【PS&Switch版 ドラクエRTAリレー対決向け】PS2版DQ5RTAの紹介

RPG

はじめに

8/8(土)~10(月)、『第10回PS&Switch版ドラクエRTAリレー対決』(以下PSSWDQRTAリレー)が開催される。このイベントは4チームに分かれてPS版とSwitch版のDQ作品を走ってその合計タイムを競う大会で、それぞれの日程に対応する作品は、8/8(土)は『PS版DQ4』『PS2版DQ8』、8/9(日)は『PS版DQM2』『PS版DQ7』、そして8/10(月)は『Switch版DQ11S』『PS2版DQ5』となっている。

この記事では、PSSWDQRTAリレー最後の作品である『PS2版DQ5』の「カジノ技非使用」カテゴリを取り上げる。

豊富な関連イベント

PSSWDQRTAリレーには、関連イベントがいくつも立ち上がっている。

7/12(日)の13:00~19:00には、がくしん氏の企画する『PS2版DQ5おつかいRTA』が大会中間イベントとして開催される。「おつかいRTA」とは、さまざまなお題が提示され、そのお題を達成すると入手できるポイントの合計を競う大会だ。走者はユーリル氏・Maru氏・みるきぃ氏・けった氏の4名。青年期前半からの開始となる。ちなみにおつかいRTAに似た企画であるリカバリーTAは、『PS2版DQ5』では筆者の知る限り過去に2008年2010年2012年2014年の4回開催されている。2020年は一体どんな問題が飛び出すだろうか? 走者へのアドバイスは禁止なので、視聴の際は注意されたい。

7/19(日)には10:00から、RTA Racingをお借りして大会の宣伝を兼ねたカジノ技非使用RTAの並走が行われる。走者はMaru氏(世界7位・10走アベレージ記録6:22:53)・けった氏(世界2位)・がくしん氏(世界4位)そして筆者(世界3位)の4名。解説を担当するのはPSSWDQRTAリレー運営の一員でもあるBANRI氏と解説請負人ことアジーン氏の2名だ。
更に20:00からは大会中間イベントとして有識者を招いた『PS2版DQ5』の座談会が予定されている。これは各自討論テーマを持ち寄って話し合う企画であり、これまでも非常に内容の濃い話し合いがなされてきた。採用作品のうちDQ5以外の座談会は既に終了しているが、運営長御茶麒麟氏自らがまとめた議事録からその内容を確認できる。

またDQ繋がりでは、7/18(土)~8/2(日)にはDQ五輪という大会が開催される。様々なDQ作品の様々な種目(カテゴリ)を一発勝負で走る大会だ。採用種目には一般的なカテゴリの他にDQ4のオリンピックならぬオーリンピック(オーリン加入RTA)などがあり、『PS2版DQ5』ではオープントレイ技を利用してビアンカとフローラが同時に加入している状態でクリアする「両手に花RTA」が目を引くところ。これらの種目全てが実際に走られるわけではないかもしれないが、採用種目の一覧を眺めているだけでも面白いだろう。

『PS2版DQ5』のRTAについて

エニックス(現スクウェア・エニックス)』が初のスーパーファミコン用ドラゴンクエストシリーズとして1992年に発売した『ドラゴンクエスト5』。そのプレイステーション2移植版は2004年に発売された。

移植前同様、モンスターを仲間にしたり、結婚相手を選んだり、自分の子供を連れて冒険することができる『PS2版DQ5』。PS2への移植によってグラフィックが美麗になったりパーティ人数が3人から4人に増えるなどの変化があるが、ここではPS2版の特徴として入力レスポンスがすこぶる良好な点を取り上げたい。素早くコマンドを入力してもしっかり反応してくれるためコマンド入力速度 でストレスを感じることはほとんどないのだ。また、行動モーションが終わりきらないうちに次の行動モーションが開始される戦闘のテンポも非常によい。

