運ゲーを比較的マシな運ゲーにする為の、一般Heisterによるいくつかの考察

FPS・TPS

CoopゲーRTAは運との戦い

 皆さん、Cooperativeゲーム(以下、Coopゲーと記述)を楽しんでいますか?RTAの世界でも複数人が協力してのCoop runが行われており、日夜多くのプレイヤーが記録を縮める為に技術を磨いています。2021年末に行われたRTA in Japan 2021 Winterでも、BIOHAZARD Operation Raccoon Cityによる4人Coop runが行われ、プレイヤー間の和気あいあいとしたやり取りと通常プレイとは違う立ち回りで大いに盛り上がりました。

 一般的にCoopゲーは、繰り返しプレイする事を想定した作りになっています。プレイ内容が単調にならない様に数多くのランダム要素が組み込まれている為、RTAとして考えると他のゲームと比べて運に大きく左右されがちです。引用したクリップでは走者達が「わかんねえ」と口を揃えて発言していますが、難易度や確率等で状況が大きく変わるので冗談抜きで本当にわからない場面がよく発生します

出典: RTA in Japan公式Twitchチャンネルより

RTAとしてのPAYDAY 2

出典: PAYDAY 2 Speedrun.com Resourceページより

 2013年にリリースされたPAYDAY 2は最大4人まで参加出来る定番Coop shooterで、2022年1月の時点で79個のステージが用意されています。各ステージ別のRTAでは、ゲーム内のランダム要素を任意に固定するRNG modを導入する事がルールとして認められています。残念ながらPAYDAY 2のRTAコミュニティは、運をmodでねじ伏せる事を選びました。それだけ、このゲームが持つランダム要素は多いというわけです。

 しかし今回取り上げるカテゴリ『Crime Spree 0 to 100 (Restricted)』では、RNG modの導入が禁止されています。Crime Spreeモードではランダムに用意された3つのステージから1つを選んで攻略し、ステージに応じたランクポイントを獲得する事を繰り返していきます。Restricted(制限)と書いてありますが、追加ルールとして一度攻略したステージをもう一度選択する事は禁止されています。

ここからは用意されている約40ステージの中から、Transport: Downtownを例にソロプレイでのチャートを考えていきます。

プレイの最適化

 Transport: Downtownは、最大4台まで足止めした現金輸送車を襲撃して脱出に必要なLoot品を5つ奪う非常にシンプルなステージです。時間に直結する主な問題点は、以下の通りです。

  1. 現金輸送車2台にドリルを取り付ける(時間がかかる)
  2. Depositを開錠する(時間がかかる)
  3. Loot品を5つ回収する(ランダムで選ばれる回収地点の問題)
  4. Loot品の重さ(Gold>>Money>>Jewelry)

4番に関しては蓋を開けて見ないと分からないので、プレイヤー側でどうにもなりません。なので、1-3番の改善に力を入れていきます。

現金輸送車にC4を取り付ける

 PAYDAY 2では基本的に、何か困ったらドリルを取り付けて力技で解決する為、多くのプレイヤーがドリルに関するスキルを取得しています。しかし、状況によっては他のスキルを取得した方が時間的に有利な場合があります。

出典: PAYDAY 2 ゲーム画面より

 現金輸送車の開錠手順は2つあり、もう1つの手順として『シェープドチャージ』というものがあります。これは装備品の1つにあるC4を取り付け爆破、その衝撃で扉を開錠する方法です。スキルやプランフェイズでコストを支払う事でC4を最大9つまで所持出来ますが、輸送車1台につきC4が4つ必要なので1人で2台まで対応出来る事になります。ドリルの開錠にかかる時間がスキル込みで139秒+αに対してシェープドチャージは5秒+αと、約2分もの時間短縮が期待出来ます。

Depositをノコギリで開錠する

出典: PAYDAY 2 ゲーム画面より

 車両の中にあるDepositの開錠手順もピッキングの他に、OVE9000というノコギリ武器で攻撃する事で開錠する事が出来ます。ピッキングにかかる時間が5秒から15秒に対して、ノコギリでの開錠は1秒かかりません。Depositは1車両に付き7-9個あるので、武器枠を潰してでもノコギリを現場に持ち込む価値はあります。

