【遊☆戯☆王 真デュエルモンスターズ 封印されし記憶】今、国内・海外問わず話題のカードゲームRTAを紹介

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遊☆戯☆王 真デュエルモンスターズ 封印されし記憶 とは

本作品は1999年にコナミから発売されたPlayStation用ゲームソフトであり、ジャンルは「対戦型カードゲーム」となっている。

遊☆戯☆王といえば、今では「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム」を指すことが多いが、本作はカードゲームをベースとしつつ、独自のシステムとしてカードの相性で能力が変化する「守護星システム」や、最大5枚のカードを選択して強化や融合を行う「コンボシステム」などが存在する。

このゲームの細かなストーリーは割愛するが流れをざっくりと説明すると、ストーリーはカードゲームに勝利することで進行する。ただし、敵も進行すればどんどん強くなっていくため、強いカードを集めるためにストーリーで戦ったキャラと再戦できる機能で稼ぎを行い、デッキを強化していくというのを繰り返していくというものである。

 

さて、このゲームは一部のゲーマー界隈で有名であるため、名前だけ聞いたことがあるという人も多いのではないだろうか。もちろん「普通のカードゲームとちょっと違うシステムで面白い」のような真っ当な理由ではない。

その理由は「難易度が理不尽なほど高い」、この一言に尽きるだろう。

数々のゲーマーの心を打ち砕いてきたこのゲームについて、ニコニコ大百科では端的にその理由が述べられているので引用したい。

~「生け贄召喚」といった高レベルモンスターを召喚する為のコストが存在せず、対戦相手は容赦なく強力カードを使用し、初期デッキはそれに対して脆弱。普通にストーリーを進行させるだけでは、まずまともなデッキは構築できない、クリア不可。パスワードによる強力カードの入手も大量のコスト(スターチップ)が必要となり、実用性が皆無といった仕様である。難易度が高いというよりもゲームバランスが崩壊してしまっていると言った方が適切で、それが為に「無理ゲー」「詰みゲー」「鬼畜ゲー」「糞ゲー」など様々な評価を戴くに至る。

 

なるほど、見るだけでやばそうなゲームである。

だがしかし、今このゲームがなんと国内・海外問わずにRTAが行われており、2020年3月現在では毎週のように10人を超える大型並走が開催されている。

今回はこの封印されし記憶RTAの魅力と、その歴史について触れていきたいと思う。

封印されし記憶RTAとは

前述のとおり激ムズ難易度のこのゲームであるが、その象徴たるものがRTAでも大いに盛り上がる最終ステージで行われるラスボス込みの6連戦デュエルである。

通称「F6」と呼ばれるこの連戦であるが、由来は「花の6人組」ではなく、最後の6連戦を意味する「Final 6」が由来らしい。(他に海外のRTAプレイヤーが「ついクソと叫びたくなる6人組」を略してF6という別称も存在する)

正面から相手を倒すためには、攻撃力で相手のカードの攻撃力を上回れねばならないのだが、まず使ってくるカードのパワーが違いすぎる。

こちらの主力はコンボシステムで作り出せるモンスター「双頭の雷龍:攻撃力2800」、一方で連戦中に相手がポンと出してくるカードは「青眼の究極竜:攻撃力4500」。

よく遊戯王を知らない人でも、圧倒的攻撃力の差を感じ取ることができるであろう。

 

だがしかし、RTAプレイヤーはその差ですらプレイングスキルと洗練されたデッキ構築で埋めていってしまう。最終連戦にはどのカードがどれだけ必要なのか、稼ぎの相手・方法はどうするのか、そのために手札はどのように扱うのが最適なのか。

もちろん考え方はプレイヤーの考え方で異なり、カードの取得もランダムで毎回同じという事態は発生しない。それがこのゲームのRTAの面白さでもあり、多くのプレイヤーを惹きつける要因なのだろうと筆者は考えている。

今回封印されし記憶のRTAの見どころや広まってきた経緯を、走者であるノエ氏にお聞きすることができた。この場を借りてお礼を申し上げたい。

封印されし記憶RTAのここが面白い!

