はじめに
今回は『スーパードンキーコング (GBA) Any%』の世界記録について紹介します。
世界記録：39分23秒
プレイヤー：とんこつ（筆者）
記録動画：https://youtu.be/nLFZhGR4sFI
スーパードンキーコング (GBA) とは
『スーパードンキーコング (GBA)』とは2003年にGBAで発売された、SFC版のリメイク作品です。基本システムやステージ構成はSFC版と同じですが、新たな収集要素やミニゲームが追加されているほか、原作ではやや単調だったボスの行動パターンが一新されて豊富になっている点は特筆すべきと言えるでしょう。
RTAにおいては、SFC版のようにステージを丸々スキップするような強力なグリッチは存在せず、純粋なローリングアクションの精度が問われます。しかしながら、原作では不可能だったGBA版オリジナルの技も今年に入って発見されており、今後の開拓によって変貌を遂げる可能性も大いに残されています。
Any%RTAについて
Any%のRTAは、ラスボスである『キングクルール』を最速で撃破することを目的とします。本節では、ボス戦で用いられるGBA版ならではのRTAテクニックを2つ、ピックアップして紹介します。
ボスクイーンB戦『ジンガー同時キル』
GBA版におけるボスクイーンB戦では、クイーンBにタルを当てる度に5体のジンガーが周囲にバリアのように配置されます。RTAではこのジンガー達を、以下の動画のように同時キルします。
同時キルそのものは、上にタルを構えるドンキーを操作すれば難しくありません。厄介なのは、タルがステージ内のどこに落下するかに応じて、こちらの最適行動パターンが変わってくる点です。
動画では、落ちてきたタルの画面右端までの運搬が、ギリギリでジンガーの出現タイミングに間に合っています。これがもし、クイーンBにもっと早くタルを当てていたら、タルの運搬が間に合わず同時キルが成立しません。逆にクイーンBにタルを当てるのをもっと遅らせると、同時キルは余裕ですが、当然待ち時間の分がそのままタイムロスとなります。
クイーンB戦でどこまで良い乱数を想定して行動するかは、目標タイムやペースと相談してリアルタイムに決めることになるため、プレイヤーによって大きく戦略が分かれるポイントです。
キングクルール戦『偽エンディングスキップ』
本作のRTAでは特にこれといったグリッチが使われて来ず、通常プレイの延長のようなルートでタイムが競われていました。この流れを変えたのが、2021年1月にdna423氏が発見した『偽エンディングスキップ』です。
上の動画で見られるように、偽のエンディングが流れる1つ前のヒット時に、クルールとドンキーを相討ちにします。すると、クルール戦における中間ポイントである偽エンディング後からバトルが再開することで、約7秒の短縮になります。
原作ではこの戦闘における中間ポイントが設定されていないため、原理的に不可能な技です。また、相討ちにするためのセットアップがややシビアなため、本RTAにおける最後の難関であり大きな見所ともなっています。
（本節の動画は [WR] Donkey Kong Country (GBA) Any% 39:23 より引用しました。）
現在の世界記録
本カテゴリにおける世界記録は、本稿執筆時点で、とんこつ（筆者）による39分23秒となっています。
本カテゴリの記録は、2018年に初の39分台が達成されて以来大きく更新されておらず、以下の記事が公開された時点では39分44秒が最速でした。
【スーパードンキーコングシリーズ】SFC版だけじゃない！リメイク版7作品のRTA事情
その後、2020年11月にdna423氏がルートの改良に着手し、世界記録を39分24秒まで更新すると、2021年に前述の『偽エンディングスキップ』を発見し、現行の記録の達成に繋がりました。
現在の筆者の区間ベスト合計は39分01秒であり、今あるルートで38分台を出すには、クイーンB戦での良い乱数に加えて完璧なプレイングが必要な状況です。今後どんな発見が39分という壁を破ることになるのか、要チェックです。
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