解説の事前解説 – 年末イベントのRTA解説台本を自分で解説する

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※この記事はRTAGamers Advent Calendar 2021 17日目の記事です。

自分が年末のRTAイベントにて行う解説2つを、自分で事前解説してみます。

知ってるゲームのRTAを見ると楽しいのと同様に、あらかじめ解説を読んでおけば多くの視点で理解度が上がって本番をより楽しく見れるのでは?
ダンスや演劇で内容を事前に公開するスタイルもあるし、RTAイベントでもアリか?
そんな思いで書いてみることにしました。

とはいえこれだけだと公の記事にしづらいので、解説歴半年ですが個人的な解説の考えと作成手順をまとめたうえで事前解説へ進む構成にしております。
また、本記事作成にあたり走者であるYui31960さん、ysystemさんへは事前確認と了承を頂いております。お2人にはこの場を借りて改めてお礼を申し上げます。

それでは、解説の事前解説、スタートです!

解説請負の立ち位置と課題

前提として、RTAイベントでの解説は同じゲームの走者がやるのが望ましいと思います。
その理由は以下の通りです。

・チャート知識が新旧や派生も含めて豊富
・そのゲームのRTAの歴史・現状・展望を把握している
・上記2点によりトークの引き出しが多く、突発事項への対応力も高い
・走者と信頼関係のある可能性が高い

こう並べると圧倒的に走者が解説した方がよさそうです。が、発売して間もないゲームやプレー人口が少ないと解説してくれる走者が見つからないこともあります。
そこで自分のような解説請負の出番です。

この流れを踏まえると、解説請負のこなす課題が見えてきます。

  1. チャート知識の習得
  2. そのゲームのRTAの歴史・現状・展望の把握
  3. 突発事項へ対応する引き出しの用意
  4. 走者と信頼関係の構築

自分は優先順位として、1.4.を必須、2.3.を努力目標としています。
努力目標とする理由は、歴史の深堀は終わりがない事と、突発事項の対応はストーリー解説や走者紹介など他の対策もあるためです。

解説の準備から当日まで

課題が決まれば、あとは解決に向けて手を動かすだけです。
手順を全部説明すると長いので箇条書きで記載します。また、まだまだ守れてなかったり理想とする部分も多いことをご了承ください。

■ミーティング準備
・RTAをするソフトで改めて1周プレー(基礎知識の整理)
・走者と世界記録の動画と提供資料の把握(RTAの要点の把握)
・チャートに沿ってプレー(各所の難易度やプレーの要点の把握)
・要点と疑問点の整理
・ミーティングの用意(テンプレートを埋める)

■ミーティング
・基礎情報の確認と補填(テンプレートの1シート目を埋める)
・前後説と解説の方針のすり合わせ
・要点と疑問点の確認
・チャートを追いながら詳細の確認
・見せ場の確認

■台本作成
・記録動画に合わせて喋って骨組みをつくる(内容の密度と説明タイミングの確認)
・骨組みの整理
・動画を少しずつ再生しながら、台本を書く→喋る→手直し
・ゲームとRTA情報の補充(テコ入れや突発事項への対応用)
・内容が薄いところへのテコ入れ
・記録動画以外の動画で台本全体を通してみて調整
※チャートや記録更新に備えて走者さんの動向も随時確認

■最終ミーティング
・イベント直前に再度ミーティング
・当日のスケジュールやイベント全体の状況の確認
・改めて走者さんと台本、記録の確認
・準備からこれまでに起きた変化を確認(解説に入れると厚みが出る)

■イベント当日
・台本は全部暗記しておく(ゲームやコメント欄に視線を集中したい)
・中高音でしゃべる (通りが良く厚みのある質感を目指す)
・最初のセクションを乗り切る(RTA開始直後は話の視点がバラけるので頑張る[ゲーム説明・RTAの要点説明・チャート説明・実況・コメント・配信トラブルがないか])
・最後まで気を抜かない(後説でダラけずキレイに終わらせる)

■解説で個人的に考えてること
・RTA解説の一番の仕事は「走者の感情の動きを視聴者に体験させる」こと(視聴者を走者の感情のジェットコースターに乗せて楽しませる感じ)
・視聴者の感情を先導できるように整える(状況説明、要点の事前伝達、成否報告)
・視聴者が感情を爆発させていい場面では率先して表現する(スタンディングオーベーションの1人目になる)
・普段は極力私情を押し殺す(感情の動きを目立たせるため)
・適度に視聴者へ話しかける(配信内容を他人ごとにさせない)
・無言を恐れない

解説の事前解説 – いっしょにチョキッと スニッパーズ / ALL LEVELS

イベント名:Beginner’s RTAマラソン

ゲーム:いっしょにチョキッと スニッパーズ / ALL LEVELS
走者:Yui31960さん
出走日時:12/25(土) 14:55
予定時間:35分

解説資料:コチラ
解説方針:解説がメインで話す。走者が話すのは前説挨拶と後説感想のみ。

意識したところ

・字数を抑えて、聞き取りにくい単語を減らす

配信テストの結果、本配信では解説側の音質に難がある状態でやらざるをえないことが判明しました。
聞こえづらい状態で早く喋ったり低い声だとノイズに飲み込まれてしまうので、いつもより高い声でゆっくりしゃべることにしました。

