皆さんは、タイトーからリリースされたアーケードゲームの「パズルボブル」をご存じでしょうか。
2019年末に開催されたRTA in Japan 2019で、このシリーズの2作目にあたる「パズルボブル2」のVs.Computerが披露されたこともあり、記憶に新しい人も多いかもしれません。
さて、そんな「パズルボブル2」ですが、RTA in Japan 2019で披露されなかった方のカテゴリである「ひとりでパズル」に衝撃の裏技が発見され、界隈が密かな盛り上がりを見せています。
今回は、そんな「ひとりでパズル」に関するお話です。
そもそも「ひとりでパズル」って?
ひとりでパズルとは、1995年にリリースされたパズルボブル2に収録されているモードの1つで、全30面を1人で解いていくモードです。speedrun.comでは、「Puzzle」という名前で登録されています。
決められた面を順番に解いていく初代とは異なり、プレイヤーが自由にルートを選択できるのが特徴で、そのルートは64通りにも及びます。
基本的なルールは、方向キーで狙いを定めてバブルを発射し、同じ色のバブルを3つ以上くっつけて消すというとてもシンプルなものですが、パズルボブル2の「ひとりでパズル」には、特殊なバブルがいくつか存在します。
- スターバブル……最初にぶつかったバブルと同じ色のバブルを全て消す。青いバブルの中に白く輝く星が入っている。
- メタルバブル……ぶつかった全てのバブルを消す。黒いボーリング玉のような見た目をしている。
- おじゃまバブル……消すことができず、落とすことしかできない。
- おじゃまブロック……消すことができず、落とすこともできない。画面に残っていてもクリア扱いとなる。
今回の「大発見」には、このスターバブルが深く関係しています。
スターバブルを召喚できる! 衝撃の裏技とは
この衝撃の裏技が世に出たのは、2020年2月9日のこと。とある走者の自己記録動画に、パズルボブルRTA界隈は大きな衝撃を受けました。
通常であれば出てこないはずのスターバブルを呼び出し、難易度の高い面をあっという間にクリアしていたのです。
この裏技は、検索エンジンで調べても該当する記述が見つからず、「リリースから25年目で初めて見つかった裏技かもしれない」と話題を呼びました。
実際の映像をご覧ください。(当該シーンは、11分9秒頃から始まります。)
(この動画は、発見者兼走者のXOXOさんに許可を頂いて掲載させていただきました。ありがとうございます!)
一言で表すと、「コンティニュー後、バブルが10個発射される間に一度もバブルを消さないと、NEXTにスターバブルを召喚できる」のです。
筆者が実際にプレイしたスクリーンショットを見ながら、手順を確認していきましょう。
先の動画でも紹介した、Wの27面を例に挙げて紹介します。
手順1:ゲームオーバーになり、コンティニューする
まずは、スターバブルを召喚したいステージで故意にゲームオーバーになります。
下部の線を越えるようにバブルを配置するだけなので、特に難しいことはありません。
コンティニューができるようになったら、すかさずコンティニューしましょう。
手順2:バブルを消さないように10個発射する
ゲームが再開したら、バブルを消さないように積んでいきます。
この時、バブルを消してしまわないことだけでなく、ゲームオーバーにならないように積むことと、スターバブルで消す色を隠してしまわないことにも注意が必要です。
この面であれば、スターバブルで赤いバブルを消してクリアを目指すので、右側を中心に平たくなるように積んでいきます。
難しいように感じるかもしれませんが、コンティニュー後はガイドラインが表示されるため、見当違いのところに打ってしまう心配はありません。
10個のバブルを無事に発射し終えれば、NEXTに12個目のバブルとしてスターバブルがやってきます。
仮にバブルを消してしまった場合でも、そこから10個バブルを発射する間に一度も消さなければ、同様にスターバブルが召喚できます。
手順3:召喚したスターバブルで上部にある色を消す
ここまで来たら難しいことはありません。召喚したスターバブルで、上部にある色を消します。
赤色のバブルにスターバブルを当てると、あっという間に黒いバブルが1個だけの状態に。
あとは、残ったバブルを処理すればクリアです。驚くほど簡単ですね。
実際にRTAでは使えるの?
この裏技が発見されてから、さまざまなステージやシリーズのソフトで検証した結果、アーケード版の他のステージはもちろん、家庭版の続編でも利用できることが明らかになりました。
シリーズを通して使えるこの裏技ですが、実際にRTAで使えるのでしょうか。
実用性:大幅なタイム短縮が可能
この裏技は、簡単に大幅なタイム短縮が見込めることから、実用性がかなり高いです。
実際に、先ほど例に挙げたWの27面で筆者が試したところ、通常では1分ほどかかる面をわずか19秒でクリアできました。
コンティニューにかかる時間を差し引いても、この面だけで20秒前後短縮できます。
特に実用性が高いのは、W-27面をはじめとして、Q-24面やW-29面など、上部が1色のバブルで繋がっている面です。
このような面では、スターバブルの恩恵が受けやすく、タイム短縮が期待できます。
ルール面:現状のPuzzleカテゴリでは使用不可
そんなすごい裏技ですが、発見当日に走者の間で議論が行われ、現状のカテゴリでは使用できないと定められました。
あまりに短縮幅が大きく、許可してしまうとRTAそのものが大きく変容してしまうのがその理由です。
ただし、走者の間では、この裏技の使用を前提としたカテゴリを新設する動きも出てきていることから、今後RTAで使用される可能性もありそうです。
裏技が認められたらRTAはどう変わる?
では、仮にこの裏技がRTAで採用された場合、タイムの短縮以外にどのような変化が起こるのでしょうか。
その1つとして挙げられるのが、ルートの変更です。
冒頭でも少し触れたとおり、パズルボブル2のひとりでパズルはルートが選べるようになっており、プレイヤーは以下のようなマップを進んでゴールを目指します。
たとえば、最初にAを選んだ場合、次はCかDのいずれかを選択するという方式です。
現在の世界記録は、この64通りのルートのうち、以下のようなルートを通ってクリアしています。
現在では、このルートが人力では最も早いと考えられており、ほとんどの走者がこのルートを使用しています。
しかし、Wステージはスターバブルの恩恵が大きいことから、裏技を使用すれば、Wステージを通ってゴールする「Wルート」が最速になる可能性があるのです。
裏技を使用することで実際にWルートの方が早くなるのかは検証が必要ですが、日の目を浴びることがなかった他のルートが注目されるきっかけとなったのは間違いありません。
おわりに
今回の新発見で、リリースから25年を迎えて初めて明らかになった(かもしれない)スターバブルの裏技。
アクションゲームなど、さまざまなRTAの新技発見が相次いで報告されている今日、この裏技はそれほどインパクトが強いものではないかもしれません。
しかし、この発見でパズルボブルRTA界隈が大きく賑わったことは疑いようのない事実です。
一走者として、これからもこのゲームのRTAが発展していくことを願うばかりです。
さて、偶然にも、3月7日から8日に開催されるRTA 1n Kagawa Onlineにて、この裏技で大きな話題となったパズルボブル2のPuzzleが披露されます。
残念ながら裏技を見ることはできませんが、世界記録保持者の華麗な走りが見られますので、ぜひご覧になってくださいね。
パズルボブルRTAをやる人。みんなからはタイトーの回し者と呼ばれておるぞ。
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