はじめに
『ファイナルファンタジー13 (FF13)』は2009年にスクウェア・エニックスから発売されたPS3用RPGゲームです。Xboxやスマートフォン、steamなどに幅広く移植されており、ブラウザ上でプレイできた時期もありました。
美麗なグラフィックとBGMによって彩られた世界観は、今プレイしても圧巻の一言に尽きます。
国内最大規模のオンラインRTAイベント『RTA in Japan 2020』にて12/28(月)の11:40頃から披露される予定です。
カテゴリは『Any%』、予定タイムは5時間と、今回採用されたゲームの中で一番長い作品となっています。
今回は、FF13を自力でクリアできず、RTAチャートでプレイしたところ、その洗練された戦術に感動し、RTAを走った筆者が見どころを紹介していきます。
※各ボタン表記は、PS3版に準拠して記述します。
戦闘
シリーズ恒例のアクティブタイムバトル(ATB)を採用しており、コマンドバトルながらスピーディーな戦闘が繰り広げられます。
そのなかでも、特徴的な要素を3つ紹介します。
①ATBゲージ
ゲージが複数のスロットに区切られています。各コマンドにはコストが存在し、スロット1つ分のゲージを消費することで、コスト1の技を使用する事ができます。
画像では、コスト1の「ファイア」とコスト3の「エアロラ」を使おうとしています。
あらかじめコマンドを入力しておき、ゲージが溜り次第右から順番にコマンドが実行されます。
△ボタンを押すことで、その時溜まっているゲージで実行できるコマンドを実行することもできます。
目には見えませんが、敵や味方もATBゲージをもっています。
②チェーンゲージ
連続で攻撃を当てていくと、チェーンゲージが溜まっていき、満タンになると敵をブレイクすることができます。
ブレイク中は大ダメージを与えられるだけではなく、敵を怯ませたり、空中に打ち上げたりすることで、敵の行動を封じて一方的に攻撃することもできます。
また、チェーンゲージと共にゲージの下に表示されているパーセントが増えていくと、その数値に応じて与ダメージ量の上昇やデバフ付与成功率の上昇などのチェーンボーナスを得ることができます。
③操作できるのは自分だけ
戦闘中に操作できるのは、リーダーに設定したキャラクターのみで、他の2人はAIによって自動で行動します。
コマンドの決定するタイミングをずらしたり、敵へのターゲットを調整したりすることで、効果的に攻めていくことが重要です。
また、事前の調査で、プレイヤーが敵の情報を把握していたとしても、AIはそれを全く知りません。
火属性の攻撃が効かない敵に、ファイアを発動し、ダメージが通らなかったのを見て初めて、この敵には火属性は効かないということを理解します。これでは1ターン無駄になってしまいます。
そのため、敵の情報を開示する”ライブラ”という技を使用することで、味方に情報を教えてあげることが必要になります。
また、エンカウント直前からやり直すことのできるリスタートという機能があり、ゲームオーバーになった場合や無駄なエンカウントをしてしまったときに使用します。
RPGによくあるゲームオーバーになってしまったら、最後にセーブした場所からやり直しということがないので、安心してボス戦に挑むことができます。
ゲームシステム
本作には、歴代のFFシリーズのなかでも、特徴的なシステムがいくつかありますが、RTAにおいて重要なものを3点紹介したいと思います。
クリスタリウム
今作は、戦闘によって経験値ではなくクリスタルポイント(CP)を手に入れることができます。CPを使いクリスタリウムを成長させてステータスを上げたりアビリティを取得したりしていきます。
FF10のスフィア版のようなものです。いわゆるスキルツリー。
キャラによって、アビリティを覚える順番や装備できるアクセサリの個数を増やせるタイミングが異なるので、どのタイミングで、どのような成長をさせるかというのが重要になってきます。
シンボルエンカウント
このゲームは、シンボルエンカウントかつ敵の出現位置が固定となっています。
敵を倒すことによって得られるCPは、敵毎に固定となっているので、戦闘を行う箇所はあらかじめ計算されて決まっています。
敵を避けて戦闘を回避する事はもちろんのこと、気づかれないように敵に接触することで奇襲攻撃となり、敵がブレイクする寸前の状態から戦闘を開始する事ができます。
不必要な戦闘を回避するために様々なテクニックが存在しています。こちらについては後ほど解説いたします。
オプティマ
FF13の戦闘は6種類のロール(役割)を使い分けて戦います。
誰がどのロールで戦うか、その組み合わせを事前に決めておくのがオプティマです。6つまで登録できます。
