はじめに
本日8/8(土)、4チームに分かれてPS版とSwitch版のDQ作品を走りその合計タイムを競う『第10回PS&Switch版ドラクエRTAリレー対決』(以下PSSWDQRTAリレー)がとうとう開始される。今回の大会では走り方改革が導入されており、深夜はリレーが一時中断される運営にも走者にも視聴者にも優しい大会となっている。作品の並び順は以下の通り。
日付 | 開始時間(目安) | 作品 |
---|---|---|
8/8(土) | 08:00~ | 開会式 |
09:00~ | ドラゴンクエスト4 | |
14:15~ | ドラゴンクエスト8 | |
8/9(日) | 08:00~ | ドラゴンクエストモンスターズ2 |
10:15~ | ドラゴンクエスト7 | |
8/10(月) | 08:00~ | ドラゴンクエスト11S |
14:30~ | ドラゴンクエスト5 |
筆者は8/10(月)の2作品目であるPS2版DQ5RTAの紹介記事も書いたが、今回は8/9(日)の2作品目の『ドラゴンクエスト7』(以下PS版DQ7)の「カジノ技非使用」カテゴリを取り上げたい。
『PS版DQ7』のRTAについて
『エニックス(現スクウェア・エニックス)』が初のプレイステーション用ドラゴンクエストシリーズとして2000年に発売したのが『ドラゴンクエスト7』だ。初戦闘まで普通に1時間以上掛かる・石版が見つかりにくい・メインアタッカーが難所を目前にして離脱する・デスマシーン戦などでフリーズしやすい・『ファイナルファンタジー9』と発売が同時期とは信じられないムービー……などの問題がありながらも、プレイステーション用ゲームとして国内で最も売上を上げたゲームである。2005年以降に発売された廉価版ではフリーズ問題が改善されており、RTAではこの廉価版を使用することが強く推奨されている。
『PS版DQ7』のRTAは発売の翌年の2001年にゲームのやりこみで有名なおてう氏が21:32:20もの時間を掛けて走ったのが最初で、以来、その長さにも関わらず多数の走者の手によって戦略が洗練されてきた。その結果現在の最速記録は12:49:48まで縮んでいるが、それでもPSSWDQRTAリレー採用作品中最長である。
『PS版DQ7』には、ふたつの職業を連続で「いたにつく」または「カンがもどってくる」まで熟練度を稼ぐことによって特別な呪文特技を習得できる「職歴技」というシステムが存在する。例えば、戦士+羊飼いで「峰打ち(混乱・眠り回復)」、船乗り+僧侶で「ノアの方舟(消費MP10のアストロン)」、戦士+踊り子で「剣の舞(RTAで大活躍)」など。この職歴技システムのお陰で熟練度の稼ぎ方を考えるのが面白く、様々な転職案が考案されてきた。
この記事では2013年辺りから主流となって久しい「アイラ183回稼ぎ」戦略の流れを紹介する。
一発勝負における見どころ
『PS版DQ7』のRTAの区間を大きく分けるなら、過去ダーマまでと、転職してさまざまな呪文や特技を習得可能となる過去ダーマ後の2区間となるだろう。
一発勝負における見どころは、やはり過去ダーマとネンガル戦以降だ。どちらとも運にも実力にも大きく左右される区間であり、全滅率も高く見ごたえのあるものとなっている。
それ以外では強いボス戦。序盤のデスアミーゴ・デスマシーン・あめふらし・どうくつまじん、中盤のグラコス、DSIC 1 終盤のヘルクラウダー・ガマデウス・オルゴ1といったところだろうか。
旅の仲間
主人公
過去ダーマ以降のメインアタッカー。LvUPでホイミ・スカラ・ルーラ・ベホイミを習得する。ダーマ解放後熟練度稼ぎで戦士と踊り子の職歴技である剣の舞(通常攻撃の約0.7倍のダメージ*4回)を習得し、これを最後まで使い続ける。アイラ加入後熟練度稼ぎで習得する魔神斬り(3/8の確率で会心の一撃)は、ラスボス直前のメタルキング狩りに使う。
他の多くのDQシリーズとは異なり『PS版DQ7』の序盤はキメラの翼が存在しないため、序盤の移動時間を短縮するには主人公のルーラが重要である。これを早期に習得するため、過去エンゴウでは主人公がルーラを習得するLv8まで経験値を稼ぐ。
マリベル
冒険の最初から着いてきてくれる女の子。アイラ加入直前に一時離脱し、DISC 2の大陸封印後に再加入する。MPと素早さが高い。
LvUpでメラ・ルカニ・しっぺ返し・ラリホー・リレミト・ホイミ・マヌーサを習得する補助呪文役。ダーマ解放後熟練度稼ぎでは魔法使いでメラミ(単体に80前後のダメージ)・イオラ(全体に60前後のダメージ)を習得し、その後はアタッカーになることもある。
大昔の戦略では羊飼いをマスターさせて怒涛の羊を習得しラスボス戦の火力としていた。しかし怒涛の羊は成功率が2/3と安定しないのとネンガルなど効かないボスもいるため、現在はラスボス戦にマリベルではなく剣の舞を使えるアイラを連れてゆくのが完全に主流になっている。マリベルはお留守番。
キーファ
通常攻撃の約1.3倍のダメージを与える「かえんぎり」をLvUPで習得するグランエスタード王子。過去グリンフレークまでのメインアタッカーだ。HPと力が高いが、MPは全く成長しない。どうしてかな?