Loot品を5つ回収して、回収地点に先回りする

 通常、車両1台につきLoot品は3つから4つ用意されているので、脱出だけを考えれば車両は2台だけ襲えば十分です。しかし、シェープドチャージを使用すると開けられるDepositの数が2つ減り、その影響で回収出来るLoot品も2つから3つと減少します。この為ソロでは車両2台襲ったところで、最悪Loot品が4つしか回収出来ない場合が発生してしまいます。

 ここで、立ち回りを少し変更します。具体的にはLoot品が規定数回収出来なかった場合の保険として、2台分のシェープドチャージを行う前に1台ドリルを取り付る事にします。先にドリルを取り付けることで、少しでもドリルの進捗を稼ぎます。脱出用の車両も直ぐには到着しない点も合わさって、時間的なロスはそこまで多くありません。つまり、多少の時間を犠牲に安定を取る形になります。

 また、脱出用の車両もアナウンスに注目すれば何処に到着するか判別する事が可能です。最初のLoot品を背負った時点でワゴン車かヘリかのアナウンスが行われ、それぞれ決まった地点に向かって来るので待ち時間の内に先回りする事が可能です。

 脱出方法がヘリだった場合、通常では回収用のカゴに向かうために建物屋上に移動する必要があり、ワゴン車と比較すると移動に時間をかなり取られてしまいます。……いや、取られていました。実はヘリが運んでくる回収用のカゴは、Loot品の回収判定がカゴより若干大きく設定されています。そのおかげで、カゴの中にLoot品を投げ込まなくても回収する事が可能です。これにより、Loot品をわざわざ建物屋上まで運ぶ必要が無くなり、カゴの下からその側面を狙ってぶつける様に投げ込む事で大幅な時間短縮が期待出来ます。私が見つけました

チャートを運用した場合

 ソロプレイではスキルや立ち回り、仕様を把握して利用する事で時間短縮を図りました。Loot品の数とその中身についてはプレイヤー側ではどうにもなりませんが、しかし通常プレイに比べて格段に素早いプレイングを安定して行えるようになりました。実際にチャートを採用したプレイ動画ではプレイヤー数が3人なので、シェープドチャージで開錠出来る車両が増え十分な数のLoot品を確実に得る事が出来ました。また脱出方法がワゴン車だったのでパターンとしては最速となり、クリア時間は2分20秒と通常に比べて格段に早くなりました。

 今回触れなかったLoot品の重さについては、前述した通りプレイヤーが制御できる範疇に有りません。あれこれ手を尽くしましたが、一番重いLoot品であるGoldが出た時点で残念ながらこのチャートの大部分が破綻します。出現する確率が少ない事が唯一の救いです。

人事を尽くして天命を待つ

 これは運要素が強いゲームに限らず、RTAを行っている以上大なり小なりこのような事は皆さん行っているかと思います。CoopゲーのRTAを通して、それまで視聴者側だった筆者では理解出来なかった走者の苦労と楽しさの一片に触れる事が出来たのでは、と感じています。様々なRTAイベントでゲームを解説している方が「ここ運ゲーです」と話しているなら、それはあらゆる手段を用いて突き詰めた結果の運ゲーで、しかしとても楽しんでプレイしてる運ゲーなのです。

 最後に、今回取り上げたカテゴリに興味が出てきたという方は、チャート資料を置いておきます。しかしRTAを始めるのに必要なゲーム内アイテムが多すぎるので、ゲームを購入して直ぐに始められるわけではない点に注意して下さい。RTA抜きにしてもCoopゲーとして十分に面白く、サマーセールやウィンターセールでは90%OFFと破格の値段で販売されるので、機会が有れば友達を誘って是非遊んでみて下さい。


©OVERKILL Software
©STARBREEZE AB (Publ)

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