RTAイベントのオーディオボランティアは何をやっているのか

RTAイベント

この記事は RTAGamers Advent Calendar 2025 の21日目の記事です!

オフラインのRTAイベントが全国各地で頻繁に開催されていますね!
イベントを円滑に進めるためにボランティアの募集をしているイベントもたくさんありますが、その中でも一番ハードルが高いのがオーディオではないかと思います。せっかくだから応募してみようと思っても、「何をするのかよくわからない…」「難しそう…」と思っている人が多いのではないでしょうか?

実際にどのような作業をするのかはイベントによるので一概には言えませんが、大雑把にどんなことをしているのかがわかれば、だいぶハードルは下がるのではないかと思います。この記事ではそんな人のために、オーディオのボランティアがどのような作業をしているかを簡単に紹介します。

前提

基本はオーディオミキサーの操作になります。使用するミキサーは、イベントによって ZOOM LiveTrak L-8 / L-12 だったり BEHRINGER X32 だったり BEHRINGER Wing だったりしますが、基本的な使い方は大きくは変わりません。
また、配線やルーティング等の通常ボランティアが操作しない部分については、ここでは省略します。

よくあるスタンダードな構成として、以下のものがよく使われます。

  • トークバックマイク(いわゆる「天の声」)
    • オーディオ担当から走者・解説者に話しかけるときに使うマイク
  • モニター用ヘッドホン
    • オーディオ担当が使用するヘッドホン
    • 遮音性の高いものがよく使われる
  • 走者・解説者用ヘッドセット(マイク+ヘッドホン)
    • 1人1つずつ用意されることがほとんどだけど、小規模イベントだと無いことも…🤔
  • 会場スピーカー
    • 配信に使用するPCと連動していることが多い

作業の概要

具体的な作業はイベントごとに異なりますので、ここではどのイベントでも大抵共通して発生する作業について紹介します。

  • 走者・解説者とのやり取り窓口
  • マイクのゲイン調整
  • ヘッドホンから流す音量の調整
  • 配信に載せる音量の調整

もちろん、イベントによっては省略したり、ここに書かれていない作業が発生したりします。

開始前の準備

マイクのゲイン調整

走者・解説者が複数人いる場合、声の大きさや声質がバラバラなことがほとんどです。まず最初にミキサーに入る音量の均一化を行います。これをすることで、後々の音量調整が非常にやりやすくなります。この作業はできるだけ最初に済ませておきます。
走者・解説者一人一人に、それぞれ本番と同じくらいのテンションで喋ってもらい、ゲイン(入力信号の増幅率)を調整します。ミキサーのレベルメーターを見たり耳で聞いたりしながら、ここで全員のマイク音量を揃えます。

少し厄介なのがマスクなどの被り物をしている場合で、音量が小さいからとゲインを上げすぎるとハウリングが起きやすくなってしまいます。ゲインはそこそこに留めて、音量を上げることよりも均一化することを優先しましょう。

ヘッドホンから流す音量の調整

走者・解説者のヘッドホンから聞こえる音量を調整します。多くのミキサーでは、

  • 自身のマイク音
  • 並走者・解説者のマイク音
  • ゲーム音

などを細かく調整することができます。例えば「走者は解説の音量を絞ってゲーム音は大きめ」「解説者はゲーム音無し」などといった調整が可能です。
ゲーム音を流したまま走者・解説者に自由に会話してもらい、意見を聞きながら個別に調整していきます。

特に、自分の耳元から聞こえる自分自身の声(いわゆる「返し」)については、人それぞれ好みが分かれます。自分の声が聞こえないと不安になる人や、逆に全く聞こえない方が良いという人など、適切な音量はバラバラですので、1人ずつ丁寧に調整しましょう。

※遮音性が高いヘッドセットの場合、自分の声が全く聞こえないと声がどんどん大きくなってしまいがちです。そのため、通常は耳元から少しだけ自分の声が聞こえるようにするように調整します。

配信に載せる音量の調整

配信に載せる声とゲーム音のバランスを、モニター用ヘッドホンで聞きながら調整します。
ゲーム音は声の音量よりも1周りから2周り程度小さくします。ファミコンやゲームボーイ等の電子音は他のゲーム機の音よりも大きく聞こえるので、さらにもう1周り程度小さくします。

切り替え作業

直前の最終確認

イベントによりけりですが、オーディオ担当が走者・解説者との連絡窓口になることが多いです。
音量調整が全て終わったら、走者・解説者から必要な情報を聞き出しておきます。

  • ゲームが急にうるさくなるような場面はあるか
  • 寄付額投票はあるか、ある場合はいつ締め切るか
  • 並走の場合は、最初に誰のゲーム音を流すか
  • 心の準備は大丈夫か

音量の上げ下げ

ゲームの切り替え時に、待機BGMとマイク・ゲーム音を切り替えます(待機画面にマイク・ゲーム音を流しっぱなしにするスタイルのイベントでは、この作業はありません)。
配信画面をよく見ながら、切り替えに合わせて音量の上げ下げを行います。

  • 前のゲーム画面 → 待機画面
    • 画面のトランジションに合わせて、マイク・ゲーム音を少しずつ下げる
    • 待機BGMを少しずつ上げる
  • 待機画面 → 次のゲーム画面
    • 待機BGMを少しずつ下げる
    • 画面のトランジションに合わせて、マイク・ゲーム音を少しずつ上げる

開始後

一番トラブルが起きやすいのが開始直後です。
マイク・ゲーム音がちゃんと入っているか、爆音が鳴らないか、ハウリングしないか、いきなり走者さんがテンションMAXで喋りださないか、すぐ対応できるように気を付けておきます。

無事開始できたら、次のゲームの準備開始までは比較的暇になります。必要なときに必要な対応ができるように、ゲーム画面を見ながら待機しておきます。

  • 音量が急激に変化したときに調整
  • 「BGMにご注目ください」等と言われたらしれっとゲーム音を上げる
  • 並走の場合、順位が入れ替わったときにゲーム音も入れ替える

最後に

オーディオ、怖くないよ!

ミキサーの操作を覚えるのは少し大変ですが、それ以外はそこまで複雑な作業はしていないというのがおわかりいただけたかと思います(複雑なことをしなくて済むように詳しい人が事前に設定されているはずです)。もしオーディオのボランティアを募集しているRTAイベントがあったら、ぜひ勇気を出して応募してみてください!

おや?東京都内で高頻度で開催されていて、初参加のボランティアスタッフにも丁寧なサポートが付いて、BEHRINGER X32 の使い方を学べる RTA EXPERIENCE というイベントがあるみたいですね!まだ次回開催日は告知されていないようですが、気になった方は要チェック!

次の記事は ping値 さんの「Long Speedrun Summit 2025 の技術的なお話」です。

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