種返せとよく言われる彼だが、RTAでは序盤の火力を高めるために力の種をふっている。
ガボ
LvUPでほえろ・かみつけ・ぶつかれ・ひきさけ・とおぼえを習得する。グループ対象の休み技である「ほえろ」が優秀で、転職前はかなりこれに助けられることになる。素早さがマリベル以上に高い。
マリベルと違って序盤加入するキャラの中では長期離脱しない点とその素早さを活かし、RTAでは先攻回復役になってもらう。ダーマ解放後熟練度稼ぎでは盗賊の突き飛ばし(敵一体を戦闘離脱)とホイミスライム職でホイミ・ベホイミ・ベホマを、アイラ加入後熟練度稼ぎでは全体回復呪文ベホマラーを習得する。低いMPは不思議な木の実を注ぎ込んで補強する。
メルビン
物語の中盤、世界一高い塔で仲間になる伝説の英雄。RTAでは、ベホイミ・仁王立ち・ステテコダンス・リレミト・ルーラ・Lv20で習得するザオラルを使用する。仁王立ちとザオラルが使えるのはさすが英雄といったところ。
アイラ加入後熟練度稼ぎではリップス職で百列舐めを習得させることが多い。百列舐めはルカニ耐性のない敵の守備力を1/2の確率で0にし、かつ休み状態にさせる優秀な特技だ。百列舐めに加えて自殺ルーラ用の体当たりを船乗り職で習得したり、百列舐めを覚えずに魔法使い職でメラミを習得させたりする人もいる。
その高いHPと低い素早さを活かし、壁役兼AI後攻回復役として運用することが多い。メルビンをAIで運用すると、被ダメの多いキャラに自動でベホイミしてくれるだけでなく、死者が出たそのターンにザオラルでワンチャン蘇生してくれるのだ。
アイラ
マリベル一時離脱直後に加入するユバールの戦士アイラ。ムービーでその容姿を拝める唯一のメインキャラクターだ(アイキャッチ画像)。RTAでは、気合いため・火炎斬り・疾風突き・Lv23で習得する精霊の歌を使用する。
アイラ加入後熟練度稼ぎでは剣の舞を習得する。最初から踊り子職★8かつ戦士★3まで熟練度を上げているアイラは、戦士35戦+踊り子30戦の合計65戦で剣の舞を習得できるのだ。剣の舞を覚えたアイラは主人公に並ぶアタッカーとして活躍する。
ボス戦
序盤
チョッキンガー
最初に行く過去世界である過去ウッドパルナ東の塔のボス。行動パターンは「攻撃・大防御・メラ・ホイミ」。全ての被ダメージを1/10(小数点以下切り捨て)にする大防御が大問題。強力なNPCであるハンクの攻撃すら大防御されると20~30ダメージが2,3ダメージまで軽減されてしまう。うまい具合にハンクの攻撃を大防御されつつホイミでHPを回復されると軽くキレそうになる。
序盤も序盤な過去ウッドパルナでは仲間が全然頼りなく、戦闘ではNPCのハンクがどれだけ的確に攻撃してくれるかがタイムに直結する。確率依存であるハンクの行動はハンクガチャとも呼ばれる。
デス・アミーゴ
過去オルフィーの魔封じの山のボス。この戦闘では呪文が使用できない。行動パターンは「攻撃・かまいたち・まぶしい光」で1~2回行動。最大ダメージ28のかまいたちが痛い。全体の1/6も進んでいない(2h/13h)のに2回行動のボスが出てくるのは、なかなかやってくれるなといったところ。
このボス戦だけでなく魔封じの山のエンカも危険で死者が出やすく、しかも全滅するとお金のロスがリカバリできないため、一発勝負ではオルフィーの町出発前にセーブを行う。
NPCのきこりが参戦してくれるが、こいつは戦闘に参加するNPCの中で最も役立たずなことで有名である。攻撃しても0 or 1ダメージで、約1/2の確率で使ってくれる薬草もHPまんたんのキャラに使うことがあるのだ。
デスマシーン
過去フォーリッシュのからくり兵団拠点のボス。行動パターンは「(まぶしい光 or 攻撃)→(攻撃 or マジックバリア)→(火の息 or 諸刃斬り)」で1~2回行動。マシンマスター戦からの連戦でもあり、その戦闘終了時のHPも大事。
守備力が高いので1/2の確率で入るルカニを2回入れて攻撃したいところだが、マジックバリアを張られると、ルカニの入る確率が1/10まで落ち込んでしまう。諸刃斬りも非常に痛く、後列やスカラを積む前の前列に刺さると死にかねない。ルカニを使えるのもリレミトを使えるのもマリベルだけなので、マリベルには決して死んでほしくないところだ。