『PS2版DQ5』のコマンド入力を象徴するのは「個人逃げ」だろう。「個人逃げ」とは味方ひとりひとりが「にげる」コマンドを実行できるというPS2版だけに存在するシステム。このシステムのお陰で、RTAでも終盤の強力なエンカで死者を出すことなく安全に逃げることができるのだ。実際に入力している風景はこんな感じ。入力レスポンスのよさがわかるだろうか。

PS2版DQ5 個人逃げ中の手元 Part 1 (十字キーのみ)

ちなみに、十字キーと左スティックを併用した個人逃げの入力方法が筆者によって今年4月に発見された。今更感は否めないものの、発見や改善のめっきり減ってきた最近の『PS2版DQ5』の数少ない新ネタである。

PS2版DQ5 個人逃げ中の手元 Part 3 (十字スティック併用案2)'

一発勝負における見どころ

『PS2版DQ5』は、ゴールドオーブがゲマに破壊されるまでの幼年期、ジャミを撃破するまでの青年期前半、そして青年期後半の3区間に分けられる。

それぞれの区間において運でタイムに差がつきやすいポイントをひとつずつ挙げると、幼年期は雪の女王戦(実力も大きいが)、青年期前半は仲間モンスターツモ~サンタローズの洞窟メタルスライム撃破数、青年期後半ははぐれメタル狩りだろうか。

逆に実力がタイムに反映されやすい玄人向けなポイントを挙げるならば、幼年期はレヌール城の立ち回り、青年期前半は道中狩りの判断、青年期後半はボス戦の立ち回りだろう。それぞれの詳細は後述する。

幼年期

レヌール城

アルカパでブーメランと大量の薬草を買い込んだらレヌール城へと出発する。このレヌール城は『PS2版DQ5』のRTAにおいて最も難しいダンジョンと言われている。エンカウント、特に城地下の強エンカが、主人公とビアンカしかいないパーティに対して非常に強力だからだ。

回復を怠らない・隊列を入れ替え打撃被弾率を操る・ルカニを受けたら防具を装備してもう一度ルカニを誘発させる「ルカニ伸ばし」を行うなど、取れる選択肢が少ない中でも適切な判断で最善を尽くしても、エンカによっては全滅もある区間だ。

エリックに話しかける直前やボスである親分ゴースト戦で全滅すると非常にロスが大きい。なるべく避けたいところである。

エリックこと王様に話しかける前に全滅すると非常にロスが大きい

雪の女王

妖精界のボスである雪の女王。こいつは幼年期どころか全体通して最も勝率が低いボスだ。行動パターンは「(攻撃 or 冷たい息)→(攻撃 or ヒャド)→(ホイミ or 気合いため)」。

雪の女王はそこそこ強いボスだが、勝率の低い原因はどちらかというとこちら側にある。というのも、重要な呪文であるホイミやルカナンを操るベラを手動で動かすことができず、AIに任せるしかないからだ。

ベラのAIは要回復キャラがいてもホイミで回復してくれるとは限らないし、ルカナンで雪の女王の守備力を減らしてくれるかどうかもAIの気まぐれ次第(雪の女王はルカナン弱耐性なので確定で効くわけでもない)。そんなベラのAIの特性を把握して立ち回る必要があるのだ。

ベラの最大HPは38です

更に、雪の女王の気合いため攻撃は非常に威力が高く、これがベラに直撃するとHPがまんたんであっても約6割の確率で死ぬ。ベラを手動で動かせないから防御することができないし、AIが防御してくれるわけでもない。なのでベラへの気合ため攻撃対策としては、命の木の実の投与で最大HPを伸ばしたり、打撃被弾率の低い最後尾に置いてお祈りするしかない。

なお雪の女王のいる氷の館では、アルミラージやカパーラナーガの大群といった、逃げるのに2回失敗するだけで死ねるとんでもないデスエンカを踏む可能性もある。

これぞデスエンカ

青年期前半

仲間モンスター

DQ5といえば仲間モンスター。モンスターじいさんとの会話と馬車の購入によって一部のモンスターを仲間にできるようになる。仲間にできるモンスターのうち最後に倒すことで、一定の確率で起き上がってくれるのだ。RTAでは、アプール(エビルアップル)とピエール(スライムナイト)の2匹を確定で起用する。