さてここからは、実際に封印されし記憶RTAを視聴する際に注目するポイントを紹介していく。実は裏で考えられたルートと戦略を知ることで、ただの地味な稼ぎに見える戦いも違った側面が見えてくるはずだ。

稼ぎの方法、バランスの判断

まず稼ぎの方法だが、このゲームはプレイヤーがどのように勝利したかで「勝利ランク」が判定される。
このランクに応じてドロップリストが大きく3つに設定されており、RTAでは欲しいカードを得られるように勝利ランクを調整して稼ぎをこなしていく。

例えばなるべく余計なこと(例えば融合○回以上、魔法使用、デッキからカードを引く枚数等)をせずにすぱっと勝利すれば「剛S」という勝利ランク。
融合や魔法や罠を多様してテクニカルに勝利すれば柔Sという勝利ランク。
そしてその間に剛A~剛D、柔D~柔Aというランクがあり、剛SA、柔SA、その他でドロップリストが分かれているという形だ。

勿論剛SAで勝つのが最も早く、強力なモンスターカードを貰いやすい傾向がある。
また任意のカードを入手するのに必要な「スターチップ」がSなら5枚、Aなら4枚という様に貰える。これは特に序盤で見られる稼ぎで、効率良く集められるという利点がある。

柔SAは剛SAと比べると3倍以上の時間が掛かってしまうが、装備カードや除去カード等、ゲームクリアに大きく貢献するカードを入手出来る、非常に価値の高い稼ぎである。
一方で、運が悪いと時間を掛けて何も得られないことも少なくはないのが難しいところ。

その他のランク(基本的にはその中で最も早い剛Bで勝つことが多い)はSよりもやや遅く、スターチップの効率が悪いが、Sでは得られない装備等の魔法カードを入手出来る、又は高確率で入手出来る稼ぎである。
装備カードを入手する上では柔SAの方が望ましいが、柔SAには使用するための罠カード等デッキがある程度固まっていなければならないので、柔SA稼ぎをする前には必ずと言って良いほど剛Bで勝利する稼ぎが入る。
うっかりしているとA勝ちになり魔法入手の機会を逃してしまうこともあるので、意外と気の抜けない稼ぎとなっている。

画像:勝利ランクは戦闘後に一瞬映るリザルト画面から確認できる

この仕組みを知っていれば、ひたすら稼いでいるように見えるデュエルも狙いが分かり、楽しみながら見ることができるに違いない。

手札からの融合ルート判断

さて、RTAでの主力はコンボシステムで作り出せるモンスター「双頭の雷龍」であることは述べたとおりであるが、コンボシステムの中でも手札のモンスター同士を掛け合わせて新たなモンスターを作り出す「融合」はこれまた奥が深い。

手札からの判断は知識の影響が大きく、種族同士を単純に掛け合わせれば作れる基本融合の他にも、特定のモンスターからで無ければ作れない融合も沢山ある。そのため、知っていれば知っている程手札から出来ることは変わってくるのだ。
また各モンスターがそれぞれ2つ持っている守護星を把握していれば困難な状況を打開することが出来、欲しい守護星から繰り出すモンスターに検討を付けるということもある。

とはいえそれらはクリアに格別必須というわけではなく、まずは基本融合を覚えるだけで十分戦うことも出来る。
要となるのはやはりドラゴン、獣、女性。まずはこれらに着眼してから繰り出すモンスターを決めるというプレイヤーも多いことだろう。

余談ではあるが封印されし記憶は1ターンに5枚の手札を捨てて5枚になるまで補充出来るという、トレーディングカードゲームプレイヤーからするとぶっ壊れたシステムになっているので、これを活用する。(※1)
つまりはなるべくデッキを回した方が欲しいカードが引けるようになり、勝率が上がるので、カードを捨てながら出したいモンスターを繰り出すという動きをすることが度々あるのだ。
特に、強敵との戦いや剛B以降での稼ぎで見られる。
しかしRTAとしてはただやみくもにカードを捨てていくとそれも時間のロスとなってしまうので、どれだけデッキを回すのかという奥深さもある。