なお初期版ではフリーズも猛威を奮ったが、廉価版で遊ぶ限りその恐れはない。安心してほしい。
あめふらし
過去グリンフレークでまず戦うボス。行動パターンは「攻撃→(冷たい息 or 攻撃 or ベホイミ or なめまわし)」で2回行動。開始3時間なのに早くも確定2回行動が出てきた。
13~16ダメージのブレスの冷たい息が地味にきつく、一人ひとりの被ダメは少ないからと回復を後回しにしていたらいつの間にか手遅れになっていた、というパターンが個人的に多い。
どうくつまじん
過去グリンフレークの沼地の洞窟のボス。踊る宝石(特殊)2体と同時に登場し、行動パターンは「攻撃・ギラ・ベギラマ・まぶしい光」で、奇数ターンは1回行動、偶数ターンは2回行動である。
戦闘開始前に予め防具を外しておくことで、踊る宝石が高確率で使用するルカナンによる守備力低下を抑えつつ、マリベルのしっぺ返しで反射する「ルカナン返し」を行う。
どうくつまじんのMPは24で、ベギラマの消費MPは6、ギラは4。MP10未満ならベギラマ+ギラが撃てなり、MP6未満ならベギラマが撃てなくなる。加えて行動回数はターン数の偶奇で決まるため、走者はどうくつまじんの残りMPやターン数を把握しながら戦う。視聴する側もそれらを意識して見てみると面白いかも知れない。
過去ダーマ
さて過去ダーマはメインアタッカーが直前に離脱した上、呪文と特技が封印されるという泣きっ面に蜂の状態で開始する。ボスは約1匹を除いてどれもこれも強いやつばかり。代わりにここでは貴重な蘇生アイテムである世界樹の葉を3枚も拾えるのだが、ダーマを突破してみたら1枚も残っていない、なんてことは日常茶飯事だ。
イノップ&ゴンズ
イノップの行動パターンは「攻撃・武器を振り回す・痛恨の一撃・砂煙」。ゴンズの行動パターンは「攻撃・尻尾・痛恨の一撃・爪できりさく」。こちらにはNPCのカシムがおり、かつ世界樹の葉を2枚持った状態で挑めるものの、それでも勝率は7~8割しかない。『PS版DQ7』のRTAでラスボスと並んで恐らく最も勝率の低いボスだ。通称イノゴン。
イノゴンはイノップの砂煙を除けば物理攻撃しかしてこないのだが、その物理攻撃が痛すぎるのだ。一番痛いのはもちろん痛恨の一撃。痛恨の一撃が絡めばかなり死者が出やすいし、痛恨の一撃がこなくても当たりどころが悪ければ死者は出る。
こちらは呪文特技封印状態であり搦め手を使えないため、取れる対策は限られている。1列目は防御、2列目は刃のブーメラン、3列目は奇跡の石というイノゴン専用の特殊な隊列に組み替えたり、みかわしの服(みかわし率1/6)を買ってみたり、刃のブーメランを奇跡の石役にも持たせてみたり。
ちなみにイノゴンのゴンズは『PS2版DQ5』に登場するゴンズとは見た目が似ても似つかない。イノゴン最大の謎である。
闘技場6連戦
ネペロ・ガルシア・トンプソン・ナプト・ドンホセ・ネリスとの連戦を戦うことになる。それぞれ、お供としてモンスターを3匹引き連れている。途中で負けた場合は最初のネペロから戦い直すことになる。最後のネリス戦で負けると10分以上もロスしてしまうのだ。
幸い呪文特技の封印が解除されているので、補助呪文やガボの「ほえろ」を駆使して戦っていける。またNPCとしてザジが参戦してくれる。シナリオではさんざんな彼だが、イオやベホイミで助けてくれる戦闘中の彼はカシムよりも頼りになる子だ。
ネペロ以外はどれも油断ならないボスだが、特に強敵を挙げるなら、2ターンに1回ムーンサルトを繰り出すガルシア、マヌーサをかけてもマヌーサ貫通とかまいたちが恐ろしいナプト、ヒャダルコとスカラを積むまでの打撃が痛いネリスだろうか。
ちなみにネリス戦ではスカラを積む主人公だけ生き残らせるような戦い方をするが、6連戦を突破した時点で全員自動蘇生されるため、死者が出ても蘇生ロスはない。それを見越した戦術なのだ。
アントリア
過去ダーマ最後のボスは、神官に化けてパーティの呪文特技を封印してきたアントリアだ。NPCとしてフォズが参戦してくれる。行動パターンは「攻撃・火炎斬り・マジックバリア・ベギラマ・イオ・念じボール」。デスマシーンも使っていたマジックバリアと、念じボールが問題。
