RTA にタイマーは「必須ではない」というコラムです。
タイマー不要とは言っておりませんので、よろしくお願いします。
- ここでの話は
- ○ RTA にタイマーは「必須ではない」
- × RTA にタイマーは不要
この記事は RTAGamers Advent Calendar 2023 の7日目の記事です。
さいしょに
あくまで筆者の意見なので、異論 反論 賛否両論、人それぞれの考えがあって当然の話です。こんな考え方もあるよ、という視点があることを知ってもらえたら嬉しいです。
配信・動画にタイマーを映すことを必須としているゲームタイトル・カテゴリについてはルールに従ってください。
こんなつぶやきを見ることがありますが
筆者が X(Twitter) で RTA に関する情報を集めている中で、こんなつぶやきを見ることがあります。
- 視聴者
- 配信・動画の画面の中にタイマーがないなんて、そんなものは RTA ではない。
- タイマーがないものは RTA とは認められない。
- プレイヤー
- タイマーを入れ忘れたので、記録として認められないのではないかと心配。
- タイマーを用意しなければ RTA を始めることはできない。
タイマーを画面に映すことが必須となっているルールのゲームタイトル・カテゴリならば確かにその通りなのですが、タイマーについて定められていないルールのゲームタイトル・カテゴリの場合は何も問題はないハズです。
必ずしもそうではないことを知って欲しい
もしかしたら「全ての RTA においてタイマーは必須である」と考えているかたが少なからずいらっしゃるのではないかと思い、そうではないことを知って欲しくてこの話をします。
タイマーを必須としているルールは確かにあるのですが、全てのゲームタイトル・カテゴリがそうではないことを知って欲しいのです。
RTA の2つの側面とタイムとタイマーの関係
RTA には、遊びとしての側面と、競技としての側面という2つの面があると考えています。
2つの側面といっても、コインの表裏のように必ず 100% と 0% になるような感じではなく、半分ずつ別々の色のボールのような感じで合計は 100% だけど色の割合が変わる感じのイメージです。
この2つの側面とタイム、タイムとタイマーの関係を考えてみます。
遊びとしての側面とタイム
遊びとしての RTA は、早くクリアしようとする意志の有無に本質があると思っています。早くクリアしようとする意志さえあればそれは RTA だと考えてよい、というのが筆者の考えです。
重要なのはプレイヤーの意志であって、その意思に従ってプレイした結果としてタイムがあります。遊びとしての RTA において、タイムは副次的なモノだと考えています。
この場合、タイムを出すことが目的ではないため、タイムを測ることは必須ではありません。あくまで「必須ではない」なので、もちろんタイムを測ることを否定してはいません。
タイムを測った方が RTA らしさがあってやる気が出たり、競う気はなくてもタイムを測っておけば数値として記録を残すことだってできます。
自分・他人のタイムより早くクリアすることを目標としてプレイする場合、もう一つの側面である競技としての側面が強く表れてきます。
競技としての側面とタイム
競技としての RTA は、プレイ内容に本質があると思っています。
競技である以上は優劣をつける必要があり、客観的な判断基準が必要です。プレイ内容を見て、ルールに従っていてかつタイムが早い方が優れていると判断する訳です。
競技としての RTA において、タイムはルールに従ったプレイの内容を数値化・スコア化したモノであると言えます。
複数人のプレイヤーに対して厳格に優劣を付けるならプレイ内容を評価することが望ましいとは思いますが、実際にはルールに違反していないことが確認できたならタイムのみによって優劣を付けているケースが多いのではないかと思います。
この場合、タイムによって優劣を判断するため、タイムを測ることが必須になります。
タイムとタイマーの関係
タイムを測らないのであればタイマーも不要です。ではタイムを測る場合はタイマーは必須でしょうか?
タイムを測る代表的なアイテムとしてタイマーがありますが、実は、タイマーの他にもタイムを測る方法があります。
タイムを測る必要がある場合であっても、タイマーが必須であることを意味しないのです。
ただし、タイマーならではの効果もあるため、タイマーを否定している訳ではありません。
あくまで「必須ではない」という話です。
「タイマーを付ければ RTA」の筆者の解釈
「タイマーを付ければ RTA」という言葉が広く知られるようになってきたと思います。
こんな解釈もあると思いますが
この言葉を RTA の必須条件だと捉えている方もいらっしゃるように見受けられます。しかし筆者は『「タイマーがなければ RTA ではない」という意味ではない』と考えています。
筆者の解釈
ゲームとタイマーがあれば RTA を始めることができる、RTA は手軽に始めることができる、という意味だと考えています。
RTA は特別なモノではなく、ゲームのプレイスタイルのひとつです。ゲームを使って遊ぶだけなら配信も録画も必須ではありません。誰とも競わない、数字として記録を残すつもりがないのであればタイマーも必須ではありません。
気軽にやってみましょう!
