ドラゴンクエスト11は、今や国民的RPGともいえるドラゴンクエスト(以下DQ)シリーズのナンバリングタイトルとして2017年にプレイステーション4とニンテンドー3DSの両機種で発売された作品である。
新作ナンバリングタイトルとしては2012年サービス開始のDQ10以来5年ぶり、スタンドアローンの作品では2009年のDQ9以来実に8年ぶりというDQファン待望(筆者の主観を含む)の作品であった。
その後、2019年にSwitchへ移植・機能の追加がなされ発売されたのが今回紹介する「ドラゴンクエスト11S」である。
「ドラゴンクエスト11S」RTAについて
DQ11RTAのメジャーなカテゴリーは、ラスボスを撃破するまでがタイムの計測区間である。(DQシリーズのRTAはED終了後までが計測区間となっていることが多いが、これはプレイステーション4版・Switch版のEDが録画禁止区間に入っているための措置である)
DQ11RTAは3Dの広大な世界を旅しながら、効率よくイベントをこなしていく必要があるため、性質上どうしてもプレイ時間に対する移動時間・イベント時間が占める割合が多くなっていた。
詳細な内容は今回は割愛させていただくが、据え置き機として先んじて発売されたプレイステーション4版のDQ11はプレイ時間が12時間を超える長丁場の作品であった。
Switch版発売の発表があった当初は、ボイスやイベントの追加等の情報もあり、プレイ時間としてはPS4版と同じ程度か、追加要素でさらに時間がかかる可能性もあるのではないかと筆者は感じていた。
だがいざ蓋を開けてみると、RTAをやってくださいと言わんばかりのシステム機能追加である!
以下にその1例を示してみる。
・イベントムービースキップがある
・戦闘が高速化できる
・移植前は後半からしかできなかったスキルリセットが前半からできる
・移動方法にダッシュが追加
・フィールドで馬(高速で移動できる乗り物)がどこでも呼べるようになった(移植前はフィールドの特定位置のみ)
これらの技を駆使してチャートが洗練されていき、プレイステーション4版と比べてプレイ時間は大幅な短縮に成功。
現在では6時間を切る記録も出てきている。
ドラゴンクエスト11Sの2D⇔3Dの切り替え
今回イベントフラグスキップ技の紹介にあたり、Switch版で追加された新たな機能をひとつ紹介しておきたい。
それはゲームの3Dモードと2Dモードの切り替えである。
この機能はプレイステーション4版をベースにした3Dモードと、ニンテンドー3DS版で実装されていた2Dモード(昔のドットDQを再現したモード)をセーブ可能な場所で切り替えることができる。
©ユーリル
画像:3Dモードからの切り替え時(左)、2Dモードからの切り換え時(右)
ただしこのモード切替を使用する際には注意が必要である。
というのも、3Dモードと2Dモードを切り替える際に、現在の場所・状態ですぐ続きができるのかというと実はそうではない。
モードを切り替える際に進行するストーリーを選択するのだが、現在進行しているイベントが巻き戻り、選択したストーリーの最初からやり直しになってしまうのである。(所持アイテムとステータスは変化しないものの、巻き戻しの際にイベントアイテムは没収される)
一応メリットとして、取得した通常アイテムの宝箱等が復活するため取得しづらいアイテムを何度も取ることはできるものの、RTAとしてはタイムロスにしかならず、短縮技として日の目を浴びることはなかったのである。
余談ではあるが、ニンテンドー3DS版でも3Dモード(デフォルメポリゴン)と2Dモードを切り替える機能が搭載されていた。
こちらはどこでも切り替えが可能であり、イベントの巻戻りも発生しない。
2Dモードではマップ移動、戦闘、メッセージ送りと全体的に進行が早いため、ニンテンドー3DS版RTAでは2Dモードで進めるのが主流である。
Switch版でも2Dモードで進行すれば早いのかというと、残念なことにSwitch版では新しく追加された戦闘高速化、イベントスキップ等が行なえず、総合して3Dモードに軍配が上がる
新しく見つかったフラグスキップ技について
発売してからしばらくたっても、DQ11SはRTAに影響する大きなバグ技は発見されず、カテゴリーとして大きく分かれることはなかった。
しかし、2019年末~2020年始にかけてDQ11RTA界隈をある情報がにぎわせた。
それが「3Dモードと2Dモードの切り替えで必須イベントがスキップできる」というものである。
DQ11は世界各地を回り、6つのオーブを集めるというイベントが存在する。
オーブを集める順番はイベント進行の関係で縛りはあるものの、ある程度自由に世界をめぐって集めることができ、すべて集めることでさらに先のストーリーへ進行することができる。
今回発見されたフラグスキップ技は、「ブルーオーブを取得した後に、3Dモード2Dモードを切り替える」と、「まだ取得していないオーブがあっても、オーブすべて取得した後のイベントが選択できる」というとんでもない技である。
カット可能なオーブの中にはボスの撃破が必要なオーブも含まれており、戦闘時間が純粋に短縮される。
©ユーリル
画像:モード切替後にイベントを選択する画面
「そろった6つのオーブ」がストーリー選択画面に現れるが実際はそろっていない。
ブルーオーブというのは通常プレイをすると、多くのプレイヤーはオーブの中で最後に取得するものであろう。
だが、ブルーオーブは最短で進行すると3つ目に入手が可能である。
RTAという効率のみを突き詰めた遊び方が、ブルーオーブを取っていればすべてのオーブを取っているだろうという制作陣の意図をすり抜け、今回のフラグスキップ技の発見に至ったのだろう。
現在も研究は進められているが、今回のフラグスキップにより、RTAでも時間の短縮が見込まれている。
どこまで短縮が可能なのか、また使用の有無のカテゴリーはどうなるのか界隈の動向に今後も注目していきたい。
ちなみにDQ11Sは2020年5月2日より開催予定の「第3回ニコ生マザーシップタイトルRTAリレー 」の作品にエントリーされているので、こちらにも注目だ。(詳細なこちらから)
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