アントリアの危険すぎる念じボールを封じるため、ラリホーで眠らせた上でまだらくも糸やガボのほえろで休ませて行動を封じたのち、ルカニを入れて攻撃する戦術がとられる。しかしマジックバリアを張られると、ラリホーとルカニの成功率が85%から20%に(休み技は50%から10%に)低下してしまう。
念じボールはランダム2体にダメージを与える攻撃だが、そのうち67ダメージは防御しても軽減できない固定ダメージとなっている。そのためHPの低いマリベルやガボはこれを喰らうとほぼ間違いなく死んでしまう。
中盤
アントリア撃破後は、第1回の熟練度稼ぎを過去エンゴウで109戦約40分間行い、主人公に剣の舞を、マリベルにメラミとイオラを、ガボに突き飛ばしとベホマを習得させる。
さんぞくぐんだん
ダーマ解放後熟練度稼ぎ後最初に戦うボス。いきなり4体同時に相手取らされる手強いボスだが、こちらには突き飛ばしを使えるガボとイオラを使えるマリベルがいる。ガボがさんぞくを突き飛ばしつつマリベルがイオラを3回ほど放てばほぼ勝ち確だ。イオラ役のマリベルにさんぞくマージのラリホーやさんぞくの毒蛾の粉が刺さりさえしなければ特に問題はないだろう。刺さりさえしなければ……。
タイムマスター
過去リートルード時の狭間の洞窟最深部にいるボス。行動パターンは「攻撃・イオラ・まぶしい光・メラミ・マジックバリア」。こいつ自体は序盤にマジックバリアをされると戦闘が多少長引くくらいで特になんともないのだが、同時に登場するマキマキ2体に多少問題がある。
タイムマスターの撃破後に奥の砂時計を調べると時の砂が手に入る。これは戦闘中に使用すると戦闘の最初まで時間を巻き戻すことができ、しかも何度も使えるというラスボス戦でも重宝する素晴らしいアイテムなのだが、マキマキはこの時の砂を特技として使用することがあるのだ。
マキマキの時の砂使用確率は約6%と低いものの、マキマキ2体を撃破する3,4ターンの間に時の砂を使われると戦闘が最初に巻き戻ってしまうので、タイムマスター戦ではマキマキを早急に除去することが肝要だ。
グラコス
行動パターンは「攻撃・なぎ払い・津波・猛毒の霧・氷の息」で1~2回行動。攻撃力が高く、スカラの入っていない後列に攻撃が飛んだりなぎ払いを喰らうとかなりのダメージを喰らってしまう。また、使用確率は低いものの50~60ダメージのブレスの氷の息がやばい。
過去リートルード解放後に橋を渡って過去メモリアリーフに寄り道すれば、素早さの30上がる疾風のバンダナを購入できる。これでガボの先攻率を高めておけば多少は安心できる。
この戦闘には、天使の歌声(ザオラルと同じ効果)とベホイミを使えるNPCの老楽師が加わってくれる。
DISC 1 終盤
アイラ加入後には第2回の熟練度稼ぎを70回程度約30分間行い、主人公に魔神斬りを、ガボにベホマラーを、メルビンに百列舐め(と体当たり)またはメラミを、アイラに剣の舞を習得させる。
ヘルクラウダー
行動パターンは「攻撃・仲間呼び(ベビークラウド)・かまいたち・真空波」で1~2回行動。かまいたちや真空波もなかなか痛いが、最も注意せねばならないのはこいつの呼んだベビークラウドのラリホー。ラリホーの刺さりどころが悪ければそのまま全滅まで至りかねないからだ。
ベビークラウドを迅速に処理するため、剣の舞役の主人公とアイラには素早さの上がる装飾品を装備させず、かつ微睡みの剣(1/4の確率で眠り)とユバールの剣(1/8の確率で休み)で剣の舞を行う。こうすることで、ヘルクラウダーがベビークラウドを呼んだそのターンのうちに高確率で行動不能化、あわよくば撃破することを狙うのだ。
ガマデウス
たつのこナイト(特殊)、シードラゴンズ(特殊)と同時に登場する。このお供2匹はHPこそ低いものの高威力のブレスや全体状態異常攻撃を持っている。たつのこナイトは氷の息と甘い息、シードラゴンズは激しい炎と焼け付く息。ガマデウス自身も氷の息を持っており、この3匹が同時にブレスを吐いてくると非常に危険である。
敵の頭数を減らすまでの開始数ターンが勝負。まずたつのこナイトをガボの突き飛ばしで除去し、シードラゴンズに攻撃を集中して撃破すれば、ガマデウスがシードラゴンズをザオリクで蘇生することもあるが、後はだいたい作業だ。
オルゴ1
魔空間の神殿の玉座に座っている、DISC 1の最後を飾るボス。
第1形態
