【Cart Racer】今話題の買い物かごにおじさんを乗せて飛ばすRTAを紹介

RTAイベント

Cart Racer とは

2017年にSteamで公開された一人用ゲームで、内容は簡単にいうと「買い物かごにおじさんを乗せ、目的地に飛ばすゲーム」である。そのシュールな絵面から、日本では「かごおじ」の愛称で親しまれている。(これは本当である)

まったく言っている意味がわからないと思うので、下の実際のプレイ画像を見てほしい。

©2019 御茶麒麟

買い物かごにおじさんが乗って、飛んでいこうとしているのがお分かりいただけただろうか。

ジャンルは一応「レースのゲーム」(?)に登録されている。(なおジャンルタグには「アクション, アドベンチャー, カジュアル, インディ, レース」が登録されている)

画像を見てもやっぱり意味がよくからないこのゲームだが、公式のゲームの特徴を見るとさらに不信感が増す。

大まかに翻訳すると以下のようになる。

①普通ではないゲーム体験
②ショッピングカートに楽しく乗る
③楽しい4つの難易度
④障害の乗り越えるための楽しい物理学

 

さて怪しげなうたい文句はともかくとして、重要な実際にゲームをやってみての感想は、とても操作が難しい

まずかごに乗れない。そして乗ったはいいがそこでおじさんは動くことをやめ、我々にできるのはかごを右か左に動かすことのみ。それも操作がかなり繊細であり、少しの動きで目的地から行きすぎたり、カートが横転しておじさんが転げ落ちてしまう。

これだけ聞くと「本当に面白いの?」と感じるかもしれないが、かごおじの奥深さはここからである。その要素を3つに分けて解説しよう。

①おじさんを美しくかごに乗せる芸術性

おじさんは乗った後は動かないということは前述の通りだが、乗った時の姿勢が飛んだ後の速度、高さに影響する。すなわち最初のかごにおじさんを乗せる時点で、その回のCart Raceの結果は見えているといっても過言ではない。RTAでも経験則からこの姿勢はうまくいくのかどうかすぐさま判断しリセットする猛者も存在する。

②カートの物理演算と絶妙に設定された目的地

慣れてくるとある程度カートの動きを物理演算し、うまくおじさんを飛ばすことができるようになるのだが、これまた絶妙に設定された目的地におじさんが届かない。特に目的地は高さも重要になってきているため、飛ばしすぎて上を超えてしまったり、緩すぎて目の前で止まってしまって悔しい思いをしたカートレーサー(ここではおじさんをかごに乗せて飛ばすプレイヤーの意)も多いことだろう。

③最終面を打開したときの圧倒的達成感

このゲームは全部で4面構成となっているのだが、各面に難所がある。特に4面の最終ステージは、実力と運が絶妙に絡み合ってようやく打開することができる難易度に設定されており、最初にクリアした際の達成感はたまらない。(あまりの難易度に、延々と聞かされる最終ステージのBGMに実家のような安心感を覚えるプレイヤーも存在するとかしないとか)

 

なぜ今Cart Racer RTAが熱いのか

発売は2017年のこちらのゲームが、なぜ今になってこんなにもRTAで賑わいを見せているのか?

それはひとえに2019年末に開催された「RTA in Japan 2019」の影響であろう。

このイベントのはえあるボーナスゲームとして採用されたのが、そう「Cart Racer」である。

気になる方は、実際に下の録画を確認していただきたい。

走者:sasasa04

実況:くらっちょ

ひたすらかごでおじさんが飛び続けるだけのゲームを面白おかしく解説・実況していただいたsasasaさんとくらっちょさんのトーク力もさることながら、うまくいけば5分以内に終わる気軽さ、そしてちょうど年末年始のタイムセールで50円で手に入れることができる手軽さ。

この3連コンボがCart Racer RTAを爆発的に普及させた要因であろう。

Cart Racer RTAの歴史みたいなの

RTA in JAPANで一気に盛り上がりを見せたCart Racer RTAであるが、これを機にゲーム自体を知ったという方も多いのではないだろうか。かくいう筆者もその一人である。