事前に最大3人のパーティメンバーそれぞれにロールをセットしておき、戦闘中は状況に応じて適切なオプティマに切り替えて戦っていきます。
ロールの組み合わせによって、オプティマに名前がつくのも面白いポイントです。
各ロールにはレベルがあり、クリスタリウムを成長させることによってロールレベルを上げることができます。
どのロールをオプティマに編成するか、というのがFF13において非常に重要な要素となります。
キャラクターはロールによって、ロールボーナスというものを得ることができます。
キャラクター自身にボーナスがつくだけでなく、パーティメンバーにもボーナスが付与されます。
詳しくは以下の表をご覧ください。
ロール; | ロールボーナス | そのほか |
アタッカー (ATK) | 攻撃力がアップする。 | チェーンゲージが減りにくくなる。 |
ブラスター (BLA) | チェーンゲージの上昇量がアップする。 | 主に魔法を使う。 |
ディフェンダー (DEF) | 受けるダメージを軽減する。 | 敵を挑発することで、攻撃を一手に引き受ける。 |
ヒーラー (HLR) | HPの回復量がアップする。 | 攻撃はできない。 |
エンハンサー (ENH) | バフの継続時間を延長する。 | 味方を強化するバフをかける。 |
ジャマー (JAM) | デバフの成功率がアップする。 | 敵を弱体化するデバフをかける。チェーンゲージが減りにくくなる。 |
自身へのボーナス
ロールレベル | ATK | BLA | DEF | HLR | ENH | JAM |
1 | +100% | +1.0 | 0.65 | +20% | +20% | +20% |
2 | +110% | +1.5 | 0.63 | +23% | +35% | +24% |
3 | +120% | +2.0 | 0.60 | +26% | +50% | +28% |
4 | +130% | +2.5 | 0.56 | +29% | +65% | +33% |
5 | +150% | +3.0 | 0.50 | +32% | +80% | +40% |
味方へのボーナス
ロールレベル | ATK | BLA | DEF | HLR | ENH | JAM |
1、2 | +5% | +0.1 | 0.92 | +3% | +5% | +4% |
3、4 | +10% | +0.2 | 0.89 | +6% | +10% | +8% |
5 | +15% | +0.3 | 0.86 | +10% | +15% | +12% |
これだけでは分かりづらいですね。いくつか例を挙げたいと思います。
例① ATK Lv3/ ATK Lv3 / ATK Lv1 (ケルベロス)
超攻撃型のオプティマです。敵をブレイクした後、一気にダメージを与えたい時などに使います。
ATKの場合は各ボーナスが加算されてから計算されます。
この例の場合は、自身へのボーナス + 味方1からのボーナス + 味方2からのボーナスとなります。
ATK Lv3のキャラクターの場合 120% + 10% + 5% = 135%
ATK Lv1のキャラクターの場合 100% + 10% + 5% = 115%
という計算式になりますが、ここでのポイントはボーナスが135%だから攻撃力が1.35倍になる。というわけではないことです。
元々の攻撃力にボーナスの135%が加算されて235%になります。つまり、攻撃力は2.35倍になります。強い。
例② DEF Lv3/ DEF Lv1 / JAM Lv2 (フォートレス)
DEFのロールボーナスは、それぞれの値を掛け算します。
DEF Lv3のキャラクターの場合 ダメージ × 0.60 × 0.92 = 0.552
という計算式になり、受けるダメージを55%まで減らすことができます。
JAMのロールボーナスは、デバフの成功率にボーナスをかけたものが加算されます。
JAM Lv2のキャラクターが、成功率40%の「デプロテ」を使用した場合
40% + 40% × 0.24 = 49.6%
という計算式になり、成功率を9.6%あげることができます。
実際には、敵ごとに設定されたパラメーターやチェーンボーナスによっても変動します。
テクニック
ATBリフレッシュ
オプティマを変更したときに、ATBゲージが満タンになることがあります。これをATBリフレッシュといいます。
発動条件は、戦闘を開始して1度目のオプティマ変更、もしくはATBリフレッシュが発動してから12秒以上たった後にオプティマ変更を行うことです。
この仕様をフル活用するために、同じオプティマを2つ用意する場面もあります。
味方の攻撃が終了したタイミングにあわせて、ATBリフレッシュを行うことで、連続攻撃を仕掛けることも可能です。