ローテーション行動のAローテ「メラゾーマ→攻撃→マグマ→凍てつく波動→かまいたち→Bへ」とランダム行動のBローテ「攻撃・イオナズン・妖しい瞳・念じボール・稲妻・Aへ」を行き来する。どちらも1~2回行動だ。
Bローテではさざなみ仁王立ち(詳細は後述)でイオナズン全反射を狙う。おいしくない行動は妖しい瞳(強制睡眠)と念じボールだ。
完全に余談だが、「A:かまいたち→A:Bヘ→B:なにか→B:Aへ→A:メラゾーマ→A:攻撃」という4回行動が発生することがある。
第2形態
行動パターンは「真空波・攻撃・激しい炎・氷の息・とげ当たり・凍てつく波動」で1~2回行動。最も危険なのは隊列無視で単体に150~180ダメージを与えるとげ当たり(突進)。なるべく181以上のHPをキープしておきたい。また全体攻撃の使用率が高くベホマラーを使わされることが多いため、祈りの指輪でMPを回復するタイミングを見逃さないことが大事だ。
オルゴ1を撃破したら、短いムービーを挟んでDISC 2へ切り替わる。DISC 2はRTAされることを見越してか(絶対違う)数分間の長い休憩ポイントが多数設置されている。筆者は休めるところではしっかり休んでラストに向けて英気を養うようにしている。
ネンガル以降
ネンガル
3Dダンジョンである風の迷宮のボス。行動パターンは「剣の舞・ボディアタック・攻撃・痛恨の一撃」。これまでプレイヤーが散々使ってきた剣の舞の威力を身を以て思い知らされるボス戦で、剣の舞が3本重なるとほぼ死んでしまう。それに耐えるためにアタッカーの主人公とアイラにはスカラを入れるが、守備力を無視して即死ダメージを与える痛恨の一撃にはスカラは無意味なのが頭の痛いところ。
あと少しで勝てそうなときにアタッカーの片方が落とされ、世界樹の葉や時の砂を使うのを惜しんで戦い続けた挙げ句、押し切ることができず時の砂すら使えずに全滅……なんて展開も。全滅した場合は一気にリファ族の神殿まで飛ばされる。再戦しに風の迷宮へ戻るときは聖風の光球を使うことで風の塔はカットできるが、それでも大幅ロスには違いないので全滅だけは避けたいところ。
ネンガルを撃破してシナリオを少し進めると、数分の休憩ポイントを挟んでとうとうラストダンジョンが出現する。
メタルキング狩り
Lvを上げてラスボスに対抗できる戦力を確保するには、33,000もの経験値をもつメタルキングを少なくとも2匹撃破する必要がある。狩場はラストダンジョンの卵。ここにある24個の卵からは1/6の確率で「メタルスライムS」が出現し、仲間呼びからの合体をさせることでメタルキングが誕生するのだ。
メタルスライムSもメタルキングも逃げ出すことがある。前者はどうしようもないが、後者は1/2の確率で効く休み技を主人公以外が使って逃げ足を止めつつ、主人公が魔神斬りすることで撃破を狙う。
もし24個の卵全て撃破しても2匹狩れなかった場合は現代マーディラスのフィールドまで移動してメタルキングを狩ることになってしまう。これはマーディラス送りと呼ばれている。
オルゴ2
これまでの13時間の最後を締めくくるにふさわしいラスボスであり、筆者の場合、風の迷宮の一つ前のダンジョンである風の塔辺りからこの戦闘を意識してテンションが上がってくる。体感だが、勝率はメタルキング2匹の場合7~8割程度だろうか。
第1形態
行動パターンは「尻尾・灼熱・攻撃・凍える吹雪」。1回行動かつガボが確定先攻するため危険はない。全体ブレスの灼熱や凍える吹雪のダメージをベホマラーで相殺しつつ剣の舞や遠吠えを当てる作業を最後まで続けるだけ。
……ではなく、撃破が近付いてきたら、主人公とアイラにバイキルトを入れたりメルビンにマホカンタを張りつつ、メルビンのHPをある程度確保した状態で、はなす技を用いてアイラの気合いため先制火炎斬りでとどめを刺す……といった、次形態のダメージ効率を上げる準備を最後に行う。
第2形態
行動パターンは、Aローテが「攻撃→メラゾーマ→イオナズン→かまいたち→妖しい瞳→Bへ」で2回行動、Bローテが「火炎を投げる→攻撃→念じボール→凍てつく波動→正拳突き→Aへ」で1~2回行動。
攻撃自体は第1形態よりもだいぶ激しく、しかもガボの先攻率が8割程度と最も低くなる形態だが、AローテもBローテもランダム行動ではなくローテーション行動となっているためパターン化しやすい。攻撃がピンポイントで急所に刺さったりBローテで2回行動が多かったりすると時の砂を使わされることもあるが。