アプール(エビルアップル)

アプール(エビルアップル)はアルカパの西部で仲間にする。つい先日Maru氏によって公開され一部で話題となったPS2版DQ5エンカウントシミュレータによれば出現率は約28%。アルカパの宿屋でヘンリーの話を聞くイベントついでに足を伸ばす形となる。

起き上がり率は1/2。加入時点でHPが90もあり、素早さが高いため個人逃げ要員として最後まで使え、力も高い。Lv3で習得するルカニはボス戦で、Lv10で習得するマヒ攻撃は道中狩りで大活躍する。誰が言ったか「固い・速い・強い」の3拍子揃った仲間モンスターだ。通称りんご

「おいしく 食べないでね。」

ただし加入時点では「賢さ」が20に満たないため命令ができない。命令を聞くようにするには賢さが20以上になるまで育ててやる必要があるのだが、問題なのは、種やLvUP時の能力値の上昇値にランダム性があること。運がいいとLv7(3,166exp)で賢さが20に達するが、運が悪いとLv9(4,441exp)でやっと。RTAでは賢さの上昇値に走者が一喜一憂する姿が見受けられるだろう。

ピエール(スライムナイト)

起き上がり率は1/4。最初からホイミを使うことができ、Lvを上げればベホマやイオラまで習得してくれる。更に火炎・ギラ・イオ・バギ・デイン系強耐性をもち、これらの被ダメージを1/3にしてくれる。40~60ダメージの火炎の息を吐きまくる死の火山のボス溶岩原人を突破するにはピエールがほぼ必須である。装備できる武器防具も優秀で、アプールとは異なり加入した時点で命令可能な点も非常にありがたい。通称勇者ピエール

ピエールを仲間にするやり方には、シナリオを進めながら仲間ツモを狙う「後ピエ」と、サンタローズの洞窟前にツモる「先ピエ」の2通りある。スライムナイトはラインハット周辺で約38%の確率で出現するのだが、このラインハット周辺のエンカ域はラインハット側の大陸だけではなく、一部サンタローズ側の大陸まではみ出ている。サンタローズの洞窟に入ってシナリオを進める前に、このはみ出たエリアでピエールを仲間にするのが「先ピエ」である。

(画像は筆者のサイトより)

先ピエのメリットは、なんといっても、サンタローズの洞窟に入るメンバーが1人増えることでメタルスライムを喰える確率が上がり、かつその経験値がピエールにも入ること。喰えるメタルスライムが増えれば前述したアプールの賢さ問題も解決されやすい。デメリットは、ラインハット周辺のモンスターはこの時点(アプール加入直後)のパーティにとってはだいぶ強いためスライムナイト出現エンカ以外はほぼ逃げざるをえず、そのためツモまで掛かった時間がほぼ純ロスとなることだ。

うまくいかなかったらリセット前提の記録狙いならば筆者は先ピエ一択と考えているが、一発勝負であればどうだろうか。

ボロンゴ(キラーパンサー)

起き上がりモンスターではないが、カジノ技非使用RTAではキラーパンサー(以下ボロンゴ)も加入させるのが一般的である。魔物のすみかの最深部にいるボロンゴは、主人公がビアンカのリボンをかざすとフニャーゴロゴロなどと言い出して仲間になってくれるかわいいやつだ。

キラーパンサーの名前は走者による

わざわざ魔物のすみかへ足を伸ばしてまで仲間にするのは、後述するグランバニアの手強いボスに対するメイン火力になれるからというのが主たる理由だが、最初からHP・力・素早さが高い上に命令も聞いてくれる即戦力でもあるからだ。ただ、青年期後半のエルヘブンまで到着したら用済みとなってしまうが……。