これには、攻撃をする前に発生する構えるモーションをカットする効果もあります。
一瞬たりとも無駄にできない終盤の戦闘では、特に重要になるポイントです。
スニーク増殖
フィールドにいる敵には、縄張りが設定されています。
その中に入ったプレイヤーを敵が見つけると、こちら目掛けて襲い掛かってきます。
「スニークスモーク」というアイテムを使うと、敵に見つかることなく通り過ぎることができます。
非常に強力なアイテムですが、入手方法が少なく、多用できるアイテムではありません。
ここで活躍するのが、スニーク増殖です。
やり方は簡単で、スニークスモークを使い敵の縄張りを通り過ぎたら、Uターンして敵に接触し、戦闘を開始した直後にリスタートをする。これだけです。
リスタートのエンカウント前の状態に戻るという仕様がいい方向に働き、使ったスニークスモークが返ってきます。
敵をほぼ確実に避けることができるという点では、優秀なテクニックですが、いったん戦闘を挟まなければならないので、上位勢になればなるほど使わずに敵よけをする人が増えてきます。
カメラトリック
こちらも敵よけの技術です。
カメラで地面を映すようにして移動をすると、敵がプレイヤーに気づくのを遅らせることができます。
スニーク増殖と違い、戦闘を介することなく敵を避けることができるので、タイムロスはありません。
その分、コントロール精度が求められるので、実力と相談して使用していきます。
注目の戦闘
重攻撃騎マナスヴィン
一番最初に行われるチュートリアル戦闘です。
〇ボタンを連打しても勝てる戦闘ですが、細かなテクニックが隠されています。
敵の波動砲を受けると、怯んでしまいATBゲージの上昇も止まってしまいます。(ATBフリーズ)
あらかじめコマンドを決定しておき、怯んだ後にキャンセル、そして再度決定をすることで、ATBフリーズを解除することができ、短縮になります。
戦闘爆撃騎カルラ
3章で登場する鳥のような空を飛んでいるボスです。
飛んでいるので、こちらも空中に浮いた状態で攻撃を仕掛けます。
戦闘が始まって最初のオプティマ変更は、各キャラクターにカメラが注目する演出が入りますが、空中にいる状態で変更することで、カットすることができます。
バルバロイ・機甲兵ヴァッヘ×3
4章で行うザコ戦です。
一見なんてことない戦闘ですが、三つ巴バトルという戦闘形式のため少し注意が必要です。
敵同士が戦闘をしているところへ介入する形で、戦闘が始まります。
そのため、敵が敵を撃破することがあります。
こうなってしまうと、戦闘終了後に獲得できるCPが少なくなってしまい、クリスタリウムの成長に影響が出てしまいます。
ブレイクのタイミングや敵の行動をよく見て、適切な対処をすることが重要になります。
オーディン
同じく4章で行う召喚獣戦です。
召喚獣戦は敵の撃破ではなく、敵のドライブゲージを溜めて□を押すとクリアになります。
この戦闘は、キャラクターの立ち位置が重要になります。
オプティマ変更のタイミングを調整することで、ライトニングとホープを分離し、2人でオーディンを挟むような形にできます。
こうすることで、片方が攻撃されている間はもう片方がフリーになり、攻撃や回復を自由に行うことができます。
この立ち位置調整は、様々な戦闘で重要な要素になってきます。
試作騎ユイジンシャン
5章で行うボス戦です。
HPが高く、終盤になると打ち上げも使用してくるため非常に厄介です。
戦闘開始してから一定時間たつと、「耐火炎」「耐雷光」「耐水流」「耐氷雪」のどれかにモード変更をします。
相手のモードに対応した弱点を突いて攻撃していくのですが、「耐火炎」のみ弱点となる”ブリザド”をこの時点で習得できないため、他のモードに再度変更するまで待たなければなりません、
「耐雷光」「耐水流」に変更した場合は、ブレイク後にライトニングとホープの攻撃タイミングをずらして、攻撃をすることで相手をはめて、行動を阻害しながら倒します。
「耐氷雪」に変更した場合は、弱点となる火属性の火力が、少し低いので、オーディンを召喚し「斬鉄剣」でとどめを刺します。
相手のモード変更に対して、適切な行動を即座に取らなければならないので、プレイヤーの腕の見せ所となるような戦闘です。
侵攻制圧騎ウシュムガル (3回目)
7章で行うボス戦です。
ブレイクをしたときに、敵を打ち上げ、何もさせないことが重要になります。
打ち上げた後は、一定時間後に落下してしまいますが、攻撃をあてると落下を止めることができます。
3人の攻撃タイミングをうまくずらしつつ、チェーンを上げ、ブレイクの終わり際に発動する「インパクトブレイク」で大ダメージを与えます。
バルトアンデルス (1回目)
9章で行うボス戦です。
ここから難易度が一気に上がる。そんな印象を受ける戦闘です。