ゆっくりしゃべると時間あたりにしゃべれる文字数が限られるので、台本の文字数を少なくし、かつ聞き取りにくい単語を極力へらして黙る時間が多くなるように台本を構成しています。

ゲームの見た目がやさしい感じなので雰囲気はあっているかと思います。
ただ、RTAとしては素早い操作と精度がモノをいう内容なので、その魅力を伝えきれるかが課題となります。

・操作精度が光る場面と物理演算を生かした力技とを先んじて伝える

本ゲームはステージクリア型のパズルアクションであり、RTAでは全45ステージを1ステージ20秒ほどでクリアします。ステージ外での複雑なプレーやバグ技はありません。
魅力となるのは決められた手順を素早くこなすことです。かつ、ゲーム内では物理演算が利いておりそれらを生かした場面も見ごたえがあります。

そこで、操作精度を細かくしないといけない部分と力技の部分を予告して伝えることにしました。

字数を抑える関係で実況や細かい説明ができないので、これからすごい事が起きるのだと伝えることを優先しました。

アイデアが光る場面は通常ルートとアイデアの比較の説明が必須で文量が多くなってしまうので、残念ながら取り上げ方は控えめになっております。

注目ポイント

RTAとして見ごたえのあるステージをいくつかピックアップしておきます。事前に解説や動画を見ておくとより楽しめるとかもしれません。

操作精度が光る
・だしゅつハムスター
・ビッグ!まねっこフクロウ
・かたぬき6

力技でパズルを解く
・エンピツけずり
・カギあけ
・おやすみタマちゃん

運ゲー
・ホタルのひかり2
・キンギョすくい
・UFOちゅういほう

本番での走者の走りにご期待ください!

解説の事前解説 – 攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL / ANY%

イベント名:RTA in Japan Winter 2021

ゲーム:攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL / ANY%
走者:ysystemさん
出走日時:12/27(月) 13:33
予定時間:28分

解説資料:コチラ
解説方針:解説がメインで話す。走者が話すのはほぼ前説挨拶と後説感想のみ。

意識したところ

・ミッションの開始と終了を分かりやすくする

本ゲームはPS1の3Dアクションゲームで全12ミッションあります。RTAではPS2の高速ロードを使いますが、それでもロードやミッションの区切りなどで結構な空き時間が発生します。ココをどう扱うかに悩みました。

ロードは各ミッションの間に入り、全12ミッションというとはロードは11回。小ネタを挟むにしても数が多く、かつミッション中にもテコ入れが必要な場面があるので思い切って黙ることにしました。

ただ、意図的に黙っていることを明示するために、ミッション開始時のコールとミッションコンプリートを分かりやすく発声するようにしました。

・ミッション3までに仕様説明をどう詰め込むか

本ゲームの最初の山場がミッション3にあるので、そこまでに本ゲームの仕様と要点、事前説明を全て話す必要が出てきました。しかも、ミッション3が始まるのは本走開始から3分後。
この間にミッション1と2の説明も必要です。チュートリアルエリアも無く全ミッションにボス戦もあります。優先順位を付けて削ったり話はじめるタイミングをかなり調整してなんとかネジ込みました。

注目ポイント

解説としては、前述したミッション3までの事前説明に加え、ミッション3自体も解説の密度が高くなっています。また、ミッション6ではゲームの作品説明を長文で詰め込んでおり、上手くいけば全文読める予定です。本番にて途中で切っていたら台本の文を読んでもらえると幸いです。

プレー面では3Dアクションとしての操作精度に注目です。
本作は移動操作に癖がある上にジャンプ先の着地地点が見えないという仕様になっています。特に最後のミッション12では落ちたら即死なのに狭い足場の3連続ジャンプが求められます。
戦闘面では体力限界までゴリ押すボス戦のハラハラ感が見どころです。
主力武器であるバルカンを少しでも長く当てるために体力ギリギリまで敵の攻撃を避けません。しかし、ミッション11では道中もボス戦も攻撃が激しい上に回避しづらいので、どう切り抜けるかにご注目下さい。

おわりに

RTAの解説歴半年ですが、自分はこんな感じで解説を作っています。
ここで公開している資料はあくまで公開用にコピーしたものなので、本番ではちょっと変わっているかもしれません。

改めて見返すと大変そうに見えるかもしれませんが、自分はとても楽しんで解説を請け負っています。
元がゲームコレクターの端くれをしている人間なので魅力を知ってるけど知名度の低い作品はごまんとあり、その中からRTAイベントで走られるゲームが出ると分かれば個人的にめちゃくちゃ嬉しいわけです。

で、そんな走者さんが解説が欲しいと困っていれば秒で飛びついて全力でサポートしますとなります。こんな経緯で解説を請け負うので、事前準備も練習も本番もとても楽しいです。

この記事を書いているのは12/15で、本番まではあと1週間ほど。
本番でゲームとRTAの魅力が多くの人に伝わり楽しんでもらえるよう、最後まで詰めて参ります。

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