その他

他にはマッシュ(おばけきのこ)、ニトロ(ばくだんベビー)、エビアン(エビルアップル2匹目)、ミステル(ミステリードール)が有力な仲間候補だ。また起き上がり率1/256と非常に低いが、非常に高い身の守りと素早さと非常に低いHPを誇るメタリン(メタルスライム)もいる。

死の火山周り

青年期前半では道中稼ぎを行う。その目標は、ダンジョン脱出呪文であるリレミトを主人公が習得するLv14(12,419exp)まで。経験値を稼ぐペースが遅ければ滝の洞窟でリレミトを習得することになる(滝リレ)が、その場合死の火山の脱出手段がリレミトではなく遅い自殺ルーラになるので、できれば溶岩原人撃破時点でリレミトを習得したい(火山リレ)。

もちろん火山リレが理想ではあるが、それが可能かどうかは1,350expもの経験値をもつメタルスライムを狩れた数の影響が大きい。目安としては2匹以上狩れていれば火山リレミト圏内と言えるだろう。

溶岩原人

死の火山のボスである溶岩原人は3匹同時に登場し、その行動パターンは「攻撃・火炎の息・様子を見る」。火炎の息は40~60ダメージのブレスであり、炎強耐性持ちであるピエール以外には痛すぎる。正面から戦おうとすると焼きりんご待ったなしだ。そこでピエールにスカラを2回掛けて打撃をほぼ無効化し、ピエール以外は馬車に仕舞うピエール単騎戦術が取られる……というよりこれ以外はないだろう。

恐ろしい火炎の息も勇者ピエールなら痛くない

ただし、ピエールにスカラを掛ける開幕2ターンはスカラ役の主人公を馬車から出さざるを得ない。弾除けとして他のキャラも同時に出して最後尾に主人公を置くが、火炎の息2回だけでも主人公は死にかねないため開幕2ターンは緊張が走る。この開幕2ターンで無事死者を出さずに済むかが見どころだ。

ところで溶岩原人戦で主人公が死んでしまった場合、死の火山の脱出手段は自殺ルーラ一択となる。リレミト習得可能な経験値調整が完了していたとしてもだ。火山リレ予定が滝リレになってしまうそのときの落胆は、なかなか言い表せないものがある。

結婚

DQ5といえば結婚。ビアンカとフローラの2人からどちらかを選ぶことになるが、PS2版のRTAではどちらを選ぶべきか。以下にそれぞれのメリットを挙げる。

メリット
ビアンカ
  • イベント時間がフローラよりも3分半ほど短い。
フローラ
  • グランバニア到着までフローラのベホイミが使える。
  • 青年期前半で手に入るお金がビアンカよりも10,000Gほど多い。
  • 青年期前半でボロンゴを仲間にしていた場合、青年期後半にカボチで神秘の鎧が手に入る。
  • ブオーン撃破後、ルドマンの妻から5,000G貰える。

フローラを嫁にした場合、青年期前半に手に入る10,000Gを使って手強いグランバニアのボスに向けて手厚い装備を整えられる。更に(青年期前半でボロンゴを仲間にしていた場合に限るが)青年期後半で神秘の鎧(守備力75・毎ターンHP30回復)が手に入る。これが優秀で、天空の鎧が手に入るまでの男の子の鎧となる(神秘の鎧が手に入らないビアンカ嫁は、妖精の村で炎の鎧(守備力70・氷ヒャド耐性15)を買って装備させるのが主流)。

神秘の鎧を持って10年間迷子になっていたことで有名な兵士氏

ビアンカを嫁にした場合はフローラ嫁の様々な特典は得られないものの、イベント時間が3分半ほども短い。そのため記録狙いではビアンカ嫁の戦略が採用されることが多い。

イベントの短いビアンカは記録狙い向け、装備の充実するフローラは一発勝負向けと言えるだろうか。

お約束

グランバニアの手強いボスたち

チゾットで買った「炎の爪」をボロンゴに装備させ、更にバイキルトの効果をもつ「ファイト一発」をグランバニアで買い込んで戦闘中に使うことで、ボロンゴは非常に高い火力を得る。これがグランバニアの手強いボスへの対策であり、わざわざ寄り道してボロンゴを加入させている最大の理由だ。

またボロンゴがLv17になって「気合いため」を習得すれば、「気合いため」と「攻撃」を交互に行うことでより高いダメージを与えられる。

ルカニを入れた上でバイキルト気合いため攻撃を当てればこのダメージ!