イオナズンをさざなみ仁王立ちで全反射することと、「火炎を投げる」を後攻世界樹の雫で回復することが大事。2回目のイオナズンのターンまで撃破することが目標だ。
第3形態
行動パターンは「(マグマ or おぞましい雄叫び)→(凍てつく波動 or 混乱攻撃)→(猛毒の霧 or 叩きつける)」で1~2回行動。おぞましい雄叫びは全体に120~150ダメージ、混乱打撃は1/2の確率で混乱、叩きつけるは隊列無視で単体に220前後のダメージ(うち180ダメは固定ダメージ)……と、それぞれのターンの行動はデレとツンが明確に分かれている。ガボの先攻率が約9割しかないのも第3形態が恐ろしい理由のひとつ。楽なときは割とあっけなく撃破できるが、きついときはどうしようもない理不尽な全滅を喰らう、そんな形態だ。
死者が出やすい形態ゆえ、メルビンをAIで動かして後攻ザオラルの保険を掛けておくことと、第4形態でもそうだがバイキルトやスカラを味方に掛けて波動誘発をすることが大事。波動誘発をしておかないと、3n+2ターン目は必ず混乱攻撃が飛んできてしまうのだ。
混乱は一応人魚の月で回復できるとはいえ、先攻回復役であるガボや人魚の月持ちが混乱してしまうと大変危険。『PS版DQ7』にはキアラルとかいう便利な全体混乱回復手段はないのだ。
第4形態
最終形態。長かったラスボス戦もあともう一息だ。
ローテ | 行動パターン | 備考 |
---|---|---|
Aローテ(攻撃ローテ) | 押しつぶす・凍てつく波動・マヒ攻撃・灼熱・凍てつく冷気・Bヘ | 1~2回行動 |
Bローテ(防御ローテ) | 肉片(ブロブロス)・凍てつく波動・瞑想・肉片(ドゴロク)・マジックバリア・Cへ | 1~2回行動 瞑想はHP500回復 |
Cローテ(マダンテローテ) | マダンテ→祈り→凍てつく波動→巻きつく→ラリホー→Aへ | 1回行動 祈りはMP全回復 |
この形態にはいわゆるデスコンが存在する。「A:灼熱→A:凍てつく冷気」は被ダメージがひどいものの、HPが全快でさえあれば死者は出ない。しかしマダンテを含むデスコンである「A:灼熱or凍てつく冷気→A:Bヘ→B:Cへ→C:マダンテ」の場合はHPが全快であっても全員ほぼ死亡してしまう。凍てつく波動を行動選択肢に含めさせればデスコンの使用確率は低下するため、波動誘発はやはり大事になってくる。
攻撃ローテでは激しい攻撃に晒されながら常にデスコンのリスクを抱えつつ戦うことになる。防御ローテよりはダメージを稼ぎやすいものの、攻撃ローテが長時間続くと回復役のガボのMPが枯渇しHP回復がままならなくなることも。
防御ローテは遅延行為ローテ。HPを500も回復しやがる瞑想はもちろん、剣の舞の攻撃対象を分散させてくる肉片(仲間呼び)も遅延行為だ。とはいえ攻撃ローテで消耗したHPやMPを回復できる時間でもある。なおこの第4形態に対しガボは確定先攻できるのだが、防御ローテで呼ばれるブロブロスには約1割の確率で後攻するという罠がある。ブロブロスの舐め回しがガボに先制で入って行動が不発に終わるなんてことも。
マダンテローテは癒やし。防御ローテ以上に立て直しやすく、しかもダメージも稼ぎやすい。ずっとマダンテローテに居続けてくれるのが第4形態の理想だろう。
オルゴ2はこの第4形態のみ百列舐めが1/10の確率で(ルカニは1/2の確率で)効く。ローテが切り替わると守備力は元に戻ってしまうものの、剣の舞一発で80前後のダメージが通る気持ちよさは格別だ。タイミング的にはマダンテローテの序盤に百列舐めが入るととてもおいしい。
テクニック
縦移動
『PS版DQ7』の歩き方は画面に対して横に歩くよりも縦に歩くほうが速く移動できる。RTAの参入障壁を上げている要因のひとつな気がしなくもない。経験値稼ぎや熟練度稼ぎで歩いてエンカを起こしたいときも、縦に往復する歩き方が最も効率がよい。
現在のカジノ技非使用カテゴリ最速記録保持者であり、スライム撃破RTAで26分どころか25:50を切ることもあるけった氏の歩き方が最も美しいとされている。
さざなみ仁王立ち