そこでRTA in JAPANから少し遡って、Cart Racer RTAの歴史を追ってみよう。

今回はCart Racer RTAの第一人者sasasaさんに貴重なお話を聞くことができたので、この場を借りてお礼を申し上げる。

 

このCart RacerというゲームはSpeedrun.comにも登録されているのだが、長らくRindowさんが5:39という記録で1位を死守していた。

しかし、昨年6月中国のCaisangさんという方がその牙城を崩し5:34と記録を5秒更新、比較動画と共にSpeedrun.comに登録したことでにわかに界隈が賑わいを見せる。

時は流れて11月、泥庭さんが5:26という記録を出して1位を奪取、満を持してニコニコ動画へbiim式の動画が投稿された。(⇒biim式解説動画はこちらから)

しかしその11月末、ついに伝説の記録が打ち立てられる。

RTA in JAPAN 2019の録画でも触れられていたが、記事執筆段階で最速と思われるCart Racer RTAの記録「4:30」がアワビPさんによって叩き出されたのだ。(⇒記録動画はこちらから)

前回記録からの大幅更新ということもあり、走者が増えた現在もなお最速記録として君臨し続けている。(2020年1月現在)

 

記録が出る一方で、新たな角度からかごおじにアプローチする研究も行われている。

それが通称「BtC」である。

まずはBtCがどのようなものか見ていただきたい。

つまりBtCとは、おじさんがジャンプして急加速すると同時に、カートに足をぶつけて死ぬことで慣性を維持したまま吹っ飛んでいくことができるという技なのである。

ちなみにこの技の名前の由来であるが、元々はゼルダの伝説ブレスオブザワイルドRTAで使用されるグリッチのひとつである「BtB」から来ているらしい。詳細は検索していただきたいのだが、要するに盾でなんかすごい吹っ飛ぶ技らしい。

この技を発見したのがゼルダの伝説RTA勢の方とのことで、飛び方がBtBに似ていることからもじってBをCartのCに置き換え、「BtC」と命名されたそうだ。(ちなみにBtBはBullet-time Bounceの略らしいのだが、BtCのBtが何を意味しているかは永遠の謎である)

新年かごおじ並走会の開催

RTA in JAPAN配信やツイッターの口コミでじわじわと所有者を増やしていくかごおじ。

そこへRTA in JAPAN 2019でカートレーサーとして活躍を見せたsasasaさんにより、2020年1月11日に満を持して開催されたイベントがある。

そうそれが「新年かごおじ並走会」である。

これは1月11日の0:00~23:59の間にCart Racer RTAを実施し、そのタイムを集計する企画である。このイベントにより、11日は配信サイトで1日中Cart Racer RTAが行われている異常事態が発生。

上記普及効果もあり、最終的にはなんと総計40名(翌日の遅刻枠も含めると45名)ものカートレーサーが参加する大型企画となった。

 

なんと企画の最速記録は驚異の「7分7秒」!

10分切りを4人も達成する驚きの結果であった。(なお筆者も参加したが24分25秒であった)

詳細な結果は下記主催者のツイートリンクから確認できる。

今回の新年並走会は、Cart RacerのRTA界における立場を揺るがぬものとした(と筆者は勝手に思っている)。

新年の苦行イベントといえばくまのプーさんのホームランダービーが有名であるが、FLASHの終了を受け今年で最後の開催であった。(詳細はプリーグで検索)

今後新年の恒例行事として定着していくかはわからないが、Cart Racer RTAの動向には今後も注目だ。

最後に

今回はRTA界に新たな風を巻き起こしているゲーム「Cart Racer」を紹介した。

ちなみにこちらのCart Racerであるが現在はタイムセールが終了しているものの、Steamで100円の価格で手に入れることができる。

気になる方は、明日の缶ジュース1本我慢すれば遊べる価格になっているので、臆せず購入して遊んでみることをお勧めする。(クレームは受け付けていないので自己責任の範囲で)

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