カンダタ

カンダタは試練の洞窟のボスで、シールドヒッポと同時に登場する。カンダタの行動パターンは「攻撃・ベホイミ・痛恨の一撃」。こいつは単なる「攻撃」自体もベホイミで回復が追いつかないことがあるほど強いのだが、最大の問題は守備力を無視して240前後のダメージを与えてくる痛恨の一撃。こちらの最大HPは高くとも120前後。有無を言わさぬ一撃死攻撃だ。

豪快にりんごを調理するカンダタ氏

ここに来るまで確実に手に入る世界樹の葉はたった1枚だけだが、序盤に回復役のピエールやメイン火力のボロンゴが殺された場合はその貴重な世界樹の葉で蘇生せざるを得ない。死者が終盤に出た場合などはケチってもいいが、それはそれで教会蘇生ロスが発生する。そのためカンダタ戦では痛恨の一撃が来ないよう祈りつつ戦うことになる。

キメーラLv35

ジャミの直前に戦うボスがこいつ。行動パターンは「攻撃・ベギラマ・火炎の息・ヒャダルコ・ベホイミ」で1~2回行動。恐らく青年期前半では最も強いボスだろう(オークLv20はザコなので省いた)。

こいつは全ての行動が痛く、しかも2回動く可能性がある。素早さが非常に高くアプールでも先攻後攻はほぼ五分で、アプール以外はほぼ先攻できない。HPが低いのがせめてもの救いだ。

主人公死にがち

この次のジャミ戦開始時、主人公が死んでいる場合は嫁が蘇生してくれる。キメーラLv35戦では、死にかねない状態の主人公を動かす危険な光景が時々見られるが、それはこの自動蘇生イベント頼みの立ち回りだったりする。

ジャミ

青年期前半最後のボス。行動パターンは「攻撃・凍える吹雪・メラミ・バギクロス」。こいつの行動で痛いのは凍える吹雪。全体に50~60ダメージのブレスで、これを連発されると回復が追いつかなくなる

ジャミ戦開幕は無敵バリアが張られており何の攻撃も通らないが、主人公HP1/3未満または7ターン経過すれば無敵バリア解除イベントが発生して攻撃が通るようになる(この際、主人公は死んでいようが完全に回復される)。ただし本格的に攻撃を始めるのは、マホカンタの自然解除を待ってルカニを入れてからになるだろう。

ピエールにスカラを2回入れて天空の盾でマホカンタを張ることで回復役のピエールを動かしやすくしておき、かつバギクロスやメラミの反射も狙ったりもする。

渾身のバギクロスを反射されるジャミ氏

余談だが、凍てつく波動の効果を持つ天空の剣があればジャミのマホカンタは速攻で解除できる。デモンズタワーに向かう直前にこの天空の剣を勝手に没収するサンチョを恨めしいと思ったことのある走者は、筆者だけではないだろう。

青年期後半

カジノ技非使用の青年期後半の戦略には「はぐれメタル4匹狩り」、「同5匹狩り」、必要最低限の経験値しか稼がない「ザオリクカット」戦略なんてものも存在している。しかしここでは現在主流となっている「はぐれメタル6匹狩り」戦略に絞ってその流れを紹介したい。

地下遺跡の洞窟では壁抜けもあるぞ(とても簡単)