マホカンタ状態のキャラが仁王立ちすることによって敵の呪文を全て反射するテクニック。敵が全体呪文を唱えた場合はこちらの生存人数分だけ反射することができる。4人全員生存していた場合は4回も反射する。さざなみの剣(使うとマホカンタの効果)は過去海底都市で拾うことができるし、メルビンが最初から仁王立ちを覚えてくれているためRTAでも普通に使えるのだ。
さざなみ仁王立ちを使う戦闘は以下の通り。反射ダメージが特においしい呪文は太字で強調している。オルゴ2-2と2-4のさざなみ仁王立ちは完全に戦術に組み込まれており、RTAに欠かすことのできないテクニックとなっている。
モンスター | 呪文 |
---|---|
メディルの使い | メラミ・バギクロス・マホトーン・ラリホーマ |
ゼッペル | メラゾーマ・ベギラゴン |
オルゴ1-1 | メラゾーマ・イオナズン |
オルゴ2-2 | メラゾーマ・イオナズン |
オルゴ2-4 | ラリホー |
はなす技
戦闘で入力したコマンドを□ボタンで全てキャンセルし「はなす」を何度も何度も行うとターンが自動で開始され、キャンセル前に入力したコマンドが実行される。このとき、□ボタンキャンセル後に仲間をAIにすると、キャンセル前に入力したコマンドの効果を残しつつ別の行動をさせられる。……ややこしいが、RTAでは確定先制効果を行動に乗せる技として利用される。
例えば、やたら素早いため先手を取れないことが一部で有名な過去ルーメンのベビーゴイル。こいつに先制休み技を入れたいとき(仁王立ちの確定先制効果を利用):
例えば、オルゴ2-1が余計な行動をしてメルビンのHPを減らす前に先制で撃破したいとき(アイラは疾風突き、メルビンは仁王立ちの確定先制効果を利用):
他に、メタルキングに後攻休み技が全く入らなかった次のターンに先攻休み技を入れるときにも使われたりする。これら以外も有用な場面があるかも知れない。
壁抜け
『PS版DQ7』のRTAで壁抜けできるところは2箇所存在する。ただしダンジョンのごく一部をショートカットできるに過ぎないため、短縮時間は数秒~数十秒程度しかない。残念。
バロックタワー
自キャラの右端に岩を引っ掛けるようにして手前に押すと、自キャラが壁にめり込んでしまう。そのまま壁の中を歩くとダンジョンのギミックを完全に無視して出口まで進める。
世界一高い塔
見ての通り。短縮時間は3秒!
プロビナ飛ばし
過去プロビナで魔物の軍団が橋に押し寄せてきたときはラズエルにある程度接近すると自動でイベントが発生するのだが、実はイベント発生前にラズエルに話し掛けることができ、過去プロビナ編別れ際のセリフを聞ける。すると過去プロビナをクリアしたとみなされ、現代に戻るとプロビナが復活しているのだ。
このバグ技の短縮時間は約5分半にもなる。といってもシナリオの一部を飛ばしてしまうという理由で日本での一般的なルールでは許可されていない。しかし海外のルールでは許可されているので、どうしてもRTAでプロビナ飛ばしをしてみたい方は海外版を走るといいかも知れない。RTAには関係ないが、アイテムコンプリートに必須なバグ技でもあるようだ。
余談だが、過去聖風の谷の族長の家でも似たようなことができる。族長の母接近時に発生するイベント前に族長の母に話し掛けられるのだ。しかしそのとき起こるのはシナリオスキップではない……ソフトロックだ。どのボタンを押そうがゲームが全く反応しなくなってしまう。
やみのまじん撃破後の族長の家にいる族長の母に近付くときは、決して会話ボタンを連打してはいけない。要注意ポイントなのだ。
あたまろスペシャル
あたまろ氏によってつい先日の8/2に発見された。スイッチを押して橋を上下させながら進む過去海底都市B1Fにおいて、壺を絶妙な角度で投げてボタンを押すことにより、水位を切り替えるレバーの足場へ右から渡るテクニック。これによって押すスイッチを2個減らすことができる。
@ドラ7有識者の方 これって既出のやつですか pic.twitter.com/NXYbP291SS
— あたまろ (@at_glv) August 2, 2020
歩数エンカの減少と(ノンストップで行った場合)約12秒の短縮が見込める……と書くとしょぼく聞こえるかも知れないが、既に完全に最適化されたと考えられていた解き方が予想外の方法で短縮されたことに対して『PS版DQ7』の走者達は大きく沸き立った。もしかしてダンジョンのギミックにはまだ開拓の余地が残されているのかも……?