タイマーが必須ではないとする客観的な根拠
タイマーが必須ではないと筆者が考えている根拠を3つ説明します。
タイマーがなくてもタイムは測れる
タイムを測る手段はタイマーだけに限られません。
録画した映像ファイルのフレーム数をカウントして、映像の FPS と合わせて計算することでタイムを測ることができます。これは後述するタイムの精査でよく使われている方法です。
筆者がたまにやるのが、時計を見て大まかなタイムを測るという方法です。ざっくりとしたタイムが分かれば十分な場合はこのような方法もあります。
タイムの精査
工学的な一般論として、何かしらのモノを測る際に何らかのブレが必ず発生します。測り方によってブレ幅などが変わったりしますが、ブレそのものはゼロにはできません。
RTA でタイムを測る際も同じで、タイマーが手動であっても自動であってでもブレが発生します。厳密なタイムを知るには、ブレの影響を最も小さくできる方法でタイムを測る「精査」という手順が必要です。
精査したタイムが正式な記録タイムになるので、タイマーが表示しているタイムはあくまで参考値なのです。
Speedrun.com のルール
世界規模の記録集積サイトである Speedrun.com では、記録の審査をする人に向けたルールの中でDo not require a timer on a video unless there is a good reason to do so. A good reason might be a game that uses an auto-splitter to track time without loads.
(プレイ内容を録画した映像の中にタイマーを付けることを正当な理由もなく要求しないでください)
と明記されています。
もちろん、ゲームタイトル・カテゴリそれぞれで事情が異なっているので、中にはタイマーを必須としているものもあります。
しかし、Speedrun.com の共通のルールでは「正当な理由がなければタイマーは必須ではない」と言っているのです。
「タイマーを映し忘れたから、記録動画として申請できない」といった声を聞くことがあります。
少なくとも Speedrun.com においては、ゲームタイトル・カテゴリ個別のルールでタイマーを映すことが明示されていないならば、タイマーが無くても記録動画として申請できるルールになっています。
つまり RTA にタイマーは必須ではない
- タイムを測るにはタイマー以外の方法がある
- 最終的にはタイムの精査をする
- SRC ではタイマーがなくても良いルールになっている
これらの理由で、筆者は「RTA にはタイマーは必須ではない」と考えています。
クドイかもしれませんが、タイマーが不要とは言っていません。
実際、筆者自身もタイマーがあると便利なので使っています。
タイマーの意義
ここまでで筆者が「RTA にはタイマーは必須ではない」と考えている理由を説明しました。
そう考えていながらも、タイマーでタイムを測ることは有用であると理解しているため筆者もタイマーを使っています。
ここでは、タイマーの働きを考えてみます。
4つ挙げてみますが、他にももっとあると思います。
RTA の象徴
タイマーは RTA の象徴的なアイテムだと思っています。
配信・動画にあるタイマーを一目見るだけで、それが RTA 配信・動画なのだと多くの人に伝わると思います。
逆にタイマーがないと、配信・動画タイトルに RTA と書いてあったとしても、これは RTA ではないと考える人もいるくらいには、象徴的なアイテムです。
タイマーがあることで「これは RTA である」という分かりやすさが生まれます。
手軽な手段
複数ある手段の中で最も手軽で汎用的で、それなりに正確にタイムを測ることができるのがタイマーなので、タイマーが広く用いられているのだと思っています。
精査をする方法でタイムを測るためにはプレイ内容を録画しておく必要があり、タイマーと比べると手軽さに欠けます。
その場でタイムが分かる
ゴールしたその場ですぐにタイムが分かるのは当たり前のようでいて、しかし、タイマーで測るからこその利点です。
タイマーで測ったタイムは厳密なタイムではないものの、ちゃんとしたタイマーであれば極端にズレたタイムにはなりません。おおよそ正しいタイムがゴールしたその場ですぐに分かるのです。
ペースの判断材料
タイマーがあることで RTA の最中に今現在のタイムを知ることができるため、その時点でのペースを判断する材料にできます。
このまま行けば○○秒更新できる、ミスをしても○○秒以内なら更新できる、更新できる可能性が低くなったのでリセットだ、などをすぐに知ることができるメリットがあります。
タイマーは便利なので活用しよう
タイマーは便利なアイテムで、タイマーを使うことで得られるメリットもあります。
筆者の意見は「RTA にタイマーは必須ではない」ですが、タイマーの使用を否定している訳ではありません。
タイマーがあると便利な場面が多いので有効に活用しましょう。
さいごに
RTA にタイマーは「必須ではない」という話でした。
タイマーが不要とは言っていないし、タイマーは有用なアイテムだと考えています。そこは誤解しないでいただけると助かります。
視聴者のかたには、タイマーがないことに目くじらを立てるのではなく、実力に見合ったプレイ内容であるかで RTA の質を評価して欲しいと思うのです。
プレイヤーのかたには、タイマーを映し忘れたとしても悲観することなく、これは RTA であると堂々として欲しいと思うのです。
そんな思いから、この話をしました。
もちろん、ルールでタイマー必須となっているなら従いましょう。
明日は Atsushi さんの「マリオテニス エース Adventure Any% の紹介」です。
お楽しみに!
Livesplit用のコンポーネントを作ったり、Autosplitterを作ったりしている人です。
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