青年期後半で起用する仲間

青年期後半では、主人公が石化させられている間にすくすく成長した男の子・女の子と、なぜか幼年期から全く姿の変わらないサンチョをパーティに加える。

男の子

息子やレックスとも呼ばれる。回復呪文はベホイミ・ベホマ・ザオリク、補助呪文はスクルト・フバーハ、攻撃呪文はライデインなどを習得する。また、男の子専用装備の天空シリーズが非常に優秀で、身につけることで高い攻撃力・守備力・耐性を確保できる。攻守に渡って広く活躍するキャラだ。

Lv23で習得するフバーハはブレスのダメージを7/10に軽減できるため、終盤のボスが使う輝く息や灼熱炎といったブレスに耐えるため必須だ。Lv27で習得するザオリクは、MPを20も消費するものの味方1人を確実に蘇生できる。このためラスボス戦で発生する死者を蘇生する重要な役割も担う。

女の子

娘やタバサとも呼ばれる。素早さが高いため個人逃げ要員として使ったり、祝福の杖や賢者の石をもたせ先制回復役とする。習得する呪文はルーラ・リレミト・ヒャダルコ・バイキルト・ルカナン・イオラ・マホカンタと、補助系が多い。特に重要なのは戦闘中のルカナン・バイキルトと、ある意味戦闘呪文よりも重要なルーラ・リレミトだろう。

妖精の城で拾える女の子専用装備プリンセスローブの火炎・吹雪耐性(軽減ダメージ)は、天空の鎧の30を上回る40もの値を誇る。そのためブレスにはめっぽい強い。

サンチョ

加入時点でHPが214もあり、最終的には300を超える。その高いHPを活かして1列目に壁として置くことが多い。ボス戦では壁役兼アタッカーとして雷神の槍を、途中からは魔神の金槌を振るう。RTAで使う呪文はスクルト・口笛・忍び足。

はぐれメタル狩り

エルヘブンで星降る腕輪を入手したら、グランバニアの洞窟1Fではぐれメタルを6匹狩って一気にLvを上げる。ここのはぐれメタル出現率は約19%と高い。この時点ではぐれメタルを6匹喰っておけば、後述するゲマ1戦で男の子のフバーハや女の子のルカナンを使えるのだ。

はぐれメタル狩りではアプールと女の子は毒針ではぐれメタルを突き、それ以外のキャラは聖水を投げる。最も素早いアプールには素早さが2倍になる星降る腕輪を装備させ、はぐれメタルへの先攻を狙う。更に、身の守りの低いサンチョに刃の鎧を装備させて先頭に置くという工夫も行う。刃の鎧は1/2の確率で打撃被ダメージの1/4を跳ね返すため、はぐれメタルへの反射ダメージを狙えるのだ。

エンカ速度を上げるために「匂い袋」を使い、サンチョの「口笛」習得後は「口笛」に切り替える。はぐれメタルを含まないエンカは全て逃げるので「個人逃げ」の入力速度も重要だ。

毒針によるはぐれメタルの急所突き

これだけの準備を重ねても、はぐれメタル6匹狩りは平均で30分前後の時間が掛かる。運がいいと20分以内で終わるが運が悪いと1時間を超えることもある。運だけでタイムが最大40分以上ブレてしまう恐ろしい区間だ。

青年期後半の手強いボスたち

ゲマ1

ゴンズとともにボブルの塔で主人公を待ち構えているボス。ゴンズはザコだがこいつはなかなか手強い。行動パターンは「 攻撃・メラゾーマ・激しい炎・マホカンタ」で1~2回行動。

激しい炎は耐性装備・フバーハ・強耐性持ちのピエールによってだいぶ軽減できるが、問題なのは単体に92~128のダメージを与えるメラゾーマの使用率が高いこと。連続で同じキャラに2回飛ぶと、はぐれメタルを6匹も喰ったこの戦力でも簡単に死ねる。ゲマ1はルカニ・ルカナン弱耐性なので、女の子のルカナンを2回入れ守備力を0にしてから攻撃を加えることとなる。