左右についている外装と副次装(小さい顔)をまず撃破し、本体(大きい顔)に攻撃をします。
本体のみになってから、ブレイクをして、HPを一気に削っていきます。
その際、重要になるのが、「デストルドー」を相手に使わせないことです。
この技を使われると、ブレイクが解除されてしまい大きなタイムロスになります。
ATBリフレッシュをフル活用し、3人の攻撃タイミングをずらして、絶え間なく攻撃を当て続けましょう。
アレキサンダー
11章で行う召喚獣戦です。
ホープのもとに現れる召喚獣ですが、ホープのクリスタリウムは最低限しか成長させていないので、一撃でもダメージを喰らうとゲームオーバーになります。
ファングを敵に接近させて、攻撃を一手に引き受けてもらいますが、ここでも立ち位置が非常に重要な要素になります。
ATKのファングが敵に近づいたのを見て、オプティマをDEFに切り替えて、敵のターゲットを自分に引き付ける”挑発”を敵に入れます。
この際、オプティマ変更が遅いとファングが攻撃してしまい”挑発”が間に合わない。早いと接近がたらず、範囲攻撃にホープが巻き込まれてゲームオーバーというシビアな戦闘です。
バルトアンデルス (2回目)
11章で行うボス戦です。
デバフを付与してきたり、こちらのバフを消してきたりと、撃破することすら難しい敵です。
敵の属性耐性をさげる「ウィーク」、物理攻撃のダメージが1.89倍になる「デプロテ」そして魔法攻撃のダメージが1.89倍になる「デシェル」をいれて、チェーンを一気に上げ、大ダメージを狙っていきます。
HPを一定以上削ると顔が出現し、ブレイクが解除され、すぐに「アポトーシス」がくるので、召喚を準備します。
「アポトーシス」はこちらのバフをすべて消す技なので、まともに受けてしまうと非常に苦しい戦いになってしまいます。
これを召喚獣のドライビングモードの無敵時間で受けることによって、バフを消されないようにします。
ちなみに筆者は、当時このボスが倒せず、ディスクをそっとケースにしまいました。
プラウド・クラッド (1回目)
12章で行うボス戦です。
RTAにおいて、大きな壁とされているボスで、精密なコマンド入力が求められます。
見た目には、バフをかけ、チェーンを上げて、一気にダメージを与える。
いつもの戦いに見えますが、ブレイク時間とHPの関係が絶妙で、ATBリフレッシュなどのテクニックを正確に使用しないと、1度のブレイクで倒すことができません。
ブレイク状態が終了すると、HPを大回復した上に、攻撃頻度を上げる「ヘイスト」、物理攻撃力を上げる「ブレイク」、こちらを怯みやすくする「ガッツ」のバフを自身にかける「リミッター解除」を使用します。
こうなると手を付けられないので、リスタートです。1度のブレイクでHPを削りきるのが必須となります。
ちなみに、通常プレイでは、ブレイクせずに地道に削っていくのが主流のようです。
オーファン
ラスボスです。最終戦にふさわしく、凄まじい速度のコマンド入力が求められます。
陽・陰・陰陽の3つのモードがあり、陰・陰陽モードはとても危険な技を使用してきます。
陽モードから戦闘が始まり、HPを40%以下にすると陰陽モードに移行します。
1度のブレイクでHPを削りきれないと陰モードへ移行し、デバフをたくさんばらまいてきます。
HPを削るため、バルトアンデルス(2回目)のように「ウィーク」「デシェル」「デプロテ」をかけたうえに、時間経過でHPを削る「バイオ」を相手にかけます。
味方には、攻撃に属性を付与する「エン〇〇」をかけ、「ウィーク」との相乗効果で、大ダメージを狙います。
陰陽モードに移行すると「ディエス・イレ」という超強力な技を放ってくるので、ダメージを受ける瞬間に召喚を合わせて回避します。
召喚獣がいる間にHPを削りきれなかった場合は、ドライビングモードへ移行し、無敵時間を使って「バイオ」のダメージで敵のHPが0になるのを待ちます。
FF13の「バイオ」は3秒で最大HPの1%を削ります。「バイオ」が入るなら、どんな敵でも5分で倒せます。
おわりに
本作は複雑なゲームシステムになっていますが、その分、深堀りすればするほど楽しくなるような部分もあります。
RTAとしても筆者が今までに挑戦した作品の中で、1位2位を争うような面白さでした。
現在、steamでセールが行われており、50%オフの917円で購入することができます。
この記事やRTA in Japanでのプレイを見て、興味を持った方がいれば、買ってみてはいかがでしょうか?
『RTA in Japan 2020』での「ファイナルファンタジー13」は28日(月)の11時40分ごろから披露される予定です!!お見逃しなく!
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