※1:この記事を書いているときに発表された遊戯王の新ルール「ラッシュデュエル」では、ターンの最初に5枚になるように手札が補充されることがわかった

CPUは青眼の究極竜を自由に引き入れる

最終連戦の相手はこちらの伏せモンスターを透視してくるなど、やりたい放題の仕様が数あるが、その中でも恐ろしいのが任意のモンスターを引いてくることである。いわゆるデスティニー・ドロー。RTAプレイヤーがインチキと呼ぶ行為である。
勝利を確信した瞬間に最強モンスターがぽんと出てくるという状況は少なくない。
全てが解析された訳ではないが、やってこないこともあるし、相手のデッキは特定のカードからランダムで40枚に絞ったものが毎回作成されるので、そもそもデッキに入っていないということも起こる(3枚入ることもあるようだ・・・)。

これに関しては基本的には祈るしかないというのが現状の考えである。
しかし罠を伏せておくことで対策する、相手の場に最も強いモンスターを倒さずに残しておくとインチキされにくいらしい、というテクニックもあるので、やりようと試行回数でどうにかしていくのが現在のRTAである。

画像:無情にも青眼の究極竜によって粉砕される双頭の雷龍

なおこちらも余談であるが、封印されし記憶にはカードパワーは低いが、そろえるとそろえると無条件で勝利になるエグゾディアシリーズのカードが存在する。F6連戦中にひとりエグゾディアをそろえる可能性がある敵がいるのだが、デッキ構築の関係やカードパワーが高いカードが優先される状況からそろうことはまずない。さてここでひとつ動画を見ていただきたい。(急造氏の動画はこちらから)

こちらは盤面が万全の状況で勝ちを確信した瞬間である。相手のターンになった瞬間敗北していたというのがありえる封印されし記憶。この全てを出し切ってなお運ゲーとなるドキドキ感と理不尽感がRTAプレイヤーを惹きつけてやまない理由なのであろう(?)。

なぜ今「封印されし記憶」が熱いのか

封印されし記憶RTAはいかに広まったのか

封印されし記憶の普及のさきがけは、遡ること2014年9月にRTA紹介でおなじみのbiim式でカルアミルク氏が投稿したクリアタイム8時間の動画とのこと。
ただしこのときは知名度が上がり視聴者は増えるものの、難易度と長さから走者はそこまで増えなかった。

そこから時を経て2年程前、ニコ生で封印されし記憶のRTAを毎日走っている一人の走者がいた。
かの現世界記録保持者、猫田氏である。

彼が深夜時間帯に世界記録に挑戦し続けていたことが、爆発的な人口増加に繋がってると言って間違いない。何せこのゲームは極めて戦闘のテンポが良く、BGMの中毒性も高く、深夜のお供にうってつけだったのだ。

また猫田氏は、自身で最適化した戦略や行動選択の重要性を持たせたプレイを解説を交えながらプレイをしてくれるスタイルでやられていたので、視聴者の視聴意欲や興味を高め、一方でやってみたいと思わせる、まさに布教というべきものがそこにあった。

そして2018年の末頃からぽつぽつと新規走者が現れ始め、翌年のGWに行われたニコ生初(?)の並走により、その存在感・走者が増えているという実情を知らしめ、ブームと呼べるまでに成長するコンテンツとなっていった。

また、早くから新規参入を果たした走者は元々ドラゴンクエストシリーズのRTAをしていたプレイヤーが複数おり、ドラクエRTAという大きな界隈の中で「同じゲームを複数の人がやっている」「あの人まで始めた」とリスナー配信者問わず口コミ的に広がっていったのも走者の増加に拍車を掛けた。