ゲマ1はメラゾーマが痛い

なおSFC版とは違いゲマとは青年期後半で2回戦うため、1回目に戦うこのゲマは「ゲマ1」と呼ばれる。

ブオーン

ラスボス以上に登場シーンが長くて手が込んでいることで有名なPS2版のブオーン。その強さ自体もかなりのものだ。行動パターンは「攻撃・激しい炎・スカラ・稲妻・ルカナン」で1~2回行動。

稲妻やルカナン連打後の打撃が痛く、特に打撃が後列に刺さると死者が出かねない。強いときと弱いときの差が激しいボスでもある。RTAではスカラやスクルトでこちらの守備力を高めた後、ルカナン対策として男の子が天空の盾でマホカンタを張る。こうすることで男の子の守備力だけはルカナンから守りつつブオーンに反射する、という戦術だ。

ルカナンで守備力を落とされた後の打撃が痛い

ブオーンを撃破すると最後の鍵が手に入る。RTAではこれによって進入可能になる封印の洞窟でサンチョの武器である魔神の金槌を回収しにいく。魔人の金槌は「会心の一撃」と「ミス」が1:1の割合で出る武器で、ルカニが効かない大神殿のイブール以降のボスの火力として有用だからだ。この魔神の金槌の打率もRTAの見どころのひとつと言えるだろう。

ミルドラース(変身前)

ラスボスのミルドラースは、変身前はミルド1、変身後はミルド2と呼ばれている。

ミルド1の行動パターンは、奇数ターンは「輝く息」を、偶数ターンは「メラゾーマ・凍てつく波動・攻撃・仲間呼び(悪魔神官)・仲間呼び(キラーマシン)」のいずれかを使用する。

ミルド1の行動のうち問題なのは仲間呼び。悪魔神官またはキラーマシンを2匹呼び出す行動だが、この仲間呼びが多いとその処理に時間を取られてタイムが遅れてしまう。特に危険なのはキラーマシンで、こいつは攻撃力が高い上に確定2回行動、しかも男の子でも僅かに後攻する可能性があるほど素早く、対処がまずいと全滅まである。このキラーマシンに要注意だ。

キラーマシンには男の子のライデインが効かないのだ

なおこの戦闘はミルド2との連戦となるため、撃破時のHP状況にも気を配る必要がある。

ミルドラース(変身後)

本RTA最後の戦闘となるミルド2。こいつの見た目は終始変わらないが、実は一定のダメージを与えると形態が移行して攻撃パターンが変化している。ダメージを喰らったときにミルド2がのけぞるのが形態変化した目印だ。

のけぞるミルド2氏

形態HP行動パターン備考
第12500(攻撃 or 灼熱炎)→(凍てつく波動 or イオナズン)→(マホカンタ or ルカナン)1ターン目は確定で「攻撃」
第22000(ローテーション飛ばし or 灼熱炎)→(凍てつく波動 or メラゾーマ)→(ルカナン or 攻撃)他の形態より素早さが低い
第32500(灼熱炎 or 痛恨の一撃)→(メラゾーマ or ルカナン)→(イオナズン or 凍てつく波動)「痛恨の一撃」は確定215ダメージ

ミルド2が全ての形態で使用する灼熱炎は150~170ダメージのとんでもない威力を誇るブレスで、フバーハで軽減しても非常に痛い。そこで頼りになるのが我らがピエール。ピエールは火炎強耐性を持つため、フバーハのない状態でも最大で([170*1/3]=)56ダメージしか喰らわない。更にピエールはイオ強耐性も持っているためイオナズンも怖くないのだ。

最後の最後だけあってこの戦闘では死者が出やすい。男の子以外が死んだ場合は男の子の「ザオリク」で蘇生すればいいのだが、問題は男の子が死んでしまった場合。RTAにおける戦闘中の蘇生手段は、男の子のザオリク、世界樹の葉、そして成功率1/2(しかも蘇生後のHPは最大HPの1/2)の主人公のザオラルの3種類しか存在しない。男の子が死んでしまった場合、その蘇生手段は数少ない世界樹の葉か、不確実なザオラルに頼るしかないのだ。男の子は攻守の要ゆえ、なるべく死なせないようにしたい。

ピエールは しんでしまった!

