲームらしい攻略を長々と書いてきましたが、読み進めて少し疲れましたか?難しそうでしたか?安心してください、次回以降からはまともにカードゲームを行いません。Part 2では相手のプレイングが予想可能なので、こちら側が展開するカードをパターン化する事に成功しています。

RTAとして段階的にゲームを壊されていく、Inscryptionの次回をお楽しみに。


© 2021 Daniel Mullins Games.
© 2021 Devolver Digital.

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