こうして走者がぐんぐん増えていき、自然と10人超えの並走が頻発するようになっていった。
何よりこのゲームは中古価格が非常に安いので、環境を揃えるまでの敷居が低めというのも賑わいの一因である。今尚、走者は定期的に増加している。(筆者も封印されし記憶のROMをプレゼントされたひとりである)

驚きの国際並走開催

実は封印されし記憶は元々海外では非常に人気の高い種目で、Speedrun.com上でもざっくり100余名の記録が掲載されている。

それが海外のプレイヤーと日本のプレイヤーが国際並走を行うきっかけとなったのは日本人による10人超えの並走をしていたときである。
Twitchのミラーで並走を見たフランス人走者が、「是非混ぜてくれ!」と声を上げてくれたことがはじまりだったそうだ。

しかしフランスと日本では8時間の時差があり、並走はそうそう出来るものでは無かったという実情があった。
結局フランスの走者がDISCORDサーバーに加わって一度並走をしたきり、しばらく次の機会はなかった。
それでもその並走の際に、フランス走者の方の配信チャット欄にて走者仲間も参加意欲を示してくれたこと、また、せっかくサーバーに加わってくれたことに対して日本側ももっと誠意を示したいとの思いから、かの2月23日夜、日本の翌日が祝日なのを良いことに、大型並走を企画したそうだ。
これが本格的な国際並走の幕開けである。
ヨーロッパ・アメリカを中心に走者から参加表明をしていただき、海外から7人、日本は夜間ながら8人が集まり並走を実施、盛況を収めた。

画像:lawren氏の国際並走ミラーダイジェストより

それ以来、まだ日本時間での深夜の並走第二弾は開催されていないが、彼らは普段の並走(恐らく、彼ら的には金曜夜~夜明け前くらい・・・)にも参加表明をしてくれるようになり、今では毎週並走をしているような形になっている。走者のノエ氏としては「嬉しいのですが、彼らの体調が心配になるところです。」とのことである。

並走のここが面白い

並走の面白さの最たるところを聞いたところ「”どのように稼ぎどの程度のデッキで突破を目指すのか”を相互的に考え、実際の運と共に判断をしていき、最終連戦を制していくのかというところ」とのことだ。
並走相手の方が良い運を引いていたら、こちらはそれよりも弱いデッキで最終連戦に挑戦する覚悟を決めなければならない場合も出てくるし、かといって勝率の低いデッキで挑んでいるうちに、たっぷり稼いだ他の相手が高い勝率を以て悠々と先にゴールをしていくといった光景も日常茶飯事である。
この辺は単に運や順位だけで決まらず、個人個人の考え方が大いに出てくるところなので、見ていても面白い。

更には封印されし記憶のRTAには決して絶対的な進め方というものは無く、やろうと思えばいくらでもチャートを作ることが出来るので、しばしばユニークなチャートをお披露目する機会としても盛り上がる。
ここ数ヶ月の間にも新しい考え方が続々と生まれているそうで、これは定期的に並走をしていることも影響しているとのことだ。

また、ゲームの性質上並走は取得したカードの枚数で進捗管理をすることが通例となっていたが、現在スプレッドシート上で取得状況を共有することで走者同士、またリスナーが並走の状況をよりリアルに把握出来るようになっている。(僭越ながら私、御茶麒麟が作成させていただいた)これによって並走は更に熱く、より盛り上がりを見せるものと期待される。

最後に

皆さん「遊☆戯☆王 真デュエルモンスターズ 封印されし記憶」に興味は持っていただけただろうか。

RTAをしてみてくれとまでは言わないが、柔軟な立ち回りからコンボを決めるのが好きな人、理不尽な強さに立ち向かうのが好きな人、エジプト観光をしたい人はぜひとも購入してプレイをしてみてほしい。

今なら地元の中古ゲーム屋で見つければ数百円で手に入れられると思うので、立ち寄った際には気にしていただけると幸いである。(Amazonでも500円以内で中古は購入可能)

 

(本記事内の画像は特に注釈がなければすべてゲームのプレイ映像からキャプチャしたものである)

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