灼熱炎以外に危険なのは第3形態の痛恨の一撃。この攻撃は守備力を無視して215ダメージを与える。最大HPの高いサンチョなら耐えられるが、それ以外の男の子・女の子・ピエールは、そもそも最大HPが216まで届かないことも多い。そこで男の子が痛恨の一撃に耐えられるよう、HP最大値を伸ばす命の木の実を男の子にいくつも投与して最大HP216以上を確保する戦略をとる人が多い。ただし全く投与しない戦略も存在する(筆者はこっち)。

ミルド2の第3形態を撃破すれば、あとは操作終了地点までエンディングを進めるだけだ。

エンディング中にも壁抜けが!?

ちなみにエンディングはフローラの方が約4秒短いので、ビアンカ嫁走者とフローラ嫁走者のラスボス撃破がほぼ同時の場合、フローラ嫁走者が僅差で勝つことになるだろう。

カジノ技非使用以外のカテゴリ

せっかくの機会なので、カジノ技非使用以外のカテゴリも紹介したい。

エスターク撃破

クリア後に挑戦できる裏ダンジョン「謎の洞窟」の最深部にいる裏ボス「エスターク」を撃破するまでのタイムを測るカテゴリ。

エスタークは眠り完全耐性を持たないため、安眠枕・女の子のラリホー・青リンゴことガップル(ガップリン)の眠り攻撃やラリホーマを駆使して徹底的に眠らせて叩く戦術が取られている。カジノ技非使用RTAの延長で挑戦できるお手頃なカテゴリとなっている。おひとついかが?

PS2版ドラゴンクエスト5エスタークRTA (カジノ技非使用) 6:48:04 – ニコニコ動画(クリア後部分のみ)

カジノ技使用

乱数調整によってカジノで大当たりを引く「カジノ技」が許可されるカテゴリ。2017年末の『RTA in Japan 2』にて筆者が走らせていただいた。

マリアから貰った1,000Gをオラクルベリーのカジノのスロットに全ツッパしてメタルキングの剣や大量の世界樹の葉やエルフの飲み薬といったチートアイテムを青年期前半開始直後に手に入れる。そのためしばらくは楽々進めるが、青年期後半に入るとそうも言っていられなくなり、ゲマ1・ブオーン・ミルド2では世界樹の葉の消耗激しい死闘が繰り広げられる。アプールとピエールはこのカテゴリでも欠かせないが、ボロンゴの火力は必要とされない。かなしい。

Any%

あらゆる手段を用いてミルドラースを撃破するまでのタイムを測るカテゴリ。2016年末の『RTA in Japan』にてHoishin氏が走った。

オープントレイやスティックバグによって本来行けない闇の空間やデバッグルームへ行き、デバッグルームでLv99にした後はトヘロスでエンカを完全に消し、必要最低限のボス戦すら「主人公が死ぬと戦闘勝利扱いになる」というフラグを維持して進むことで全て僅か1ターンで終わらせてしまう。魔界への扉はアイテム増殖技で増殖させた炎のリングで不正に開ける。アプールとピエールの出る幕はない。とてもかなしい。

おわりに

第10回PS&Switch版ドラクエRTAリレー対決』の開催時期は8/8(土)~10(月)。この大会、前回第9回までは深夜帯もリレーが続いていたが、走り方改革が導入された今回は、深夜にはリレーが一時中断される運営にも走者にも視聴者にも優しい大会となっている。ぜひぜひご覧になっていただきたい。筆者もCチームのDQ5担当として参加させていただく予定だ。

なお筆者は『PS版DQ7』の記事も書く予定である。そちらもお楽しみに……。


※注釈のない画像は『PS2版DQ5』より引用。

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