ちなみに「あたまろスペシャル」という名前はけった氏の発見した高難易度壺投げテク「けったスペシャル」にちなんで名付けられたのだが、そのけったスペシャルで押すスイッチはあたまろスペシャルを実行した場合完全に無視できるため、けったスペシャルの出番は失われてしまった。新けったスペシャルの発見を期待したいところである。
カジノ技非使用以外のカテゴリ
四精霊撃破
裏ダンジョン「さらなる異世界」にいる裏ボス「四精霊」を撃破するまでのタイムを測るカテゴリ。しかし四精霊戦よりも、さらなる異世界の石版を手に入れるために「なぞの異世界」にいる「かみさま」を3回も19ターン以内に撃破するほうがどう考えてもクライマックス。
かみさまを少ないターンで安定して撃破するため、以下の準備を行う必要がある。
- 小さなメダルやさらなる異世界の石版を手に入れるため、移民を35人集め移民の町を最大規模まで成長させる。
- なぞの異世界の石版やプラチナキングの心を手に入れるため、小さなメダルを110枚集める(2枚以上取り忘れると戦略が破綻)。
- 神さま戦に向け、メルビンにプラチナキング職をマスターさせて完全耐性持ちの仁王立ち役を作るため、熟練度稼ぎを350戦行う。
どれもこれもしんどい作業だが、筆者自身の経験からするとプラチナキング稼ぎの最初に過去ダーマで200戦程度延々戦うところが一番しんどい。しかしカジノ技非使用に比べれば走者の全然少ない未開拓なカテゴリなので開拓のしがいはあるぞ!
カジノ技使用
ポーカーでカジノコインを荒稼ぎしたりやラッキーパネルで欲しいアイテムを引く「カジノ技」が許可されるカテゴリ。ポーカーもラッキーパネルも専用のツールが存在する。
『PS2版DQ5』のカジノ技使用とは異なり、まずカジノに入れるようになるタイミングが過去ダーマと遅く、しかもカジノで手に入るアイテムに火力の上がるものが少ないため、カジノ技はタイム短縮には繋がりにくいようだ。走者が殆どいないせいでもあるが、2020年8月現在の最速記録が2014年に達成された12:56:08で、カジノ技非使用最速記録の12:49:48よりも遅い。
魔神斬りとベホマラーの習得がカット可能。その場合のラスボス戦はカジノ技非使用とはガラッと変わり、神秘の鎧の自動HP回復とアストロンを駆使した耐久戦が展開される。一見の価値ありだ。
DQ7RTAカジノ有べホマラーカットチャート:spiceのブロマガ – ブロマガ
アニメティカ使用セーブデータ改竄
2019年に発見された『RPGツクール3』内蔵のお絵かきツール『アニメティカ』のバイナリエディタ機能と、セーブ中のメモカ引き抜きによるセーブデータのヘッダ改竄を駆使し、THE END間近のセーブデータを捏造してクリア(クリアとは?)してしまうカテゴリ。2019年末の『RTA in Japan 2019』にて第3期内藤九段位でもあるyagamuu氏と筆者で並走させていただいた。
『PS版DQ7』のRTAはフリーズ回避のため廉価版の使用が強く推奨されているが、超短時間で終わるこのカテゴリならば初期版でもフリーズの心配はない。実はこのときyagamuu氏が使っていたのも初期版だったのだ。
おわりに
今より10年ほど前『PS版DQ7』のRTAの最速記録は15時間前後であり、『アンリミテッド・サガ』の「7人」カテゴリや『ゼノギアス』と並ぶ長時間RTAの代名詞的存在であった。しかし現在は300時間以上を要する『バテン・カイトス』の「100%」カテゴリや、アクションゲームなのに19時間掛かる『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の「100%」カテゴリ、果ては『リングフィットアドベンチャー』の「100%」カテゴリというとんでもない代物まで登場しており、連射機の使用が許可されている『PS版DQ7』のRTAには当時ほどのインパクトはないかも知れない。それでも並のRTAよりずっとしんどいことには違いないので、走者を見つけたら温かい目で見守ってやってほしい。
なお筆者は『PS版DQ7』のRTAの歴史をまとめている。歴史ものが好きな方や、この記事で『PS版DQ7』のRTAに興味を持たれた方は読んでみると面白いかも知れない。
というわけで『第10回PS&Switch版ドラクエRTAリレー対決』、みんな見てくれよな!
※注釈のない画像は『PS版DQ7』より引用。
主に長時間RPGや東方STGを走ったり調べたりする。
アスカ見参は元動画勢。
コメント